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第一線で活躍する医師や看護師、医療従事者などが講師として登場し、わかりやすく解説する「メディカのセミナー」。そのセミナーのプログラムのうちチャプターの1つをメディカLIBRARYだけで特別配信します。

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講師
古川力丸
日本大学医学部 救急医学系救急集中治療医学分野/医療法人弘仁会板倉病院 副院長

<講師からのメッセージ>
■「人工呼吸器」に特化した、140分セミナーになります。140分で人工呼吸管理の概要を理解できることを目指します。
■我流のやり方では、「血液ガス検査は良好で、人工呼吸器のアラームもなっていない」が、知らず知らずのうちに死亡率を上げてしまっていた…なんてことにもなりかねません。まずは初期設定のガイドラインをしっかりと理解しましょう。基本的な換気モードについても説明しますが、標準的な人工呼吸管理法では、複数の換気モードを使い分けることはしません。
■血液ガス検査結果をどのように人工呼吸器設定に活かしていくのか、その基本を学びます。しかし、人工呼吸中のCO2コントロールは超難問。まずは、「人工呼吸中は、CO2の正常化を目指してはいけない」ことをしっかりと理解しましょう。
■換気メカニクスの基本についても説明します。気道抵抗とコンプライアンス、拘束性肺疾患と閉塞性肺疾患、それぞれを人工呼吸中にどのように判断し、対応すればよいのか、基本原則を学びましょう。


配信|CHAPTER:換気(CO2)の大原則とPaCO2の最適値


ここからは換気についてですが、結論から言うと、換気(CO2)は「一回換気量(mL)」と「呼吸回数(回/分)」で調整をします

私たちでもICUでラウンドしていて、血液ガスを取ったときに「CO2が高いね、CO2が低いね」となったら、では一回換気量と呼吸回数のどちらで調整するかとディスカッションしています。

CO2をコントロールしたいときには、基本的にはこの2つ以外はいじらないということが鉄則になります。

世界でいちばん簡単に人工呼吸管理がわかるセミナー01


CO2は、基本的には息を吐いたときに二酸化炭素がボワッと出てきます。なのでCO2が高すぎるので下げたいなと思ったらもっといっぱいCO2を吐けばいいということで、やり方としては2つです。

大きく吸って、大きく吐けば、それだけいっぱいCO2が出ていきますよね。いっぱい出ていけばそれだけ体の中のCO2は減ります。だからPaCO2は下がります。

あるいは、1回ずつの出ていくCO2は一緒だとしても、呼吸回数が倍になればそれだけ出ていくCO2も倍になりますよね。ということで、CO2が溜まっているのでCO2を下げたいなという場合には呼吸回数を増やすか、一回換気量を増やすか、ということになります。

逆に、もしCO2が下がり過ぎていて、もうちょっとCO2を上げたいな、溜めたいなということであればCO2を吐かなければいいので、呼吸回数を減らすか、一回換気量を減らすかということになるわけです。

で、この一回換気量をさわるか、呼吸回数をさわるかという二択になるわけですが、ポイントがあります。

スライドにも記載していますが、一回換気量は初期設定のガイドラインでは8~10mL/kgです。だから体重50Kgの人だと400~500ccで設定してくださいねという縛りがあります。

世界でいちばん簡単に人工呼吸管理がわかるセミナー02


あとはこのセミナーの後半で出てくるのですが、一部の特殊な病態、急性呼吸窮迫症候群といわれているようなARDSでは、一回換気量は6mL/kgに減らしましょうということもあるので、そうするとですね、CO2は一回換気量と呼吸回数で調節をするんだけれども、一回換気量は体格で決まってしまうんです。あるいはARDSとか病態で制限されてしまいます。そうなると動かす範囲が狭いですよね。

ということで、普段、血液ガスをとって、人工呼吸を調整するときには、呼吸回数を中心に調整をしますよということになります。


あと、覚えておいてほしいところがありまして、この後も何回も出てくることなんですが、一回換気量は8~10mL/kgを死守するということです。これ以上の設定をしないというのが原則になります。

例えばですが、よかれと思って、CO2が溜まっているので一回換気量を12mL/kg、50Kgの人で600ccといった設定をするとどうなるかというと、血液ガスはみるみる下がります。ただ、それによってCO2はコントロールできるんだけれども1週間後の患者さんの死亡率は跳ね上がります

これは人工呼吸の世界ではやってはいけない「ご法度」ということになっています。たしかに一回換気量は増やせば増やすほどCO2は下がるんだけれども、体格による制限があって、それを死守しなければなりません。だから一回換気量の設定は幅が狭くなっているので、基本的には呼吸回数で調整しますよ、というのが結論になるわけです


ここでちょっと考えてもらいたいのですが、目の前にサチュレーションが低い患者さんがいたとします。その患者さんはいま人工呼吸をしているのですが、大きく深呼吸をさせてあげて肺をパツンパツンに拡げたらサチュレーションって上がる気がしませんか?

しますよね? みんなそんな気がすると思うんです。私もそうなると思ってて、実際にやってみるとわかるのですが、みるみるサチュレーションは上がります。

そうしたら酸素化はFiO2とPEEPではなくて、深呼吸をしたり大きな換気量を得ても酸素化は上がるじゃないかと思うかもしれないのですが、先ほどお話ししたように、大きな一回換気量を入れると、酸素化は良くなるし、CO2はコントロールが簡単になるんだけど死亡率が跳ね上がってしまうので、人工呼吸の世界ではやってはいけない「ご法度」です。

だから酸素化はFiO2とPEEPのどちらかです。CO2については呼吸回数か一回換気量。でも一回換気量は制限があるのでおもに呼吸回数で調整しますよというのが結論になります。

「酸素化はFiO2とPEEP」「CO2は呼吸回数と一回換気量」というこの2つは日々使うので、このままのフレーズで覚えていただいて、この2つのどちらかで調整するということを徹底していただければと思います。


続いて、CO2管理について一歩踏み込んでちょっと難しい換気、ちょっと難しいCO2管理についてお話しをしたいと思います。



ログインして動画でご覧いただくと「PaCO2の最適値を考える…」という項目の次のような解説まで聴くことができます。
・PaCO2は何が何でも正常化ればいいものではない
・PaCO2を正常値にしてしまうことで逆に悪化させてしまうケースもある
また、ご購入いただくと下記のすべてプログラムがご覧いただけますのでぜひご検討ください。


世界でいちばん簡単に人工呼吸管理がわかるセミナー03




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プログラム

1.人工呼吸器初期設定と基本的換気モード
■初期設定のガイドライン
■基本的な換気モードを理解しよう
■圧と量の関係性


2.人工呼吸器設定と血液ガス
■初期設定後の微調整
■人工呼吸中のPaCO2は正常化を目指さない
■適切なCO2コントロール(超難問)


3.換気メカニクス
■換気メカニクスの評価
■拘束性肺疾患の呼吸管理
■拘束性肺疾患の換気管理



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