第一線で活躍する医師や看護師、医療従事者などが講師として登場し、わかりやすく解説する「メディカのセミナー」。そのセミナーのプログラムのうちチャプターの1つをメディカLIBRARYだけで特別配信します。

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講師
辻井正人
外宮の杜クリニック 生理検査室 臨床検査技師長/臨床工学技士長

<心電図、何度もチャレンジしましたが、いまだに自信ありません…、それには理由があります!>
・不整脈名よりも、その波形が整理できていると対応もシンプルで、焦りません。「経過観察でOK!」「よくある不整脈なのか?」「緊急対応が必要なのか?」を整理しましょう!
・心臓の解剖生理から復習します。波形がどこの方向から、何を見ているのか、心電図を読む上で知っておかなければならない基本ルールを押さえます。
・洞結節、心房、房室接合部、心室の4つをキャラ化して、各不整脈でいったい何が起こっているかをアニメーションで解説します!
・明日、現場で心電図を読んでみよう! ときっと自信がつきます。


配信|CHAPTER 2: 心電図を読むために必要な解剖生理と基本(後半)


心電図を読むために必要な解剖生理と基本ですが、前半で刺激伝導系、心電図波形の成り立ち、心電図プラスの位置と誘導名までが終わりました。続いては「心臓と心電図波形」に入っていきたいと思います。

心電図16波形01


どうやったら心電図波形はできるのかということをこれからお話しするのですが、まず洞結節から刺激が出ているんですね。

※スライドはアニメーションになっていますので、ぜひログインして動画でもご覧ください。

心電図16波形02


ですが、洞結節から一生懸命に刺激を出していても心電図には現れません。そうすると波形はどうなるかというと、スライド右側のようにただの線ですね。

心電図16波形03


次に、洞結節から出た刺激が心房に行くと心房(オレンジのイラスト)が収縮するわけです。

心電図16波形04


心房が動くと、上向き、下向きの波形ができると前半でも言いましたね。

これはいまⅡ誘導で話を進めています。スライド左上の図のようにプラス(+)の位置が下で電気が向かってくるので上向きの電気、P波(スライド下の波形のオレンジの部分)ができます。

心電図16波形05


心房に電気が流れ、心房(心房筋)が動くと、上向きのP波ができるんですね。つまり、P波は心房を見ているんですね。

心電図16波形06


P派の上向き、下向きは前半でお話ししましたがさっそく応用していきたいと思います。

Ⅱ誘導です。洞結節から刺激(スライド左の赤の矢印)が出てプラス(+)の方向に向かってきています。だからP波は上向きにこのように出るわけなんですね。

例えば、下の心臓図のように下部(ピンクの★マークのところ)から刺激が出たとします。するとプラス(+)から遠ざかっていきます。だからP波は下向きになるんですね。

このスライドで、みなさんには波形を見たらどこから刺激が出たかがわかるようになってもらえたと思います。

「ちゃんと上向きで洞結節から出てるな」
「あ、下向きだから刺激が出たのは洞結節からとは違うぞ」

ということがわかったわけですね。

心電図16波形07


では続いて、心房に流れた血液が次に房室結節、His束に流れます(左の心臓図の赤丸で囲った中の黄色の部分)。ここに電気が流れるわけですね。

心電図16波形08


ここは房室結合部です。ここに電気が流れると次のスライドの黄色い部分のような波形になるわけです。これはP波の途中から流れているんですね。

心電図16波形09


房室接合部はここですね。

心電図16波形10


ここに電気が流れるとどうなるかというと、上にも下にもふれません。なぜでしょう? それは、心房(筋)も心室(筋)も動いていないから、真っすぐな線になるのです。心電図には現れません。

心電図16波形11


次にですね、心室(オレンジのイラスト)に電気が流れます。すると心室が動きますね。そうすると波形(赤色の部分)が現れるわけです。

心電図16波形12


次のスライドの図でいうと、右脚(茶色の部分)、左脚(青色の部分)に電気が流れると心室が動くんですね。そして心室が動くとQRS波ができるわけです。

心電図16波形13


QRSの形なのですが、正常の刺激伝導系を電気が流れるとシューンと流れますので、このような細い、幅の狭いQRSができます。これをNarrow QRSといいます。覚え方は「いっぱいご飯を食べて元気にナロー」です(笑)。

心電図16波形14


次に、心室の違うところ(右の心臓図の下部)から刺激が出ると、例えば高速道路ではなく脇道から自動車が来るような感じで時間がかかるわけですね。だから、時間がかかってQRSが幅が広くWideになるのです。

心電図16波形15


では、続いては「P波とQRS波があらわすものは?」に入っていきたいと思います。

心電図16波形16



本セミナーは電気が流れる様子などアニメーションが多用されていますので、ログインして動画でご覧いただくとより学びが深まります。また、ログインいただくと「P波とQRS波があらわすものは?」「確認問題③:心電図波形はどこの異常がわかる?」「刺激発生部位」までご覧いただけます。さらに、ご購入いただくとすべてのプログラムがご覧いただけますのでぜひご検討ください。







プログラム

1)心電図を読むために必要な解剖生理と基本(前半) 19分
・はじめに
・刺激伝導系
・心電図波形の成り立ち
【確認問題①】上向きか? 下向きか?
・心電図プラスの位置と誘導名
【確認問題②】以下のプラス位置の誘導名は?

2)心電図を読むために必要な解剖生理と基本(後半) 11分
・心臓と心電図波形
・P波とQRS波があらわすものは?
【確認問題③】心電図波形はどこの異常がわかる?
・刺激発生部位

3)よくみかけ経過観察となることが多い心電図 17分
・正常洞調律
・心拍数のみかた
【確認問題④】徐脈・頻脈はないですか?
・洞頻脈
・洞徐脈
・上室期外収縮
・心室期外収縮
・1度房室ブロック
・ウェンケバッハ型2度房室ブロック
【確認問題⑤】モニター心電図を判読してください

4)重要な不整脈心電図 22分
・洞房ブロック
・洞停止
・心房細動
・心房粗動
・発作性上室頻拍
・心房細動、心房粗動、発作性上室頻拍の違い
【確認問題⑥】モニター心電図を判読してください
・モビッツⅡ型2度房室ブロック
・3度房室ブロック
【確認問題⑦】モニター心電図を判読してください

5)緊急対応が必要となる心電図 10分
心室頻拍
心室細動
心静止
講義のまとめ