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講師:諏訪太朗
京都大学医学部附属病院 精神科神経科


配信|精神科のお薬とよくある質問①


みなさんこんにちは。今日は精神科のお薬と、よくある精神科のお薬への質問についてお話しします。

まずは、精神科医領域で用いられる薬剤の代表的な5種類、抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬、気分安定薬についてです。これらはしっかり説明すると1つのお薬で1時間くらいかかってしまうので、おおまかに概要を説明したいと思います。

精神疾患と患者さんの理解入門編01


その次に患者さんからよく聞かれるような質問について、精神科医がどのように答えているか一例をご紹介したいと思います。

精神疾患と患者さんの理解入門編02


では抗精神病薬から解説をします。

抗精神病薬というと、統合失調症の患者さんに使われるお薬というイメージを持たれている方も多いかと思いますが、ただの幻覚・妄想を抑える薬ではないんですね。不安や興奮を鎮める作用もあります。この特徴は、ドパミン神経系を鎮める、ブロックする働きがある薬剤ということです。

使用される疾患はスライドのように統合失調症、双極性障害、せん妄、認知症、うつ病、自閉スペクトラム症とたくさんあります。そしてこれ以外にもたくさんあります。

じつをいうとこのなかで保険適用があるのは、統合失調症、双極性障害、自閉スペクトラム症だけなんですが、臨床の現場ではそれ以外にもたくさん用いられています。そのため、いまの医療現場から抗精神病薬がなくなってしまうと大混乱に陥ると思います。

また抗精神病薬=統合失調症というイメージがけっこう強くて、薬局の説明書にも「統合失調症のお薬です」と書いてあったりします。それで統合失調症ではない患者さんが服用を拒んだり、医療者に怒ってこられたりということもあるので、「統合失調症の薬と言われていますが、それ以外の方にも幅広く使われている」という情報提供をするようにしてください。

精神疾患と患者さんの理解入門編03


ちなみにこれは豆知識ですが、向精神薬と抗精神病薬は名前が似てますが別物です。

向精神薬というのは非常に領域が広くて、精神に作用する処方薬全般を指します。一方、抗精神病薬というのはもっと狭い範囲で、向精神薬の一種ですがそのなかのドパミン系を抑制する薬剤を指します。

精神疾患と患者さんの理解入門編04


抗精神病薬は剤型がたくさんありますので覚えておいてください。錠剤粉薬以外にも液剤があり、飲み込みにくい場合などに使用します。

また精神科にしては珍しく貼付剤もあります。これは術後など絶食で内服が難しい患者さんに使用することがあります。そのような患者さんには昔は注射をよく使っていたのですが、貼付剤は注射とは違って一度貼っても剥がせますし、効果がじわじわ出てきますので調節がしやすいというメリットがあります。

あとは注射剤です。筋肉注射する場合もありますし、静脈投与する場合もありますが、即効性がいちばんのポイントです。また貼付剤と同じく内服が難しい場合にも使用できます。

そして精神科ならではの持効性注射剤があります。最近では1回投与するだけで12週間効くという薬も登場しました。2~12週間に1回の筋肉注射だけで効果が持続します。この持効性注射剤を使ったことで患者さんの飲み忘れがなくなり、安定して再入院が減ったということもよく聞かれます。患者さんが服薬を嫌がっているわけではなくても、飲むのを忘れる患者さんにはお勧めしてみる価値があります。

精神疾患と患者さんの理解入門編05


このように抗精神病薬は幻覚、妄想、興奮、不安などを抑えてくれるという点で良いお薬ですが副作用が多いという問題点もあります。抗精神病薬の使用は「副作用との戦い」と言っても過言ではありません。

多い副作用はまず運動障害です。手足が細かく震えたり、小刻み歩行などの薬剤性パーキンソン症候群、顔や体が細かく動いてしまうジスキネジアであったり、抗精神病薬を服用して30分くらいした後でソワソワしてきてじっとしていられないというアカシジアといった副作用が出ることがあります。

抗精神病薬のなかでもドパミン作用の強いものと弱いものがありますが、これらの副作用は作用が強い薬剤で出やすいということが知られています。

あとは便秘も多いですが、だいたいは下剤で改善します。だた放置しておくとまれにイレウスに陥ることもありますので要注意です。抗精神病薬を服用されている患者さんのなかにはお通じに無頓着な方もけっこういらっしゃいますが、そういった患者さんにはどれくらいお通じがあるか日々確認をしておいて、お通じが少なかったら下剤を服用するようにしてもらってください。

精神疾患と患者さんの理解入門編06


そして月経不順です。これはドパミンが下垂体に作用することでプロラクチンというホルモンが上がってしまうことで生じる副作用です。抗精神病薬が原因の月経不順は高プロラクチン血症が見られますので、血液検査で鑑別が可能です。

また、高プロラクチン血症を起こしやすい薬剤とそうではない薬剤がありますので、月経不順が起きた場合は、起こしにくい薬剤に変更を試みます。

次に体重増加血糖上昇です。これも血糖値が上がりやすい薬剤と比較的上がりにくい薬剤がありますので、重度な場合は効いているお薬であっても変更が必要となることもあります。特にオランザピンとクエチアピンは糖尿病の患者さんに禁忌とされていますので、血糖が上昇してきて糖尿病と診断がついてしまったら使えなくなってしまいます。もちろん、生活指導も大事です。

精神疾患と患者さんの理解入門編07


続いて副作用への対応ですが、続きはぜひ動画でごご覧ください




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『精神疾患と患者さんの理解 入門編』ラインナップ


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●精神領域におけるコミュニケーションのコツ【15:52】
●精神疾患のおもな症状【31:42】
●精神疾患領域でみられるおもな症状 不眠【16:54】
●精神科のお薬とよくある質問①【12:38】
●精神科のお薬とよくある質問②【14:54】