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医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。

本日のカタカナ英語:トロッカー

「気胸の緊入、今からトロッカー入れるって」
看護師さんなら「トロッカー=胸腔ドレーン/胸腔ドレナージ」という意味で使ったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。
「胸腔ドレーン」とは、気胸や胸水、膿胸などの治療目的として、胸腔内の脱気や胸水の採取、一時的な排液のために胸腔内に留置される管のことです。
2重管構造となっており、内側は金属製で先の尖った内筒、外側はシリコン製の管になっており、この外側のチューブのみを胸腔内に留置します。
「胸腔ドレナージ」は、胸腔ドレーンを留置して行われる治療のことです。
多くの施設で「トロッカー」を管と治療、両方の意味で使っています。

「トロッカー」はカタカナだし、そのままでも通じる英語なのでは、とみなさんは思っていませんか?

「トロッカー」は、フランス語で「3」を意味する「trois」と「側面」を意味する「carre」が由来といわれています。
トロッカーの内筒の先端が3面刃の構造だったことに由来するのですが、現在は用途によってさまざまなバージョンが存在します。

「トロッカー」は、英語で「trocar」です。
「trocar」は、最初の「トゥ」にアクセントを置いて「トゥロカー (trə́ukɑː)」が英語に近い発音です。
「トロッカー」とかなり似ていますが、最初の「t」は果物の種を飛ばすように「ットゥ」と発音しないとなかなか通じません。

さて、英語圏の医療現場では、日本のように「トロッカー」を治療目的で使うことはありません。「trocar」は、あくまで穿刺で用いる外科用医療器具の1つであり、病棟などで使われる一般的な医療用語ではありません。

日本の医療現場で使っている「トロッカー」は、英語圏では「chest tube」です。
「トロッカー/胸腔ドレーン」が「chest tube」、「胸腔穿刺」は「chest tube insertion」や「chest tube placement」が相当します。
たしかに、私たちも「トロッカー」を患者さんに説明するときは「胸に管を入れます」などといいますよね。
「胸の管」=「chest tube」は簡単で覚えやすいでしょう。
「胸腔ドレナージ」については、また次回説明しますね。

•Your doctor will place a chest tube to remove air from your chest.
(胸の空気を抜くのに胸に管を入れますよ)





30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。


ミッキー・マウスや「夢の国」ディズニーランドの生みの親、ウォルト・ディズニー(Walt Disney)の言葉です。
だれもが知るエンターテインメントの巨匠ですから、さぞかし裕福な家庭に生まれ夢やファンタジーに満ちあふれた人生を送ったのだろうと思われる方も多いのではないでしょうか?

実際の彼の人生は、順風満帆とはほど遠く、貧困な家庭に生まれ、第一次世界大戦時は衛生兵として兵役にもついています。
会社は何度も倒産し、トラブルや裏切り、従業員の集団退職などにも見舞われます。
それでも彼は決して夢をあきらめず、経験するすべての強烈な向かい風に正面からぶつかり、より高く飛ぶことを学んでいったのです。
今日の言葉には、彼のそんなけっしてあきらめず夢を追い続けた人生が集約されているように思います。
あきらめないことがすべて成功につながる保証はありません。
努力で夢がかなう保証もありません。
でも、あきらめてしまったら夢はおしまいという事実は間違いありません。
私はすべてを投げ出したいほどに追い込まれたとき、あのウォルト・ディズニーでさえ逆境に苦しんだ経験があることを知り、彼のあきらめない不屈の精神に強い感銘を受けました。
どうしようもなく苦しくなったら、彼が夢をあきらめずコツコツと堅実に積み上げた努力の結晶「ディズニーランド」で思いっきり夢の世界を楽しみに行ってみてはいかがでしょうか?
彼の努力の結晶を肌で感じると何か変わるかもしれませんよ。

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佐藤まりこ
生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。