第一線で活躍する医師や看護師、医療従事者などが講師として登場し、わかりやすく解説する「メディカのセミナー」。そのセミナーのプログラムのうちチャプターの1つをメディカLIBRARYだけで特別配信します。

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演者
小林充弘 キッコーマン総合病院(プランナー)
西川寛美 JA広島総合病院
佐野玉美 熊本整形外科病院
馬渡美香 船橋整形外科病院
筒本健太郎 品川志匠会病院

<セミナーはこんな内容>
■新人看護師が戸惑うことが多い術後管理…
 知っておきたいケアを抜粋、現場で活かせる看護のポイントを一つひとつ取り上げ、詳しく解説!
■さらに!先輩ナースが困ったポイントも紹介します
■新人看護師や異動してきたみなさんのケアの理解度が早まること間違いなし!


配信|CHAPTER 7:【Q&A】普段聞けないことでもJSMNCが“たっぷり”お答えします!


今回はみなさんから寄せられた質問に講師の方々が回答する「Q&A」をご紹介します。

整形外科新人看護師の“困りごと”解決セミナー01

Q.弾性ストッキングのサイズ測定で足関節、ふくらはぎ部位の2カ所を測定するものがあるが、どちらの値を優先したほうがよいでしょうか?(例えば足首がS、ふくらはぎがMサイズの場合…)


小林:
時間に限りがあるのですが、まず質問が多かった弾性ストッキングについて取り上げたいと思います。「弾性ストッキングのサイズ測定で足関節、ふくらはぎ部位の2カ所を測定するものがあるが、どちらの値を優先したほうがよいでしょうか?(例えば足首がS、ふくらはぎがMサイズの場合…)」という質問ですが、西川先生お願いします。

西川:
はい、どちらの値を優先するかは製品によって違いはあるものの、基本的には製品の中央値に近いものを選択してもらうのが正しいと思いますが、今回の場合はSとMというサイズの例だったので、ふくらはぎで合わせてMサイズを選択していただいていいかなと思います。

整形外科新人看護師の“困りごと”解決セミナー02

Q.弾性ストッキングで発赤が生じていた場合、一時的に脱いで皮膚状態を見ますが、どのくらいの時間はずしてよいでしょうか?


小林:
ありがとうございました。同じく弾性ストッキングの質問で「弾性ストッキングで発赤が生じていた場合、一時的に脱いで皮膚状態を見ますが、どのくらいの時間はずしてよいでしょうか?」ということですね。

西川:
発赤の状態によっても対応は違ってくると思うのですが、かなり強い発赤でそこからさらに皮膚状態が悪化しそうな場合は弾性ストッキングを着けることで褥瘡になってしまったりしますので、一時的とかということではなくて、主治医の指示でそれ以外の治療法を考えることになると思います。その場合、患者さんの動きの状態、例えば歩行がしっかりできるか、関節運動が自分でしっかりできるか、といったところもあわせて評価していくことになるので、「弾性ストッキングをはずしておく必要があるのは〇〇分です」といった回答はできないのですが、患者さんの身体的な状況、ADLの状態、発赤の程度、そうしたことを加味して考えていくのがいいかと思います。

小林:
補足で筒本先生もお願いします。

筒本:
私も弾性ストッキングでの発赤は遭遇したことがあって、ほとんどは圧迫での発赤だと思うのですが、なかには皮膚が弱い方がいて接触性の皮膚炎で赤くなっていることがあるので、まずはそこの鑑別も大事だと思います。ただ、パッと見たときはわからないと思いますので、まず弾性ストッキングによる発赤ではないかと思っても自分で判断しづらいときは先輩ナースの目も借りて判断するのが大切かなと思います。

Q.弾性ストッキングと弾性包帯は効果は同程度なのでしょうか?認知症やせん妄の患者は神経所見の評価が難しいなと感じています。普段どのように対応していますでしょうか?


