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医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。

本日のカタカナ英語:ザ―

「今からザ―がきます」「ザ―の緊入とれる?」
看護師さんなら「ザ―(SAH)=くも膜下出血」という意味で使ったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。
「ザ―」はカタカナだし、そのままでも通じる英語なのでは、とみなさんは思っていませんか?

「ザ―(SAH)」は、英語で「くも膜下出血」を意味する「subarachnoid hemorrhage」の略語です。
前回紹介した「sub-」と「hemo-」の接頭語が入っていますね。
「sub-」は「~の下(below)」、「-arachnoid」は「くも膜」という意味があります。
「hemo-」は「血」、「-rrhage」は「流出」「排出」という意味があり、つながると「出血」という意味になります。

英語圏の医療現場でも、同じようにくも膜下出血を「SAH」と略して使いますが、読み方は「エス・エー・エイチ」です。
日本の医療現場で「SAH」を「ザ―」というのは、ドイツ語読みしているからです。
昔話ですが、私が脳神経外科病棟で勤務して一番緊張して大変だった緊急入院がSAHでした。
15時あたり緊入が来ると「あぁ……もう今日は帰れない」とあきらめました。
厳密な血圧コントロールのために輸液やシリンジポンプを数台用意して、暗室管理のため脚立に上って黒いカーテンを取り付けます。脚立から一度落ちたこともありました。
患者さんが病棟に搬送されてきたら、怒涛の指示受けにアンギオ(Angiography)の準備、患者さんがアンギオ中にオペの準備をして夜勤者に申し送り……。2~3時間はあっという間に吹っ飛んでいきます。
「え?もう20時?これから記録なのにいったい今日は何時に帰れるんだろう……」という日々は、ほろ苦い思い出です。





30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。


たまたまネットサーフィンで見つけて、思わず笑ってしまった言葉です。
読み人知らず(Anonymous)のようで、個人的には日本のサラリーマン川柳に似ているなと思っています。

曜日別の100%の振り分けが絶妙ですよね。
まず、月曜日が少々かったるいのは万国共通なのでしょう。
このかったるさを「OGIM(=Oh God It's Monday)」といったりします。「やれやれ、月曜日だよ……」といった感じでしょうか。

日本では、「サザエさん症候群」や「ブルーマンデー症候群」などと表現される月曜日病ですが、英語圏でもちゃんと「Monday disease」や「Monday syndrome」といった月曜日病は存在しますよ。ただし、英語圏の「ブルーマンデー」は、1年で一番憂鬱になると言われている1月の第三月曜日を指します。日本のように月曜日病としては使わないので注意が必要です。
火曜日にすこし調子が出てきて水曜日にピークを迎え、週の後半木曜日には早くも失速、そして迎える金曜日は「TGIF」です。
「TGIF」とは、「Thanks God It's Friday」や「Thanks Goodness It's Friday」の略語で、仕事や学校の一週間を終えて週末が来るのを祝う言葉です。
最近は、「FRIYAY」などの表現も目にします。「FRIYAY」とは、FRIDAY(金曜日)とYAY(イェイ!)を組み合わせた造語で「フライイェイ」といいます。
かわいいですよね。
「FRIYAY」に5%は妥当なのでしょう。アメリカで一緒に働いていた事務の女の子は、金曜日ほとんど働かず浮かれていたのを思い出します……。
病棟で働いていると週5日勤はあまりないかもしれませんが、金曜日には気持ちだけでも「FRIYAY」で明るく過ごしたいものです。
いま、私の手元の時計はAM4:00の金曜日、そして今日も明日も仕事ですが、気持ちだけは「FRIYAY!!」で今から朝食とお弁当作りです……。

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佐藤まりこ
生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。