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医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。

本日のカタカナ英語:ワイセ

「ワイセどれくらいだった?」「12,000です」
看護師さんなら「ワイセ=白血球」という意味で使ったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。
医師もよく使っているのを耳にします。
「ワイセ」はカタカナだし、英語由来でそのままでも通じるのではと、みなさんは思っていませんか?

「ワイセ」は、白血球を意味するドイツ語の「Weiβeblutkorperchen(ヴァイセ ブルートケルペルヒェン)」の「Weis=白」が由来です。
つまり、「ワイセ」は「白」を意味するドイツ語であり、読み方は日本人にしか通じないカタカナドイツ語です。

英語で「白血球」は「White Blood Cell」です。
漢字と同じ配列で「白=White」「血=Blood 」「球=Cell」と英語を当てはめていくと通じる英語になります。
ただし、頭文字をとった「WBC」は病院のみで通じる略語です。
病院以外で「WBC」といったら「ワールド・ベースボール・クラシック」をみんなイメージしますからね。

白血球を示すドイツ語には、ギリシャ語系のLeukozyten(ロイコツィーテン)もあります。
「白血球」を「ロイコ」と呼ぶ年配の先生方もいるようですが、医療現場では圧倒的に「ワイセ」が使われています。
英語では「leukocyte」と略されます。
「leuko-」は「白」を意味する接頭語、「-cyte」は「細胞」を意味する接尾語です。
英語の発音は、最初の発音が「ロ」ではなく「ル」と発音して接尾語の「cyte」にアクセントを置いて、「ルーコサイト (lúːkəsὰɪt)」が英語に近い発音です
「leuko-」を使った代表的な疾患に「leukemia(白血病)」があります。
みなさんここで「白血球」に略語があるなら「赤血球」の略語は何?と思いませんか。
不思議なことに「赤血球」にはありません。
ただし、貧血の指標となるヘモグロビンにはありますので、次回紹介します。

Your white blood cell count dropped back to normal.

(白血球数が下がって普通に戻りましたね)

「drop」は「return」に置き換えてもいいでしょう。





30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。


「若草物語」の作者ルイザ・メイ・オルコットの言葉です。
“何もかもがうまくいかない……”。
まるで厚くどんよりとした雲が人生を覆ってしまったかのように感じたとしても、雲の向こうには必ず太陽の光は待っている。
希望を捨てずに青空を信じてつらい今を乗り超えよう、というメッセージが込められています。
オルコット自身、作家として評価されず苦しんだ下積み時代があったそうです。
その時代を振り返って表現されたのが、この言葉だったのでしょう。
「夢を持つことはすばらしい」と一般的に言われますが、実際には夢に向かって行動することはきれいごとだけではありません。
泥臭い努力を日々積み重ね、我慢と孤独に耐えながら根拠のない自信を原動力に未来を信じて前に進むことだと私は思っています。
「アメリカ留学の経験がある」と他人に言うと、「すごいね~」「うらやましい」などの反応がほとんどですが、実際の生活は学校以外自室に閉じこもって試験勉強、アメリカらしいイベントに参加できたのはかなり時間が経ってからでした。
厚い雲を乗り越えた者だけに見ることのできる景色があるとしたら、いま我慢と孤独に耐えて努力している時間は必要な時間です。
未来を信じて前に進みたいあなたへ
「There is always light behind the clouds」

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佐藤まりこ
生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。