第一線で活躍する医師や看護師、医療従事者などが講師として登場し、わかりやすく解説する「メディカのセミナー」。そのセミナーのプログラムのうちチャプターの1つをメディカLIBRARYだけで特別配信します。

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講師
斉田芳久
奈良県総合医療センター救急・集中治療センター センター長 森安恵実
東邦大学医療センター大橋病院 外科 教授

<セミナーはこんな内容>
臓器別!消化器外科患者さんの術前術後の“みかた”のポイントがわかる!
→“みかた”がわかれば、術後合併症の予防・早期発見に自信がつく!
日々の看護から「不安」をなくすセミナーです。


配信|CHAPTER 1:メリハリのある術前術後の観察のポイント


みなさんこんにちは。今回は『消化器ナーシング』2023年6月号の特集にそって術前術後のアセスメント講座を行います。1時間よろしくお願いします。

では、これから消化器術前術後についてのアセスメントやデータの解説のポイントをみなさんにお伝えしていきます。もしかしたらわかっている方もいらっしゃるかもしれませんが、ポイントはどこにあるのか、ということを主にやっていきたいと思います。

消化器術前術後のアセスメント講座01


今日のプログラムは次のスライドの通りですが、まずは観察のポイント、そして胃、食道、大腸、肝臓・胆道、膵臓、そして最後に術前のお話をしてまとめをしたいと思います。

最初の「観察のポイント」は何がポイントなのかということですが、今日はぜひみなさんにイメージをしっかり持っていただきたいと考えています。それぞれの術前術後とはどういうものなのか、それぞれの臓器の手術とはどういうものなのか、といったイメージがきっちりつくようにお話をしたいと思います。

消化器術前術後のアセスメント講座02


では「観察のポイント」のイメージですが、まずスライドの3つを考えていただきたいと思います。

一つ目の「外科医が考えていること」ですが、それぞれの外科医が何を考えて術前術後をやっているか、それぞれの疾患について外科医が考えているイメージが非常に重要になります。

二つ目は、看護師さんは患者さんによく「術後はどうなるの?」と聞かれることもあると思うのですが、患者さんは「術後の新しい体の構造」になりますので、それについて理解をしていただければと思います。

三つ目は「起こりえる合併症」ということで、術後の合併症を一つひとつ覚えるのは大変ですので、全体的なイメージを持てるように学んで、メリハリのある術前術後管理ができるように説明をしていきます。

消化器術前術後のアセスメント講座03


まずは外科医が考えていることですが、「合併症が起きないといいな……お願いします!神さま」という感じですね。みんなそう祈ってやっています。

ただ合併症が起こったらできるだけ早く対処したいので、手術後をみていただいている看護師さんには早く教えてほしいなと思っています。ただ、何でもかんでも教えてくれても困ることもありますし、逆にもうちょっと早く教えてほしいなということもありますので、今回はそのメリハリのポイントを学んでいただきたいと思っています。

また、患者さんが手術後30日以内に死亡した場合は術死ということになりますので、外科医はそれを避けたいと思っています。外科医もドキドキしながらいろんな合併症に備えていて、看護師さんの報告一つひとつに一喜一憂しますので、ぜひみなさんもうまく付き合っていただいて、患者さんのQOL向上につながればと思いますのでよろしくお願いします。

消化器術前術後のアセスメント講座04


次に「術後の新しい体の構造」について理解してもらいたいと思います。

手術をするとたいていの場合は何かの臓器を取りますので、その臓器の機能がなくなるか低下するわけですね。ですのでその臓器がどのような機能を持っているかということを知っておかねばなりません。

そして術後の患者さんには「お酒はいつから飲んだらいい?」「お風呂はいつから?」「タバコはいつから?」「運動ってしていいの?」ということを知りたいと思います。本当は手術前に聞きたいんだけど医師には聞きづらいということで、看護師さんは術後によく聞かれるんじゃないでしょうか。これらについてもこの後で各疾患にそってお話ししたいと思います。

消化器術前術後のアセスメント講座05


続いて「起こりえる合併症」についてです。合併症も手術によっていろいろ起こるわけですが、簡単に言うと基本的には出血、漏れる、感染、くっつく、ほとんどの合併症はこの4つです。

4つはそれぞれ時期も違っていて、出血は手術中もしていますが、直後から3日目くらいまでに終わります。それ以降に出血することはまずないので、3日目以降に出血を見たら、これはただの出血ではないなと思っていただけたらと思います。

漏れるというのは縫合不全とか、胆汁や膵液が漏れることなのですが、これは少しお腹が動き始めてからなので手術の翌日くらいからだいたい10日目くらいまで、退院のころに大丈夫ならもう起こらないだろうと思ってください。

感染については、感染してから3日目くらいまでは症状も何も起こらず、最大で2週間くらいまでに起こると思っていただければと思います。

最後の「くっつく」というのは癒着のことなんですが、癒着というのは3日目くらいから作られ始めて1週間くらいで完成します。ただ一度くっついたら一生取れませんので、癒着性の腸閉塞などは永久に残ると思ってください。

このように合併症の基本は4つだということと、それぞれがどの時期に起こるかということを理解いただければ、ぞれぞれの臓器について理解しやすいんじゃないかと思います。

消化器術前術後のアセスメント講座06


では、ここからは順に臓器ごとに説明していきたい思いますが、まず最初は「胃」です。



ログインして動画でご覧いただくことで「胃」の解説(約10分程度)をすべて観るができます。また、ご購入いただくとプログラムにあるすべての臓器の解説、術前の観察ポイント、講義のまとめ、患者・家族によく聞かれる質問もすべてご覧いただけますのでぜひご検討ください。

消化器術前術後のアセスメント講座07





プログラム


・はじめに
・メリハリのある術前術後の観察のポイント
・胃の術式と術後合併症・術後の観察ポイント
・食道の術式と術後合併症・術後の観察ポイント
・大腸の術式と術後合併症・術後の観察ポイント
・肝臓・胆道の術式と術後合併症・術後の観察ポイント
・膵臓の術式と術後合併症・術後の観察ポイント
・術前の観察ポイント(口腔ケア/心機能評価/呼吸/ERAS)
・講義のまとめ/おまけ:患者・家族によく聞かれる質問
【Q&A】なんでもお答えします!質疑応答

本セミナーと連動している専門誌の紹介


消化器ナーシング2023年6月号

消化器ナーシング2023年6月号
さっと確認&じっくり理解!
消化器術前術後の観察イラストマップ


■1 消化器術前の観察ポイント
■2 外科食道術後の観察ポイント&合併症
■3 胃術後の観察ポイント&合併症
■4 肝臓術後の観察ポイント&合併症
■5 胆道術後の観察ポイント&合併症
■6 膵臓術後の観察ポイント&合併症
■7 大腸術後の観察ポイント&合併症
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