第一線で活躍する医師や看護師、医療従事者などが講師として登場し、わかりやすく解説する「メディカのセミナー」。そのセミナーのプログラムのうちチャプターの1つをメディカLIBRARYだけで特別配信します。
※上部のサムネイルをクリックして視聴できます。
※視聴にはメディカIDが必要です。メディカIDをお持ちの方はログインしてそのままご視聴ください。
講師
工藤礼子
国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院 看護部 皮膚・排泄ケア認定看護師
<どんなセミナー?>
ストーマケアに関わるすべての方に!
~患者背景を読み解き、最適なケアとQOL向上を目指す~
「患者さんは安心して生活できている?」「今の装具で本当に満足?」
そんな迷いを解消するには、患者さんの背景を深く理解し、一緒に考えることが大切です。
本セミナーでは、講師の豊富な実体験を交えながら、「患者さんに寄り添った装具選択」のコツを惜しみなくお伝えします。
配信|ストーマ・ストーマ装具選択の基礎知識
ここまでは装具選択に必要な基礎知識として、「ストーマ装具の基本フローチャート」と「異常がある場合の選択のポイント」を見てきました。
ここからは、「患者背景別にみるストーマ選択」についてお話します。
患者さんの日常生活が大切ですので、「やりたいこと」や「大事にしていること」などを、日頃の対話を通して教えていただきましょう。
患者さんが「もうこれは無理だろう」と諦めてしまう前に、方法を一緒に考えていく姿勢を示すことが大切です。
ただし、過大な希望ではなく、現実的な方法をお伝えすることも重要です。ストーマがあってもそのままできること、工夫によってはできること、そういった点はしっかり押さえる必要があります。
これらの点は、手術の決定に影響があることも多いからです。たとえば、「テニスができないならストーマなんて造りたくない」、こういった言葉を耳にすることは本当によくあります。
また、こうした情報は「ストーマサイトマーキング」にも活かします。「ロッククライミングをするので、ベルトが当たらない位置にしたい」、そのような患者さんもいらっしゃいますので、マーキングの際にベルトを持ってきていただき、位置の確認などに活用します。
さらに大事なこととしては、「何ができるのか/できないのか」は、ストーマの有無だけでなく、病状や治療過程などにも左右されます。これからつらい抗がん剤治療が待っているのに、「なんでもできます」と言ってしまうのは誤りだと思います。
今は緩和ストーマも多い世の中です。造設の目的や、これから患者さんがどうなっていくか、そういった点もしっかり押さえたうえでご指導いただきたいと思います。
では本題に入ります。「患者背景別にみるストーマ装具選択」についてお話ししていきたいと思います。
まず患者さんの希望や日常生活の拡大など、皆様が日頃関わることが多いテーマを前半に取り上げます。
まず「運動を継続したいストーマ患者さん」について。事例は水泳とスキーです(このスライドは、東京医科大学病院看護部、皮膚・排泄ケア認定看護師、見山さんからいただいたものです)。
まず、「発汗による面板の密着力(粘着力)低下への対応」です。
選択肢①は、「耐久性のある長期交換型の装具を選択する」です。
先ほどの分類では詳しく触れませんでしたが、装具には「短期交換用」と「長期交換用」がありますので、これらを使い分けて対応します。
選択肢②は、「短期交換型の装具を選択し、運動終了後にその都度交換する」です。こういった方法を好む方もいらっしゃいます。
ですので、患者さんがどうしたいかが重要です。スポーツ後に装具を剥がしてさっぱり洗いたいのか、それとも剥がれが心配なので耐久性の高いものを使いたいのか。そういった点も、患者さんとの対話が必ず必要になります。
運動する日としない日で、複数の装具を使い分ける方もいらっしゃいます。選択肢①と②を組み合わせても構いません。長期交換用を使う場合は、運動する日に合わせて交換のタイミングを調整するのがよいですね。
ストーマ装具は、必ずしも1種類を使い続けなければならないわけではありません。身体障害者手帳の給付券を利用されている場合でも、販売店のリストに複数種類の装具を書いてもまったく問題ありませんので、患者さんの好みに合わせて選んでいくとよいと思います。
