第一線で活躍する医師や看護師、医療従事者などが講師として登場し、わかりやすく解説する「メディカのセミナー」。そのセミナーのプログラムのうちチャプターの1つをメディカLIBRARYだけで特別配信します。
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讃岐美智義
独立行政法人国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター 中央手術部長・麻酔科科長
<こんな人におすすめ>
異変・急変を見逃さないために「次を予測する」「変化を読み取る」コツを身につける!
「生命を保証・麻酔効果を判定」する全身麻酔中のモニターの使いかたや見かたをマスターしましょう!
配信|CHAPTER 4:呼吸モニター
呼吸のモニターについてスライドのようなお話をしていきます。
「呼吸と循環はつながっている」、「酸素化と換気、どっちのモニタリングか?」、「PaO2とSpO2の正体」、PaO2というのは血液ガス分析で出てくるO2ですね。SpO2はパルスオキシメーターで出てくるO2のCOです。その正体は?というお話です。
「分時換気量、1回換気量、呼吸回数の関係」、人工呼吸器を扱うときにはこれを見ないといけませんし、「P-VループとF-Vループ」ですがこれは換気の評価に使います。これの簡単な見かたをお話しします。
そして「EtCO2がきちんとできていることの意味」はものすごく大事です。これは人が生きているという意味を含んでいます。最後に「動脈血ガス分析値とモニターが違う?」ということですが、EtCO2と違うという意味はなんでしょうかというお話をしていきます。
このスライドの写真、〇〇に入るのは何でしょうか?
答えは「阿吽の呼吸」ですね。この人たちの呼吸というのは、どっちかが吸気でどっちかが呼気なんですね。左は阿形像、右は吽形像、私が法隆寺の中門に行って撮ってきたものです。
次のスライドは東大寺の南大門で、運慶が作った阿形像と吽形像があります。左の阿形像は口が開いていてお腹に力が入っていますね。どちらが呼気で、どちらが吸気でしょうか?
「あ~」と言いながら息を吸ってみてください。できませんね。次に「ん~」と言いながら息を吸ってみてください。「あ~」と言おうと思ったら息を吐かなければなりませんが、「ん~」なら鼻から息が吸えます。
次のスライドはこま犬ですが、これもそうです。太宰府天満宮の写真ですが、左が「あ」で右が「うん」です。左は息を吸っていて、右は息を吐いています。阿吽というのは呼気と吸気なんですね。
呼気と吸気の次は、酸素化と換気の話です。呼吸を見るポイントですが、我々は酸素を取り込んで二酸化炭素を吐き出しています。これは何の意味があるのでしょうかということなんですが……。
酸素を取り込もうと思うと息を吸わなければいけませんが、気道が詰まっていると吸えないですね。気道閉塞は上気道の閉塞と下気道の閉塞の2つのパターンに分けられます。
基本的に上気道の閉塞というのは吸気の障害です。我々が麻酔導入時に経験する気道閉塞というのは、ほぼ100%上気道の閉塞です。
下気道の閉塞というのは呼気の障害です。呼気の閉塞というのは、息を吐くことができない、吐くときに詰まっている喘息のような病気です。
もうちょっと簡単に言うと、上気道の閉塞というの耳鼻科領域の閉塞、下気道の閉塞は呼吸器内科領域の閉塞ということになります。
では、見かたですが、上気道の閉塞を見るときは首を見てください。吸気時に首の筋肉が下のほうに動く、トラキアルダックといいますが、その動きが上気道の閉塞を表してます。
そして吸気時の呼吸と呼気時の呼吸が両方とも閉塞しているシーソー呼吸というのがありますが、これは上気道の閉塞が高度になってくるとシーソー呼吸になるので呼気時にも閉塞してきます。
また、下気道の閉塞は呼出障害なので、腹筋が収縮して横隔膜を押し上げるような動きが見えます。なので、シーソー呼吸というのは、首を見たときに鎖骨上部が下がったり、首の筋肉が下がって胸骨の上のところがくぼんだりする状況が見えます。
次のスライドの動画を見てください。
「上気道」のほうは右側が顎で左側が鎖骨です。動画を再生して説明していきますので、続きはぜひログインして動画で視聴ください。
プログラム
■モニタリングは何を示している?
・心電図・ SpO2は「耳で聞く」
・五感を使った観察
・心拍数より脈拍数
・術中に必要な心電図波形はこれだけ!
■血圧の測り方 いまさら…
・平均血圧と脈圧の正体
・動脈圧とパルスオキシメータ脈波の形を見る
・脈波形の呼吸性変動
・血圧と脈拍の“連動4パターン”を知る
■呼吸モニター
・P-VカーブとF-Vカーブを読み解く
・呼吸と循環はつながっている
・EtCO2がきちんと出ていることの意味
■神経-筋・体温モニター
■加温と保温
・体温が下がってしまうとどうなるのか?
・麻酔がかかっている患者は、どうして保温だけではダメなのか?
・体温を下げないための加温と保温
■麻酔効果を判定する
・きちんと眠ったのか、起きているのか
・BIS値と鎮静状態
■筋弛緩モニターはいつモニタリングするのか?
・神経刺激装置によるTOFカウント
・筋弛緩からの回復の評価
■質問コーナー
・BISモニターやTOFモニターをつけないで全身麻酔の手術をしている場合があります。麻酔科の先生は、何を見て筋弛緩と意識の消失を判断してますか?
・また、意識が出ないと抜管できないと思うのですが、意識が出るタイミングは麻酔科の先生はどうやって判断してますか?
・動脈圧波形の呼吸性変動の説明をもう一度お願いします。
・術中にフェンタニルの単回投与とアルチバ(R)の持続投与をしています。アルチバ(R)とフェンタニルの使い分けはなんですか。