小林:
ありがとうございます。では続いては「弾性ストッキングと弾性包帯は効果は同程度なのでしょうか?認知症やせん妄の患者は神経所見の評価が難しいなと感じています。普段どのように対応していますでしょうか?」という質問です。どうでしょうか。

西川:
はい、弾性ストッキングと弾性包帯の効果は同じとは言えません。弾性包帯は巻き方とか巻く圧というのは巻く人によって個人差が出てくるため、必ずしも同じ圧で巻けているかというとはっきりしないところです。その点で弾性ストッキングのように製品として成立しているものとは違うので、弾性ストッキングと弾性包帯の効果がまったく一緒ということにはならないと思います。

ですが、弾性ストッキングがはけない人に弾性包帯を使うということもありますので、効果は同じではないけれど弾性包帯をDVT(深部静脈血栓症)の予防として使うということはあり得ると思います。

そして認知症やせん妄の患者さんの神経所見の評価というのは難しいところですね。ご質問の場合だと腓骨神経麻痺をどう評価したらいいかということだと思いますが、痺れがあるかどうかというところをはっきり聴取していくことは難しいとは思うものの、患者さんをじっくり見ていると足の指がしっかり動くかとか、どれくらい足が動かせているかというところは見られると思いますので、そのあたりを観察するように私はしているのですが、ほかの先生方も意見があればお願いします。

佐野:
うちの病院でも弾性ストッキングが着けられない患者さんには弾性包帯を巻きます。基本的な考え方として足の末梢から中枢に向かってぐっと力を入れて締め上げて巻いていくときに、その力加減は先ほど西川先生がお話しされたように難しいのですが、まずバックしてこないことですね。末梢から巻いて膝の下のところまでいってそこで止める、そこから末梢のほうには戻らないようにしてもらうといいかなと思います。

小林:
ありがとうございます。では筒本先生もお願いします。

筒本:
認知症などの患者さんの神経所見の評価というところなのですが、ある程度話せる患者さんであれば先ほど西川先生がおっしゃっていたように痺れがどうなのかといったところを見ることが大事だと思うのですが、なかには認知症が進んでコミュニケーションも難しい患者さんもいると思います。腓骨神経麻痺や神経麻痺が進んでいくと支配領域の近くを刺激するとチネル徴候といってそのとき一瞬ビリビリと痺れが走るので、腓骨神経であれば腓骨頭の辺りをちょっと指で弾いてみて、それで患者さんがとても痛がるとかがあれば腓骨神経麻痺の始まりかもしれないといった評価もできると思います。それでもコミュニケーションができないとなかなか難しい部分もありますね。

Q.外転枕を嫌がる患者さんが多くいます。ぜんぜん挟めず、置いてあるだけになってしまっています。普段どのように対応していますか?


小林:
では次は外転枕や装具について質問をいただいています。「外転枕を嫌がる患者さんが多くいます。ぜんぜん挟めず、置いてあるだけになってしまっています。普段どのように対応していますか?」ということですね。佐野先生お願いします。

佐野:
はい、基本的に外転枕は使う必要がないと私は思っています。外転枕の代わりに柔らかいクッションとか、要は開脚して、外転させておけばいいわけです。患者さんが嫌がるのを無理して硬い外転枕を使用する必要はまったくありませんので、外転させた状態が保持できれば何を置いても問題ないかと思います。

小林:
ありがとうございます。一つ補足なんですが、認知症とかの患者さんで外転枕の必要性が理解できなくてどうしても外してしまう方もいらっしゃると思います。私が以前に股関節のセミナーに参加したときに、そうしたどうしてもの場合は患側の膝にニーブレースを着けるという手段を教わりました。これはみなさん試していただくとわかると思うのですが、膝を伸展させると股関節の屈曲というのがかなり制限されます。どうしても外転枕とかが難しい場合の参考にしてください。

筒本:
あと、製品によっては大腿部だけ外転させるようなものもあったりしますよね。私が以前やっていたのは、マジックテープを前で留めないで後ろ側で留めると患者さんにとっては硬い側の嫌な感じがなくなるので、それによって患者さんが触らなくなるというものあります。ですので、いろんな製品を探してみてもいいかもしれないですね。

