はじめての入浴介助を終えて下のフロアに戻ってきたところ、師長さんから、再度上のフロアで患者さんの処置を手伝ってほしいと誘われました。上のフロアに行くのは入浴介助のときだけだと思っていただけに戸惑いつつも、師長の後に付いて上のフロアへ。初めての処置で、とらえかたがわからない抽象的な指示に対しては、学生時代からの経験に照らし合わせながら業務を進めていきました……

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食事介助まで?

ガラガラガラガラ。
患者さんの食事を乗せた台車が来た音がしました。

師長「食事きたから、ここまでにしようか!」

私「わかりました!」

師長「処置台はあった場所に戻してもらって、食事介助までやっていってもらっちゃおうかな!」

私「(!!!)」

私は元あった場所に処置台を戻して、下の階に戻ろうとしていました。食事介助までやるとなると勤務の8割をこの階で過ごすことになります。お風呂をやることで頭いっぱいだったため、想定していなかった展開でした。

私「(急な予定変更は特性上苦手と伝えておいたのにな……。でも、新しいことを学べるし、つらくなり過ぎる前に伝えればいっか。私の様子を見ながら仕事を振ってくれてるだろうし)」

想定外の業務は、気持ちがついていかないこともあります。ですが、発達障害や不安神経症のこともすべて伝えてあるため、「つらくなったら言えばいい。それに午前中だけだからつらくなっても家で整理できる時間があるから大丈夫」だと自分を安心させることができました。


師長「ロビーで食べる患者さんなんだけど、むせ込みもないからよろしくね〜!」

師長さんからロビーで食事される患者さんの食事介助お願いされ、患者さんに食事を運びます。


私「こんにちは〜、お食事お持ちしました」

患者「ごはん? ごはんね〜」

患者さんは辺りをキョロキョロしています。いろんなことに気が散っている様子で、それでご飯が進まないから介助が必要なんだろうなとわかるくらいテレビや他の患者さんが気になって、注意が散漫でした。

私「ごはん食べますよ〜」

患者「ええ、それでね、私は〜」

食事の時間と認識していない様子でしたが、口元に食べ物を持っていくと口を開けて食べてくれました。

咀嚼中も辺りをキョロキョロして、口の中に食べ物がなくなると話し出します。スムーズに食事が進まないですが、口の中の食物がなくなったことがわかるため、食事介助しやすい面もありました。


患者さんの右側に座ってみたり、テレビを隠すように左側に座って見たりしてもおしゃべりは続きます。時間はかかりましたが、全て食べ終わることができました。

(よかったー!)

看護師さんが通りかかり、「食事介助してくれたんだね! ありがとね〜」と言われ、どんな反応をすべきか迷っていたら奥の部屋のほうへ行ってしまいました。

「はい!」なのか、「いえいえ〜」なのか、正しいリアクションがわかりません。脳内でシュミレーションしていないコミュニケーションは瞬時にできません。難しいです。


患者さんの食事用のエプロンを外し、どこに戻したらいいか困ってると、助手席さんが声をかけてくれました。

助手「エプロン片付けておきますよ。まめこさん12時半までですもんね〜」

私「ありがとうございます! お願いします」

助手さんたちは2人以上の患者さんの食事介助をしていて、そのうえ私のことも気にしてくれていて、マルチタスクが苦手な私はすごいことに思えました。


食事介助に集中していたら、時計の針は12時半を指していました。仕事中の時間の経過は早いものです。

師長「時間だからあがって〜! ありがとうね!!」

私「ありがとうございました。お先に失礼します」

腰への違和感

このころから、腰の痛みを感じていました。

助手としての仕事は、患者さんの体位変換や移乗など腰に負担がかかる業務も多いです。多くの助手さんは腰にコルセットを巻いて仕事をしています。

中学生のころから腰痛持ちなので、そこまで気にしていませんでしたが、ときどき足が痺れる感じあり、さらに少量の尿失禁などが出現してきました。


当時、私の自宅の部屋には椅子がなく、床に座ってスタディサプリの講義を長時間聞いていたこともあり、より腰に負担をかけていたのかもしれません(このころは、何かに集中すると不安やストレスが解消されるため、映像授業を観ていました)。

ついには、痛みで座ることができなくなりました。
寝るか立つしかできず、歩くときの振動でも痛みが増強するほどでした。

もしかしたら、働けなくなるかも。
危機感をおぼえ、整形外科を受診することになりました。

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プロフィール:まめこ
5年一貫の看護高校卒業後、林業学校に進学。現在は、病院と皮膚科クリニック のダブルワークをしながら、発達障害を持っていても負担なく働ける方法を模索中。ひなたぼっこが大好きで、天気がいい日はベランダでご飯を食べる。ちょっとした自慢はメリル・ストリープと握手したことがあること。最果タヒ著『君の言い訳は、最高の芸術』が好きな人はソウルメイトだと思ってる。ゴッホとモネが好き。夜中に食べる納豆ごはんは最強。