▼バックナンバーを読む

医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。

本日のカタカナ英語:ハーベー

「ハーベーいくつだった?」「5.6です」
看護師さんなら「ハーベー=ヘモグロビン(Hb)」という意味で使ったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。
ヘモグロビンは赤血球の成分の1つで、おもに貧血の指標に用いられています。
「ハーベー」はカタカナだし、英語由来でそのままでも通じるのではと、みなさんは思っていませんか?

「ハーベー」は、ヘモグロビンの略語である「Hb」をドイツ語の発音で読んだ略語です。

「ヘモグロビン」は、英語で「hemoglobin」です。
英語の発音は、最初の発音が「ヘ」ではなく「ヒ」と発音して「ヒーモグロゥビン((híːməglòʊbɪn)」が英語に近い発音です。
「hemo-」はギリシャ語で「血液」を意味する接頭語、「globin」は「球状のタンパク質」を意味します。
ヘモグロビンは、文字どおり赤血球中に存在する球状のタンパク質で、酸素と結合し全身の組織へ運搬します。

みなさんは、鎌状赤血球(sickle cell disease:SCD)という疾患を覚えていますか?「国試で勉強したくらい」という方が圧倒的に多いのは、日本では馴染みの薄い疾患だからです。
この疾患は、遺伝病の一種で、通常つぶれたアンパンのような形の赤血球が、草を刈る鎌のような形をしていることから「鎌状」と呼ばれています。
赤血球中のヘモグロビン量が少ないため貧血や酸素不足に陥りやすいのですが、マラリアの抵抗力を持っておりアフリカ系アメリカ人に多く発症する疾患です。
私がはじめて鎌状赤血球の患者さんにお会いしたのはアメリカの病院です。
「わっ、教科書に載っていたやつだ」と既往歴を見てすこし感動したのを覚えています。
やはりアフリカ系の大柄な黒人男性でしたが、なんとアフリカ系アメリカ人の13人に1人が鎌状赤血球を持って生まれるという統計があります。
「国や人種が異なれば、その風土や遺伝によって疾患も異なる」、当たり前のようですが実際に体験すると一生忘れない経験になります。

Your hemoglobin levels are back to normal after blood transfusion.

(輸血後、ヘモグロビン値が正常に戻りました)

「blood transfusion」は「輸血」です。





30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。


日本の国民性を表わすことわざに「以心伝心」「出る杭は打たれる」「言わぬが花」などがありますよね。
余計な言葉や自己主張は慎むべきという教えなのですが、アメリカにはまったく逆のことわざが存在します。
それが今日の言葉です。
アメリカでは、文句や不満があるのならはっきりと口に出して伝えることや自己主張することはとても重要視されています。
アメリカ留学中に文化の違いで苦い経験をしたことが多々ありました。
日本の習慣が身についている私は、授業中同じような答えだと発言を控えたり、わかっていることをあえて「知っている」と表現していませんでした。
すると、先生から徐々に存在を無視されているように感じ始め、友人に相談したところ、今日の言葉を教えてもらいました。
アメリカでは「主張しない=自分の考えがない」と見なされるので、私はまったく自分の考えを持たないバカな日本人留学生として扱われていたことに気づきました。
主張しなければ注目されず存在すら無視されるのが海外です。
国際社会とはそうした側面を持っていること、日本の常識は通用しないことを肝に銘じてかかわることは、基本中の基本です。
自己主張が過ぎるアメリカの教育も問題ですが、相手に寄り添うことばかりを教える日本の教育で、いったいどうやって国際社会を勝ち抜く人材を育成できるのでしょうか……。
1人の母親として子どもには、自己主張と協調性のバランスを時間をかけて伝えていきたいと思っています。

------------------------------------------
佐藤まりこ
生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。