第一線で活躍する医師や看護師、医療従事者などが講師として登場し、わかりやすく解説する「メディカのセミナー」。そのセミナーのプログラムのうちチャプター①をメディカLIBRARYだけで特別配信します。

※上部のサムネイルをクリックして視聴できます。
※視聴にはメディカIDが必要です。メディカIDをお持ちの方はログインしてそのままご視聴ください。




内藤知佐子
愛媛大学医学部附属病院 総合臨床研修センター 助教

<こんな人におすすめ>
知識としては理解しているものの、実践に活かすことに苦労されている方にオススメ! 明日からの指導にすぐに応用できる!
一時停止を押してできる簡単なワークつき講義動画です


配信|CHAPTER 1:効果的に人を育てるために知っておきたいこと


みなさんこんにちは、京都大学の内藤です。

今日は『育てる“コツ”と効果的なかかわり方』中堅・ベテラン編ということで、みなさんといっしょに学んでいきたいと思います。

現場で指導していくなかで、意外と難しいなと思うのは中堅・ベテランだと思うんですね。そのあたりをいっしょにひも解いていきましょう。

このセミナーは、20~30分の講義の4本立てになっていて、どこから聴いていただいてもかまいません。途中でロールプレイもありますので、体験したいという方は、2人以上で聴いていただけるといいかと思います。もちろん、1人でも十分楽しめる内容となっています。

途中、画面の右下のところに、このスライドで表示しているような「一時停止ボタン」が出てきますので、もしこのマークが出てきたらいったん停止してワークに取り組んでみてください。

では、さっそく学んでいきましょう。

育てる“コツ”と効果的なかかわり方01


今日はこの4本立てです。いろんなメニューを準備していますが、さっそく1つ目からいきましょう。「効果的に人を育てるために知っておきたいこと」です。

育てる“コツ”と効果的なかかわり方02


まずは「学びほぐし」の話からいきましょう。

このスライドは私がセミナーのときに必ず入れるイラストです。

育てる“コツ”と効果的なかかわり方03


私たちのモノの見方は、実は過去の経験に大きく影響を受けるといわれています。

さあ想像してみてください。

コップに半分の水が入っています。その水を見て、あなたはいま何を感じましたか? 感じたことをどこかに書いてみましょう。

そしてそのコップはどんな材質だったでしょうか? その材質も書いてください。例えばガラスのコップ、紙コップ、あるいはプラスチックのコップという人もいるんじゃないでしょうか。

……。

さあ、みなさんは何を感じましたか?

冷たそうだなあ、おいしそうだなあと、コップのまわりに水滴がついているような冷たい水をイメージした人もいれば、「誰やねんこれ、私に片付けろってこと?」なんてイライラっとした人もいると思います。

これが物事の見方の違いです。同じものを見ても同じには感じられないということを覚えておいてください。

コップの材質も人それぞれです。紙コップを想像した人もいれば、子育て真っ最中の人はプラスチックのお子さんに提供するときのコップをイメージしたかもしれないですね。あるいは、仕事に意識が向いている方は、患者さんに提供するときのコップをイメージしたのではないでしょうか。

過去の経験は人それぞれです。経験が違えば物事の認知の仕方にも差が出てきます。「あなたも同じように感じたでしょ!」ではズレが生じちゃうのです。このズレが、指導がうまくいかない原因になっていますので、しっかりと対話をして、このズレを解消していくことが大事なポイントになります。

育てる“コツ”と効果的なかかわり方04


そしてもう一つ、看護職は間違ってはいけない世界で毎日生きています。するとどんどん自分のなかに強い規範ができていきます。「こうあるべき」「こうあらねば」と、この「べき」「ねば」も、物事の認知の仕方を歪めていきますので、今日はこのセミナーを聴きながら、ご自身のなかにある「べき」や「ねば」を自己点検していきましょう

もし、自分のなかにこういう「べき」があるな、こういう「ねば」があるなと思ったら、どこかに書き留めておいてくださいね。

育てる“コツ”と効果的なかかわり方05


人材育成を担うとき追及することが、中原淳先生の書籍『ここからはじまる人材育成-ワークプレイスラーニング・デザイン入門』に載っていました。

まずはどんな人材を育てたいか、このビジョンを自分のなかにしっかりと持つことが大事です。どんな中堅・ベテランを育てたいのか、これがしっかり明確に自分のなかにあると、グッとそこに向かってみんなでがんばっていけるんですね。この軸が揺らいでいると、指導も曖昧になってしまいますので、自分のなかでしっかりと軸を持つことを大事にしましょう。