馬渡:
私の病院でも体が小さくてなおかつ脱臼を繰り替えしていて、ニーブレースのサイズがSとかSSでも合わない患者さんがいらっしゃったのですが、バスタオルを丸めたものを足の間に挟んで健側または患側にバンドと一緒に巻いていました。そうすると足を閉じたり動かしたりしても必ず外転位が保持できるような形が取れていたので、そういうものもあり得るのかなと思います。

小林:
はい、ありがとうございました。続いては肩の術後の質問ですね……

ログインして動画を視聴すると、さらに下記の質問⑤~⑦への講師の先生方の回答を追加で観ることができます。また前半では整形外科看護の特徴をはじめ、深部静脈血栓予防、人工股関節全置換術、人工膝関節置換術後、肩関節術後、脊椎術後の看護についても解説していますので、ぜひご購入して視聴ください。

整形外科新人看護師の“困りごと”解決セミナー01



プログラム


【はじめに】まずはこれを知っておこう!術後看護のキホン
①整形外科看護の特徴

【看護技術5選】誌面を見ながらTHA後の看護のポイントを詳しく解説。さらにケアで戸惑ったこともあわせて紹介します!
②深部静脈血栓予防の看護……弾性ストッキングの履き方
③人工股関節全置換術の看護……体位変換の看護
④人工膝関節置換術後の看護……CPMの看護
⑤肩関節術後の看護……肩関節術後の看護
⑥脊椎術後の看護……術後のポジショニングと体位変換の看護

【Q&A】普段聞けないことでもJSMNCが“たっぷり”お答えします!
⑦質疑応答
・弾性ストッキングのサイズ測定について
・弾性ストッキングで発赤が生じていた場合、どのくらいの時間はずしてよいか?
・弾性ストッキングと弾性包帯の効果は同程度なのでしょうか?
・認知症やせん妄の患者さんの神経所見の評価について
・外転枕を嫌がる患者さんへの対応
・独居の患者さんの外転装具装着について
・脊椎術後、創部周囲の液体貯留について
・コルセットの装着コンプライアンスが悪い患者さんへの工夫
・腰椎オペ後、体位変換時のコルセット装着はマスト?
・クーリングと疼痛緩和について
・上下肢骨折術後のアイシングについて
・Epi挿入している患者さんの観察と報告について
・HTOの方で、術後JVACドレーンの管理と、報告の目安について
・術後何日まで新しい創出血があると異常? 報告する目安は?

本セミナーと連動している専門誌の紹介


整形外科看護2023年4月号

整形外科看護2023年4月号
【特集】スマホでかくにんあんしん
下肢編 整形外科で必要な看護技術ぜんぶ


《共通する看護技術》
■1 深部静脈血栓症(DVT)予防の看護
■2 ギプス・シーネ固定と固定時・ギプスカット時の看護
■3 直達牽引・介達牽引の看護
《下肢の術後看護》
■4 THA後の看護
■5 TKA後の看護
■6 歩行介助の看護
■WEB動画の視聴方法
▼詳しくはこちらから




整形外科看護2023年5月号

整形外科看護2023年5月号
【特集】スマホでかくにんあんしん
上肢・脊椎編 整形外科で必要な看護技術ぜんぶ


《上肢の術後看護》
■1 肩関節術後のポジショニングと体位変換
■2 肩外転装具装着時の看護
■3 肩外転装具装着時のADL介助(更衣時、入浴時、就寝時)
■4 疼痛管理の看護
《脊椎の術後看護》
■5 術後のポジショニングと体位変換
■6 装具装着時の看護(フィラデルフィアカラー、腰椎装具)
■7 装具装着時のADL介助(歩行時、入浴時、食事介助時)
■8 ドレーン管理
■9 術後合併症の予防(硬膜外血腫、髄液漏)
■WEB動画の視聴方法
▼詳しくはこちらから