第一線で活躍する医師や看護師、医療従事者などが講師として登場し、わかりやすく解説する「メディカのセミナー」。そのセミナーのプログラムのうちチャプターの1つをメディカLIBRARYだけで特別配信します。

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講師
髙橋 愛
株式会社ビューティヘルスラボ Maria ヘルスケアディレクター/大阪大学大学院医学系研究科 保健学専攻 総合ヘルスプロモーション科学講座

<どんなセミナー?>
連携して「知る」ことが、最大のリスク対策に!
利用者がふと漏らす不安や悩みは、コミュニケーション不足のサインかもしれません。地域のステークホルダーを正しく理解しつながることで、未然に防げるリスクが見えてきます。
地域での訪問看護を安定して続けていくために、現場で活かせるリスク管理と地域連携の実践ポイントを学びましょう。


配信|3.多様な疾病、年代、対象者の違いによるリスクを知る



知って得する!訪問看護でのリスク管理のノウハウ


次に後半に入ります。 3番目は「多様な疾病、年代、対象者の違いによるリスクを知る」についてです。
この章は、すべて事例を通してお話させていただきたいと思います。

知って得する!訪問看護でのリスク管理のノウハウ01

まず一つ目は、「障がい・先天性疾患をもつ子どもの生活・療養上のリスク」についてのお話です。

知って得する!訪問看護でのリスク管理のノウハウ02

まず、まとめからお伝えします。
子どもの場合、最も身近な存在である母親による危険、つまり虐待が潜んでいることがあります。
母親は一番身近で子どもをケアしているので、独自のやり方が行き過ぎてしまい、結果として子どもに負担をかけてしまったり、必要な医療受診を受けさせなかったり、といったケースが見られます。
よくある背景として、DV、夫からの暴力があります。DVの背後には、やはりどうしても子どもへの虐待が潜んでいることが多く、この二つは切っても切れない問題といえます。
また、子どもは成長とともに、年代ごとに生活環境を整備していく必要があります。学校との連携による「教育を受ける権利」の保障や、療育のサポートも重要です。
療育は成長段階に応じてレベルを見直し、随時段階を上げていかないといけません。
このように、多くの課題が存在しています。

知って得する!訪問看護でのリスク管理のノウハウ03

では、まず事例①です。訪問看護による医療機関への調整によって、支援継続が可能となったケースです。
プロフィールは、ミトコンドリア病の小学校1年生のお子さんです。
利用しているサービスは、訪問診療、訪問看護、訪問リハ、ヘルパーです。
関わっている医療機関はA・B・Cの3つで、特にB病院には、今回のキーパーソンである「母親が最も信頼しているドクター」がいます。

赤字が概要です。
虐待アセスメントとして、母親による長時間の危険な吸引がありました。この母親はこだわりが強く、病院での吸引指導も一切効果がありませんでした。また、昼夜逆転、母子分離の拒否、保健師の介入拒否といった状況も見られました。
今回の訪問看護との連携は、気管切開手術に向けた入院調整が中心となっています。
次に経緯です。
長年、母親による危険な吸引については、関係機関も危機感を持っていました。しかし吸引方法について指摘すると、「もう来ないでください」と、即関係終了となるリスクがありました。母子ケースでは、あるあるですよね。
気管切開については、かなり前から勧められていましたが、母親が一貫して拒否していました。そうした中で、相談員や訪問看護が粘り強く「もういよいよ気管切開しないといけない」と説得し続けました。
また、母親が一番信頼しているB病院のドクターに相談し、父親も巻き込んだうえで同席してもらい、改めて説明を行いました。
その結果、C病院への紹介につなげることができ、母親も納得して気管切開を行うことになり、手術が決定しました。
しかし入院間際になって、母親は子どもの単独入院を受け入れられなくなり、病院とトラブルを起こします。なんとか説き伏せて入院は実現しましたが、入院中は毎日病棟へ電話をかけたり、面会時間外に来院するなど、トラブルが続きました。
その結果、予定より早い退院となりましたが、手術自体は無事に成功しています。