次に、「運動時の服装に合わせる」対応です。
ストーマの袋を変更できるよう「二品系装具」を選び、運動時は小さな袋にするという方法があります。また、袋越しにストーマが見えないよう、不透明の袋を選ぶことも一つの方法です。
そして、「運動に合わせてアクセサリーを選択する」ことも有効です。
いくつかアクセサリーをご紹介します。これらは様々な場面で応用できますので、少し丁寧にお話ししていきたいと思います。
まず、防水性のある医療用テープのご紹介です。
患者さんは装具が剥がれることを非常に心配されます。ご自分で購入したテープや、極端な場合にはガムテープを貼ってしまう方も実際にいらっしゃいます。
ですので、私たち医療者からは、皮膚に優しく保護性のあるテープを提案する必要があります。商品名で言いますと、「ブラバ伸縮性保護テープ」や「セラプラス外周シール」など、実際に運用できるようにご紹介することもあります。
次に挙げるのは「ムーバル」という製品です。
これはストーマ装具の形状に合わせたポリウレタンフィルム製で、高透湿性があるのが特徴です。
私たちが選ぶ際は、皮膚保護性や吸水性、そして保湿性があるかどうかを基準にしていますので、こうした商品が候補として挙がってきます。
こちらは「まもーるベルト」という製品です。
これは衝撃や圧迫を和らげるもので、「ボールが当たらないように保護したい」とか、「着物を着る時にしっかりガードしたい」といった場合に使われる方もいらっしゃいます。
これを見本としてお見せすると、「あ、ホームセンターであれを買って工夫すればいいかしら」などとおっしゃる患者さんもいらっしゃいます。私たちもこうした製品の知識を持っておき、必要に応じて情報提供できるようにしておくことが大切です。
今回の事例の患者さんは「水泳をしたい」とのことでしたので、水泳に適した水はけの良い製品として、「オストミーシークレット」の「スイムラップ」という製品をご紹介します。
そのほか、水着の選び方についても工夫ができます。ラッシュガードを着用したり、女性であれば上下が分かれているタイプの方が、ストーマが目立ちにくく、排泄時の処理もしやすくなります。
ぜひこういった水着についても、患者さんと一緒に考えてさしあげるとよいと思います。
次に「ストーマ用腹帯・腹巻・ベルト」について、これらはおもに、ストーマ袋を安定させるためのものです。
専用の腹巻には、消臭効果があったり、穴を開けてもほつれにくいといった特徴があります。
また、これらのベルトは他社の装具にも使えます。たとえばミムロさんの「ワンタッチベルト」などは、私自身も実際の装具選択で提案することが多くあります。
次に「ストーマ袋カバー」についてです。
これも好みによりますが、汗の吸水や、袋を目立たせなくするといった効果があり、オーガニック素材や消臭機能のあるものなど様々です。
また、こちらは「防音カバー」といって、少し厚手で作られています。
ガスが出る時の不快音などを緩和する商品ですが、実際にどの程度抑制されるかは、やはり患者さんの感じ方によります。ですので、私としては「絶対に効果がある」といった勧め方はしないよう気をつけています。
「ストーマ用下着」の特徴についてです。
こちらは内側にポケットが付いており、このようにストーマ袋を収納することができます。ダブルストーマの方や、袋が右・左どちらにある場合でも対応できるよう、両側にポケットが設けられています。
これらはストーマ袋の安定性を高めたり、目立ちにくくさせるために使用されます。
ご購入いただくとすべてのプログラムがご覧いただけますのでぜひご検討ください。
プログラム
1. ストーマ・ストーマ装具選択の基礎知識(約15分)
ストーマ・ストーマ装具選択とは/ストーマの観察方法/ストーマ装具の種類
2. ストーマ装具選択のフローチャート(約15分)
基礎編/皮膚障害時編
3. 患者背景別にみるストーマ装具選択(約30分)
ライフイベント:妊娠・出産、子育て中
背景:認知機能低下、小児、化学療法中
希望など:できるだけ安価にしたい、仕事を続ける、旅行に行きたい、運動をしたい
▼詳しくはこちらから
特集連動セミナー(有料)のテキストはこちら
