第一線で活躍する医師や看護師、医療従事者などが講師として登場し、わかりやすく解説する「メディカのセミナー」。そのセミナーのプログラムのうちチャプター①をメディカLIBRARYだけで特別配信します。
※上部のサムネイルをクリックして視聴できます。
※視聴にはメディカIDが必要です。メディカIDをお持ちの方はログインしてそのままご視聴ください。
慶應義塾大学病院循環器内科 専任講師
北海道大学大学院 医学研究院 循環病態内科学 准教授
<こんな方にオススメです!>
代表疾患である虚血性心疾患と、現場ナースにとってすぐ使える身体所見について、わかりにくいところを補足し、理解しやすくわかりやすい表現で解説!
香坂先生の「的確なまとめ」と「要約コメント」でストンと理解でき、永井先生の「すぐ役立つ知識」と「医師のアタマの中の解説」で実践力が身につきます。疾患について誤解していたところや、知ってるようで知らなかったことがわかり、明日からのケアに活かせます。
配信|CHAPTER 1:虚血性心疾患とは何か/冠動脈の解剖を理解する
香坂先生:今回は虚血性心疾患の身体所見の総整理ということで、永井先生と一緒にお話していきます。
永井先生:ここでは香坂先生といっしょに虚血性心疾患について勉強していきます。虚血性心疾患は数多くある循環器疾患のなかでもいちばんよく遭遇する心疾患です。特に、急性の患者さんには早く挑んで、そして慢性の患者さんにはゆっくり考えて挑む、そういったところがキーになりますので、本日はそのようなお話をしたいと思います。では、今日のアジェンダはこちらです。
まず、虚血性心疾患とは何かということに理解していただいた後に、冠動脈の解剖を理解して、そして、どうして冠動脈疾患が起こるのかという病態生理についてお話したいと思います。
その次に診断、治療についてふれていき、最後にみなさんからよくある質問についてもふれたいと思っていますのでよろしくお願いします。
ではまず虚血性心疾患とは何かということについてお話しします。
虚血性心疾患とはスライドの図の通り、冠動脈が狭くなったり、塞がれたりして起きる病気です。狭心症は血管が狭くなって、血流が悪くなって、動脈硬化によって起こるわけですが、血管の中が狭くなり血液の流れ悪くなることによって胸が苦しいなどの症状が出ます。そして右下図の通り、心筋梗塞は急に血管が詰まることで血流がストップことでその先の心臓の筋肉が壊死する病気です。
これをひと言で言うと「何らかの理由で冠動脈にトラブルが起こり、必要な酸素が心筋に供給されない」という病気です。
この心筋虚血ですが、何が困るのかというと、次のスライドの左側に示す狭心症ですが、冠動脈の中に動脈硬化ができて流れが悪くなるということになると、ちょっと階段を上るだけでも胸が苦しいという状態になったり、安静にしても動脈硬化がかなり高度になったり、血管が痙攣すると胸が苦しくなります。
次に心筋梗塞ですが、急に血流がストップしますのでみなさんもイメージが湧きやすいと思いますが、先の心臓の筋肉が壊死します。そうすると命にかかわるわけです。不整脈が起きたり、心不全が起きたりして救急車で運ばれる、命が危ない病気だということを理解してもらいたいと思います。
また心筋梗塞は3大合併症というものがあり、心臓壊死したところ孔があくと心破裂が起きます。次に致死性不整脈ですが、心室細動とか心室頻拍を起こしてバタっと倒れてしまう。また心臓という臓器は再生しないので筋肉が壊死するとポンプ機能が悪くなり、肺や全身に水が溜まって息が苦しくなる、足がむくという、心不全の病態を呈します。このように心筋梗塞は非常に恐ろしいわけです。
香坂先生:永井先生、私から質問なのですが、前の「心筋虚血で何が困るのか」のスライドのところで、最後に「心筋梗塞は恐ろしい」とおっしゃっていましたが、その心筋梗塞の前に狭心症があって、そこを防いでいくことで先ほどのような恐ろしい合併症を防いでいくという流れで理解すればいいでしょうか?
永井先生:そうですね、ながには不安定狭心症といって急激に血管の中が狭くなって一時的に狭心症になるのですが、それが進行して詰まってしまって心筋梗塞なるという病態もあるのですが、実は、多くの研究がされていて、狭心症を経ずにいきなり血管の中にポンと血栓ができて心筋梗塞になるといったことも起きることがあります。
香坂先生:なるほど、そうなんですね。
永井先生;そのため必ずしも狭心症から心筋梗塞が起きるというわけじゃないことがわかっています。
香坂先生:そうすると、冒頭に永井先生がおっしゃったように、狭心症と急性心筋梗塞でアプローチの仕方がだいぶ違うわけですね。心筋梗塞は先ほどのような合併症を防ぐために急がなければいけないけど、ただし狭心症が前にあることも、ないこともあって、一直線上にあるわけじゃないという、バラバラっとしているわけですね。
永井先生:そうですね、その通りです。これは私も大学で教えていたときに学生さんから質問されたのですが、狭心症の延長で心筋梗塞があるわけではない、ということはこの後の話でも非常に重要なポイントとなってくるということを、これから説明させていただこうと思います。
では次に、冠動脈に病気が起きるといのは虚血性心疾患だということをここまでお話させていただきましたが、この病気を理解するにはまず冠動脈の解剖をまず理解しておく必要があるのですが、続きはぜひひログインして動画でご覧ください。
プログラム
<風林火山で挑む虚血性心疾患>
CHAPTER 1.虚血性心疾患とは何か / 冠動脈の解剖を理解する(9min)
CHAPTER 2.なぜ冠動脈疾患が起こるのか?:病態生理(12min)
CHAPTER 3.狭心症と心筋梗塞の決定的な違い / だれが狭心症っぽい? だれが急性心筋梗塞っぽいか? / 問診・心電図・トロポニンで「風」の如く診断する / よくある質問:「高感度トロポニンあるとき、ないとき」(15min)
CHAPTER 4.冠動脈疾患への治療 / 原因に対する治療がキホン / 冠動脈が狭ければPCIですか? / 急性冠症候群と慢性冠症候群(14min)
CHAPTER 5.詰まっているから「火」の如く再開通を / 完全に詰まってないので「林」の如く少し考えよう / ABCDEを「山」の如く積み上げて治療適応を考える / よくある質問:「抗血小板薬について」(21min)
<循環器の身体所見 ~見て・聞いて・感じる~>
CHAPTER 6.身体所見をとるということ / ナースにとって身体所見がもっとも必要なとき / ショックの原因臓器を考える(13min)
CHAPTER 7.頚静脈怒張の見かた / 内頚静脈の見つけかた / 内頚動脈と頚動脈の鑑別 / 身体所見でこれだけ鑑別がつく(14min)
CHAPTER 8.ナースに必要な聴診3つ/心不全の鑑別はⅢ音がかなめ/Ⅳ音はおかーさんと覚える/代表的な拡張期雑音/下腿浮腫の見かた(19min)
CHAPTER 9.よくある質問:「胸痛患者さんへのトロポニン検査について」/講義のまとめ(5min)