知って得する!訪問看護でのリスク管理のノウハウ04

この気管切開手術を行ったC病院に対して、事前に保健師から、虐待困難事例であることや、術後の吸引指導方法、退院前カンファレンスの調整について依頼をしましたが、病院側からは一切無視されました。退院日も、関係機関に伝えず退院させようとする状況でした。
C病院も連日の電話や時間外来院などで、ほとほと疲弊していたとも考えられますが、気管切開後の訪問看護指示書を依頼しても「喉に穴が開いただけで、なぜ改めて指示が必要なのかわからない」と、依頼を断られる場面もありました。
この状況について保健師が訪問看護に相談したところ、訪問看護が直接C病院へ連絡を取り、退院後のサービス調整を急遽整えることができました。訪問看護が病院を説得し、支援体制を再構築できた事例です。
退院後は、訪問看護と保健師がさらに連携を強めながら調整を行い、現在はどの医療機関への受診も継続できており、症状も安定しています。
この事例を提供してくれた保健師からは、「訪問看護ステーションの大活躍で、このケースはうまく収まった」との話があり、非常に感謝している、という報告でした。

知って得する!訪問看護でのリスク管理のノウハウ05

事例②は、訪問看護による的確な虐待リスクアセスメントの事例です。
プロフィールは、外傷後脳症の0歳児となっています。
家族構成がこの事例のポイントです。父親とは別居中で、現在は離婚調停中。母親は20代前半で、3歳の兄がいます。本児とあわせて、母の実家で生活しています。
母親が非常に個性的だったり、特性があるケースもよく見られますが、このお母さんは年齢不相応な幼さや、感情表現やコミュニケーションに苦手さがあり、不満や困りごとを自分から開示できない状況でした。
このケースは、保健師と計画相談員が退院前から関わりを開始し、退院と同時に、子どものケアのために訪問看護の利用を開始したということになっています。
実際の訪問看護の役割としては、①母親のコミュニケーションの傾向・ケア能力や育児力・兄の様子の観察、②虐待リスクの観察、③災害時の備え、の3つがありました。
訪問看護は、これらの内容を保健所と計画相談員に「アセスメント+危機感+支援方針」として共有しました。また、訪問看護が「最も身近な支援者」として、日々の状況確認やこまやかな声かけを担っていました。


知って得する!訪問看護でのリスク管理のノウハウ06

非常に密な連携の中で、訪問看護から得られた言葉として、「やっぱり訪問看護師だけでは対応しきれないことがあった」という共有がありました。
具体的には、①長時間を要する家族とのやりとり、②看護師の訪問時間内だけでは対応が難しい相談、③複数機関での役割分担が必要な相談、④経済面や福祉制度、行政が関与する支援 については、やはり訪問看護単独では担いきれないと。
これらの課題については、こまめな連絡と適切なタイミングでのカンファレンスを重ねることで、変化があればすぐに対応できるチーム体制を整えることができました。
訪問看護を中心に、関係機関がうまく連携できている事例だといえます。

知って得する!訪問看護でのリスク管理のノウハウ07




ご購入いただくとすべてのプログラムがご覧いただけますのでぜひご検討ください。







プログラム


1.地域におけるリスク管理とは
・なぜ、地域におけるリスク管理を学ぶ必要があるのか
・地域のステークホルダーとの連携の必要性
・利用者(患者)・事業所・個人を守るためのリスク管理

2.在宅で自分らしく療養するために
・利用者(患者)のニーズとリスク
・家族のニーズとリスク

3.多様な疾病、年代、対象者の違いによるリスクを知る
・障がい・先天性疾患をもつ子どもの生活・療養上のリスク
・精神疾患患者の生活・療養上のリスク
・高齢期患者の生活・療養上のリスク

4.地域のステークホルダーとの連携によるリスク管理
・なぜ、地域連携・多職種連携が必要なのか
・地域のステークホルダーを活用して安定経営の担保とする
・行政の役割を知ること・関わることでのリスク管理
・知っておくこと・備えておくことから始まるリスク管理

5.質疑応答
・精神疾患の利用者さんの症例で、訪問看護だけで健康状態の維持を進めるには限界あり。地域包括に相談すべきか、保健師へ相談すべきか?
・訪問看護師から保健師へ情報共有・連携するとき、どういうところに気をつける必要がありますか?

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