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事例

Aさん(75 歳、女性) は、28 歳で交通事故で負傷した際に輸血歴があり、50歳のときに慢性C 型肝炎 CH(c)と診断されました。そして外来通院中、2 年前に肝硬変(LC)と診断されました。2 週間ほど前より倦怠感、食欲不振がありましたが、生活にさほど支障がないため様子をみていたところ、ここ数日で下肢の浮腫、腹部膨満感が増強し、家族より皮膚の黄染を指摘され、本日受診しました。

問題

受診時の採血の結果として考えにくいものは次のどれでしょう。
<正解率89%>

(1)ビリルビン値の上昇

(2)ALT・AST 値の上昇

(3)アルブミン値の上昇



… 正解は …











(3)

解説

(1)⇒肝硬変によりビリルビン代謝が不良となり、ビリルビン値は上昇します。
(2)⇒肝硬変により肝は障害されており、ALT(GPT)・AST(GOT)は上昇します。
(3)⇒肝硬変により、蛋白合成は低下し、アルブミン値は低下します。

肝硬変により肝機能が低下すると、アルブミンを作る能力が低下し下肢の浮腫や腹部膨満感が起こります。また、胆汁と一緒に排泄されるべきビリルビンが血液中に漏れ出すことで黄疸を生じます。ほかにも、アミノ酸代謝やエネルギー代謝の過程で重要な働きをするALT・AST は、肝細胞が傷害されることで血液中に漏れ出します。

※2021年5月4日掲載分の再掲載です。