シンプルに考えたら心電図が好きになる!|第7回|T波の中に隠れたP波を探せ②

★バックナンバーを読む★

なになに?
前回の記事を見て疑問がでた?

「P波があるのになんでQRS波が出てないの?」って話ですよ。
だって、P波が出たらQRS波が続いて出ないとおかしいでしょ。

ふむふむ、はいはい。えぇ、えぇ。
承知しました。説明いたします。

T波に隠れたP波を探す



前回はT波に隠れたP波を探す旅に出ましたね。
隠れたP波を見つけられるようになったあなたへ、下図の波形の中の、T波に隠れたP波を探してくださいな。



4拍目のT波のお尻にP波が隠れているのがわかりますか(下図の赤矢印部分)? 見えるでしょ?
この4拍目は心房性期外収縮(PAC)です。



T波にきれいに重なるP波を探す



さて、今度は5拍目のT波をご覧ください。ほかのT波と比べると形が違うでしょ。
じつはこのT波のてっぺんに、きれいにP波が重なっているんですよ。難しいかしら?

T波にP波が重なるタイミングでも心房性期外収縮が出ることもあるんです。
見分け方は1拍抜けてるところの手前のT波の形をよく見ると、ほかの通常の形をしたT波と少し違うんです。下図で見比べてみてください。



囲みをつけてみました。
黄色囲みは通常のT波の形、青色囲みはT波のお尻にP波が重なっている。そして、赤色囲みはT波のてっぺんにP波が重なっているようなイメージできますか?

さらに拡大して確認してみましょう(下図)。



P波が重なっているT波のほうが、高さがあり、とんがっていることがわかります。

もうあなたにはT波の形をみるスキルが身についてますので、自信を持ってください。

とにもかくにも、普通のP波と形を比べてみて、少しとんがって見えたり、歪な形をしているように見えたりとか、T波の形が違うことがわかればOKです。

そうです。これは心房性期外収縮です。

ということで、いかがでしょうか。
心房性期外収縮のP波が前の拍のT波と重なるということはしばしばあります。
でもP波が出ているのにQRS波が出ていないのはなぜでしょう。

心室の不応期によって、心房性期外収縮の電気興奮がブロックされている



ここで大事なのはT波の中にP波が隠れているということです。

つまり、心房性期外収縮のタイミングが、心室が収縮している間、または収縮し終わったぐらいに出ているということです。

なぜQRS波が出ないのかというと、じつは心室が収縮してからはある程度の時間、「不応期」という時間があるからです。

この不応期というのは、どんな刺激にも絶対に反応しない、要は心室が収縮しない時間帯があるんです。

なので心房性期外収縮が出てもブロックされてしまいます。
ブロックというのは遮断ですね。遮断というのは電気を断ち切る、つまり心室まで届けないんです。

心房性期外収縮がブロックされてT波の形が変わってるけど、Q R S波が続かない波形を「Blocked PAC」または「non conduction PAC」と呼びます。日本語では「非伝導性心房性期外収縮」といいます。

一気に難しくなった気はしますが、名前よりもそういう波形があるというのを知るだけで知識としては強いです。

なので名前は無理して覚えなくて大丈夫です。「そういう波形もあるんだなあ」と思ってもらえればOKです。

心室の不応期に出た心房性期外収縮が、心室の不応期のためブロックされてしまう波形でした。

今日は難しかったかな…
とりあえずここまで。

本日のまとめ

・T波にP波が重なるということは、心房性期外収縮(PAC)のタイミングが、心室が収縮している間、または収縮し終わったぐらいに出ているということである

・心室には収縮後に、不応期というどんな刺激にも反応せず、収縮しない時間帯がある

・PACの興奮が、心室の不応期と重なるため、心室に伝わらず、QRS波が脱落する

・QRS波が脱落したPACを「Blocked PAC」または「non conduction PAC」、日本では「非伝導性心房性期外収縮」という

著者紹介 白石拓人 しらいし・たくと
血圧を測りに行ったのに血圧計を忘れるとんこつ...いやポンコツナース。『わからないことを馬鹿にするのは間違ってる精神』で密かに若手ナースを応援している。
「僕なんかできない…」より「僕でもやってみよう…」と考えたい超マブなお年頃。心電図を通してあなたが自信が持てたり、何かに挑戦するスピリッツを持ってもらえるように頑張るんば←黙っ
この心電図の勉強も挑戦でしょう。とにかくなんでもいいから挑戦するあなたの背中押します。ドンっ!!!