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事例

Aさん(32歳、男性) は、30歳の時に統合失調症(Schizophrenia)と診断され、外来通院しながら抗精神病薬による薬物療法を行っていました。3カ月ほど前から、「病気は治った」と、服薬および通院を無断で中断しました。2週間前より不眠となり、1週間前からは被害関係妄想が出現し、独語や両親に対して怒鳴るといった興奮状態が現れました。心配した両親が病院へ電話相談し、本人を連れて外来を受診をしましたが、精神運動興奮が著しいため、即日医療保護入院となりました。

問題

Aさんは、被害関係妄想に影響された自傷他害の危険性が高いため、行動制限(隔離処遇)が開始されました。精神保健指定医により行動制限の説明をされ、Aさんは黙って医療者の誘導に応じました。隔離室入室時のAさんへの対応について適切なのはどれですか。
<正解率33%>

(1)医師・看護師3名以上で隔離室に案内し対応する。

(2)担当医と担当看護師の2名で隔離室に案内し対応する。

(3)担当看護師が1名で隔離室に案内し対応する。



… 正解は …











(1)

解説

(1)⇒入院当日の患者情報が少ない中で、精神運動興奮の著しい患者の行動は予測しにくく、信頼関係構築が不十分であるため、他害の危険性が高いといえます。患者本人および医療者の安全を守る上で、3名以上で対応し、有事に備えます。
(2)⇒Aさんは30歳代の男性で興奮時のエネルギーは高いと予測されるため、2名では有事に対応できない可能性があります。
(3)⇒隔離室使用が適切とされる精神運動興奮が著しい患者に対して、看護師1名の対応では危険が多すぎます。

被害関係妄想がある患者さんにとって、周囲の環境(人・物)は脅威であり敵となります。周囲への敵意により、他害に至る危険性が高まります。さらに、精神運動興奮が著しい状況下では、言語介入は通用しません。患者の暴力、不穏行動に安全に対応するために、患者の性別や年齢、体格などを考慮し、医師・看護師の複数人数で対応します。患者と直接会話をするのは、代表者1名とし、患者の混乱を避けます。

※2021年6月28日掲載分の再掲載です。