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さーて第二弾

前回は右脚ブロックについて書きましたが、今回はなんでしょうか。

わかりますよね?右といったら次は?

……左でしょうよぉ〜。

ということで左脚ブロックいっちゃいましょう。

左脚ブロックを読んでみよう!

左脚ブロックはどこの誘導を見るのかというと前回同様、見るところは一緒です。

前回の右脚ブロックを見ていない人はそちらから先に見てください(超わかりやすいから)。
★第1回:右脚ブロックを読む★

さて。右脚も左脚もV1、V5、V6だけ見ればわかります。

左脚ブロックというのはこれです。

症例1



とりあえず今は何もわからなくていいです。流してください。

脚ブロックは基本的にV1、V5、V6でしたよね。では見てみましょう。



V1から。R波がありますが、上向きのR波と下向きのS波(上図赤矢印)はどちらの方が長いですか?下向きのS波じゃないですか?

ということで、V1で下向きのQRSであることがまず1つ。

ポイント!

V1誘導でたまにRがないパターン(QSパターンっていうよ)もあるから覚えておこう。

次にV5とV6にスラーがあれば左脚ブロックです。



スラーというのはねえ、この心電図のV5とV6を見てみるとQRSが少し歪な形をしているのがわかりますか(上図赤囲み部分)?

鋭く尖ってないというか…これはなんて説明していいのかわからないので絵を描きます。

そもそもQRS波というのは左右の心室の収縮を意味していますが、実は右心室の収縮と左心室の収縮がほぼ同時に収縮しているので、下図のようにQRS波は1つの山になります。



左脚ブロックというのは、右と左の収縮が少しずれます。

左脚ブロックというぐらいですからもちろん、左脚がブロックされてしまうわけです。

そのため右心室から収縮するわけです。
左脚ブロックといっても『絶対に左を収縮させない』という意味ではなく、左脚がブロックされているから右から電気が通りますよという意味合いです。いいですか?

そして、心電図でいうと、どうなっているかというとQRS波が歪な形をしてるんです。

左心室の収縮が遅れているためにQRS波の幅が少し広くなっております。

そして、QRSが2つ山になっていることも多いです。この2つ山になっていることをスラーとよばれています(下図)。



左脚ブロックにはこのスラーがV5、V6にみられます。ということです。

また、上図で図解したような極端な2つ山にならず、2つめの山が小さくて、ナナメにカクカクしている場合もあります(下図)。



どうでしょうか、難しかった?単純に、左脚ブロックをみるポイントはV1で下向きのQRS波、V5、V6でスラー(形が歪なQRS)があるということです。

じゃこれを見てみよう。

症例2



順番に見ていきましょう。



V1のQRS波は下向きですね(上図赤矢印部分)。

V5とV6のQRS波は歪な形をしてるかな?
正常と比べてみるとよいかもしれないですねえ。正常と症例2のV5、V6の波形を比べてみましょう。



正常と比べてみるとわかりやすいですね(上図)。

このQRSと比べてみるとどうですか、歪でしょ??

てことでこの波形は?左脚ブロックですねえ。ほら見えたでしょ?さすが、あなた天才。

右脚ブロックと左脚ブロックがわかれば、心室期外収縮の起源がわかる

右脚ブロックと左脚ブロックがわかったら、1ついいことがついてきます。

何かというと、PVC(心室期外収縮)が見られたときに、右脚ブロック型のPVCか、左脚ブロック型のPVCかがわかったら、左右のどっちの心室からでたPVCかわかっちゃうの。

右脚ブロック型のPVCだったら左心室起源のPVCで、左脚ブロック型のPVCなら右心室起源のPVCになるでしょ?

ほら脚ブロック覚えるだけでPVCの起源までわかっちゃうんだから。すごいですよほんとにもう。

『V1で、うえむきは右脚、したむきは左脚』

前回と今回で脚ブロックについて書きましたが、右脚ブロックと左脚ブロックがこんがらがっちゃうことがあります。

そうなったときのおまじないがあります。

『V1で、うえむきは右脚、したむきは左脚』

覚えたでしょ?ほらーさすが天才。あなた天才。

次は心房細動でも書こうかしら?

ではまたっ!☆

本日のまとめ

・左脚ブロックは右脚ブロックと同様、V1、V5、V6をみる。
・V1では、下向きのQRSがみられる。
・V5、V6ではスラー(いびつなQRS波)がみられ、QRS幅が広い。



著者紹介 白石拓人 しらいし・たくと
血圧を測りに行ったのに血圧計を忘れるとんこつ...いやポンコツナース。『わからないことを馬鹿にするのは間違ってる精神』で密かに若手ナースを応援している。
「僕なんかできない…」より「僕でもやってみよう…」と考えたい超マブなお年頃。心電図を通してあなたが自信が持てたり、何かに挑戦するスピリッツを持ってもらえるように頑張るんば←黙っ
この心電図の勉強も挑戦でしょう。とにかくなんでもいいから挑戦するあなたの背中押します。ドンっ!!!