そしてそのときには、どんな学習を組織するかということが大事になってきます。年間の研修スケジュールもそうですが、自分自身、日々の関わりのなかでこの要素を意識するだけで軸がブレない指導につながっていきます。

育てる“コツ”と効果的なかかわり方06


特に私が大事だなあと思ったのはいちばん下の「Warm Heart(温かいまなざし)」ですね。どうしても管理職はポジションパワーが働きますので、「あなたに育ってほしい、成長してほしいと思うんだよ」という学習者を信じるスタンス、あたたかいまなざしがないと、うわべだけの指導ではスタッフは育っていかないことを感じています。

「Warm Heart(温かいまなざし)」がなぜ大事かというのが次のスライドです。組織における成功循環モデルというものがあり、ダニエル・キム先生という方が提唱しています。

育てる“コツ”と効果的なかかわり方07


私たちはアウトカムを求められますので、ついつい結果の質に着目しがちです。「ねえ、なんでできてないの? やっておいてってお願いしたでしょ」というように結果の質ばかりに着目して関わっていくと関係がぎくしゃくしていきます。

すると関係の質が悪くなりますから、スタッフの思考の質もどんどん悪くなっちゃいます。そしてスタッフは「怒られないように」という視点で動くようになります。すると行動がグッと狭まってしまい、出てくる結果も期待に対して最低限か、それ以下になってしまいます。

そうすると「え、なんでコレしかできてないの?」と、「コレしか」という言い方になってしまうんです。するとまた関係の質が悪くなって、スタッフの思考の質がさらに固まって、行動が委縮していくのです。

この負のスパイラルを脱してください!
では、そのために何をしたらいいか。

ダニエル・キム先生は「まず“関係の質”から取り組みなさい」と言っています。関係の質なんです。安心・安全基地、みなさんの現場にはあるでしょうか? なんでも言い合える、この関係の質があると、いろんなアイデアをみんなが出してくれます。

そして出てきたアイデアは受け止めてください。「あ、おもしろいねそのアイデア。ちょっとやってみようか」と受け止めてもらえると、スタッフはどんどんどんどん思考が豊かになっていきます。するとスタッフは伸びやかに動いてくれます。そして期待以上の結果が出てきますので、管理者もハッピーですよね。だから管理者も自然と表情が豊かになります。表情が豊かになると、そういう管理者の様子を見て、またスタッフは安心・安全を感じて、豊かに考え、行動していってくれるというのが、この「成功循環モデル」です。

大事なのは「関係の質」です。
さあみなさん、どのようにスタッフと関係を築いておられるでしょうか。

いい関係を築くためのコツがありますので、次のスライドでお話ししていきたいと思いますが、続きはぜひログインして動画をご視聴ください

育てる“コツ”と効果的なかかわり方08



プログラム


#01 効果的に人を育てるために知っておきたいこと
・「先入観」「べき論」の自己点検
・急がば回れ「関係の質」から取り組む
・「指導者の樹」――根っこを育てよう
・過度な介入が「心理的リアクタンス(抵抗)」を生む

#02 なぜ、中堅・ベテランへの指導は難しいのか
・不合理な信念を抱えていませんか?
・役割分担と役割意識のバランス
・中堅看護師が離職を思いとどまった要因
・中途採用者のキャリア志向の特徴

#03 個別性をとらえた人材育成とは
・ファシリテーター:縁の下の支援者
・「聴く」と「訊く」の2つを意識しよう
・リフレーミング:物事を捉える枠組みを変える
・「そうきたか、斬新☆」で怒りをおさえよう!

#04 中堅・ベテランへの困りごと ~事例で学ぶ効果的なかかわり方~
・事例① 学習意欲がない中途採用者
・事例② 看護師長になりたくない
・事例③ ネガティブ発言が多いスタッフ
・事例④ 後輩への指導をしないスタッフ