第一線で活躍する医師や看護師、医療従事者などが講師として登場し、わかりやすく解説する「メディカのセミナー」。そのセミナーのプログラムのうちチャプターの1つをメディカLIBRARYだけで特別配信します。
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中村康雄
医療法人社団正心会岡本石井病院 看護部心臓カテーテル室 看護師長
野崎暢仁
医療法人新生会総合病院 高の原中央病院 臨床工学科MEセンター 技士長
<セミナーはこんな内容>
■必要な事前情報を抜き出し、どう急変に備えるか、それをどうチームで共有する?
■帰室時の状態、重症度をどのように伝え、理解してもらうか?
■経験豊富な中村先生と野崎先生のちょっとした現場のテクニック、脱線話、つらい話も収載
配信|CHAPTER 1:オープニングトーク 症例①この患者さんはどんな患者さん?~PCIはすべて同じじゃない~(野崎先生)
~野崎先生×中村先生のオープニングトーク~
▼ここからは野崎先生
はい、今回のテーマは「心臓カテーテルの看護の自信、高めます!」ということですが、このチャプターでは「この患者さんはどんな患者さん?」というテーマで私がお話しさせていただきたいと思います。
私が考えるのは、PCIはすべて同じじゃないということです。100例経験したら100例とも違うことが起こる、いろんなことが起こるというのが心カテだと思っていますので、今回はそのなかでも私が経験した事例を基に、お話をさせていただきたいと思っています。
さっそくですが、みなさんに質問です。選択肢が3つ出てきますので選んでみてください。
【事前情報は収集していますか?】
・している
・していない
・他職種がしてくれているものを共有している
さあ、回答の結果が出ました。「している」が91%とほとんどの方が選んでいますね。「していない」という方は0%です。すばらしいですね。そして「他職種がしてくれているものを共有」が9%ですが、チーム内にはそれぞれ専門分野の方が入っていますので、その情報を共有するのもとても大切です。
このセミナーでは何回か同じようにみなさんに質問をしていきたいと思います。
それでは私の事例に入っていきます。
70歳代の女性で、身長は148cmの体重47kg、1年前に急性心筋梗塞(下壁)のため緊急PCIを受けた患者さんです。右冠動脈の2番で100%の病変が見つかってSTENT留置をしています。そして14病日目に軽快退院されて、その後は外来でフォローされていました。
その後、今回ご紹介する事例となる1カ月前から運動時に息切れと動悸を自覚されています。そのため外来で検査を行うことになりました。血液検査、心電図、心エコー、冠動脈CTをしています。
その結果を示したのが次のスライド、血液検査の結果です。みなさんの施設でもこのようなズラズラと数値の並んだ結果を見ることがあるのではないでしょうか。
次に心電図ですが、ご覧のような12誘導心電図で、いますぐ何か処置が必要といった心電図ではありません。
そして心エコーの所見です。このようなデータが出ていて、下壁無収縮、それ以外のsynergyなし、LVEF48%、大動脈弁・僧帽弁・三尖弁は問題なし、IVCは呼吸性変動ありといったコメントも書かれています。
次は冠動脈CTです。画像を見てみると右冠動脈に留置されたSTENT部は問題ないんじゃないかなという所見です。そして前下行枝にちょっとこれは細いんじゃないかという狭窄の疑いがあります。あと回旋枝もちょっと短いんじゃないかという低形成の所見でした。
ではここでまたみなさんに質問です。
みなさんは事前情報を収集されているということでしたが、次の事前検査のうち、所見を見てもちょっとわからないなあと思うものはどれでしょうか。
・心電図
・CT
・心エコー
・血液検査
さて結果が出ました。心エコーがいちばん多くて59%、次に心電図で18%、そしてCT、血液検査の順となっていますね。
私は臨床工学技士で、今日のような場で話をさせてもらいながらなんなんですが、この検査はすべて不得意です。心電図は難しいですよね。
CTとか心エコーは見たいものがそこにあるので見るポイントが絞れてくるかなと思いますが、心電図だけはちょっとよくわからない…というところもあります。
心電図の読みかたは後半の中村さんの講義のところで解説がありますので、そちらをぜひご覧ください。また、いっしょに執筆した書籍『これさえあれば自信をもって心カテ室に入れる 心臓カテーテルのギモン104』(詳しくはこちら)でも120ページで解説していますので、よければ手に取ってみてください。
はい、では事例に戻って、そんな患者さんが前下行枝の狭窄を疑って、後日、心カテを行うことになりました。ここからは準備の確認について解説していきたいと思いますが、続きはぜひログインして動画でご視聴ください。
プログラム
1.オープニング/症例①この患者さんはどんな患者さん? ~PCIはすべて同じじゃない~(野崎先生)
・事前情報は収集していますか?
・70最代 女性 1年前に急性心筋梗塞(下壁)のため緊急PCIを受けた患者さん。1か月前から運動時に息切れ、動悸を自覚。外来にて検査実施の結果、前下行枝の狭窄を疑い、後日心カテを行うことになった。
・事前情報からキーポイントになるものを見つけ出せ!
・術中の血圧低下は予測できたのか?
・急変を予測した情報収集のポイント
2.スムーズなPCI治療を考えてみる/症例②診断カテ後の想定外の急変【事前情報、検査からわかること】(中村先生)
・スムーズなPCI治療を考えてみる
・知識を増やして、起こり得る急変に備える
・70歳代、女性。近医の健康診断で狭心症の疑いあり、検査をすすめられる。診断カテーテルとなった症例。事前情報から浮かび上がってくる急変リスク、12誘導心電図・エコーからわかる心臓の状態…あなたなら何を想定し、準備しますか?
・12誘導心電図から心臓の動きを読み取る
・「不安定狭心症のブラウンワルド分類」から重症度・緊急度を見つもる
・解剖と心電図を一致させる方法(握りこぶしを使った冠動脈解剖の覚え方)
3.症例②診断カテ後の想定外の急変【入室~カテの始まり~病棟帰室】(中村先生)
・冠動脈造影ここが読影ポイント
・迅速評価でABCDEの異常を判断する
・抗不整脈薬の考えかた
・急性心不全に対する初期対応
・帰室時の状態、重症度をどのように理解してもらうか?
質問コーナー(野崎先生×中村先生)
・ちなみにV1のP波の陰転は左房負荷によるものでしょうか?
・術者に声をかけてよいタイミングがわからない
・事例①で血圧が下がらないように予防できる方法は?
・忙しく物品を出しているMEさんに画像結果や、今何をしているか質問することは迷惑ですか?
・PCI後の帰室は車椅子でも問題ないのでしょうか? ストレッチャー搬送には人手がいるので、他の施設はどうか気になりました。