第一線で活躍する医師や看護師、医療従事者などが講師として登場し、わかりやすく解説する「メディカのセミナー」。そのセミナーのプログラムのうちチャプターの1つをメディカLIBRARYだけで特別配信します。

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講師
石井 富美
多摩大学大学院 客員教授/ヘルスケアビジネス経営人材育成研究所 所長

<どんなセミナー?>
看護師が知っておきたい診療報酬のしくみ、その改定がどんなしくみで行われているのか、細かな変更に右往左往しないように、基本的な構造や、改定の大きな流れをつかんでおきましょう。
2024年度は医療・介護報酬の同時改定で、今後の医療と介護の連携・調整にどのような影響が出るのか注目が集まっています。本セミナーでは、診療報酬改定の重要ポイントと、介護報酬の中でも医療と密接に関わる点を中心に解説します。


配信|Lecture 2 看護管理者が知っておきたい2024年度診療報酬改定のポイント


もう一つ、今回の目玉になっているのが、栄養、リハビリ、口腔ケアを一体的に提供する「リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算」というものです。 これは、入院した方々のADLが落ちないようにするために入院初日からしっかり関わりましょうということと、土曜日、日曜日、祝日も含めてちゃんとリハビリを行いましょうということが条件になっています。

2024年診療報酬・介護報酬改定のポイント01


一般病棟では1日につき120点、この後で説明する地域包括医療病棟の場合でも1日につき80点が算定できるようなものになっています。

これは、高齢者の方が入院されたときにADLが落ちないようにちゃんと入院生活を送っていただいて、治ったら帰っていただくという仕組みを作るためのもので、これからの医療に絶対に必要な機能なのでぜひ体制を整えて算定していっていただければと思います。

2024年診療報酬・介護報酬改定のポイント02


そして、高齢者を積極的に受け入れる、中心的に受け入れる病院・病棟として、地域での救急患者を受け入れる病院・病棟として、新しく「地域包括医療病棟」というものができました

「地域包括ケア病棟」とよく似た名前ですので、包括という意味ではいっしょです。そして、地域と連携する、地域の方々を受け入れるという意味合いもいっしょです。

ただしどういう仕組みになっているかというと、看護配置は10対1です。中身については地域包括ケア病棟とだいたい同じなのですが、在院日数であるとかが少し短くなっていたりします。

これはどういうふうに考えるかというと、地域包括ケア病棟の上位基準と考えるか、急性期一般の10対1のところが包括になったと考えるか、2つの考え方ができます

なので、ご自分の病院に入院されている患者さんの様子によってはもしかしたらこの「地域包括医療病棟」に転換したほうが運営しやすい施設もあると思います。

そして今回の改定で、地域包括ケア病棟に関しては、40日以内と40日以降で点数が変わるという2段階になりました。ということは「地域包括」というなかで、医療強化・通常版・長期というように3つに分かれたという考え方もできるかなと私は見ています。

ただいくつかの病院で試算をしたのですが、例えば急性期一般のところの10対1で、DPC(1日当たりの包括評価制度)になっているけど症例数はそれほど多くなく、どちらかというと内科的なDPCが多く、手術もあまり多くない病院だと、実は3,050点とは言えここに加算を付けていくとだいたい4,000点くらいになるんですね。それとどっちが良いか……となると、トントンになるような病院があることもわかっています。

ですので、手術や検査を頻繁に行うDPC対象の患者さんが多いのか、どちらかというと包括的にみていってADLの維持と在宅復帰を目指す患者さんが多いのかといったように、自分たちの病院に入院している患者さんを見極めたうえであらためて考え直していくというのもいいと思います。

2024年診療報酬・介護報酬改定のポイント03


この地域包括医療病棟の包括の範囲は、地域包括ケア病棟とだいたい同じなのですが、同じように手術は別出しできますので、場合によってはDPCにしなくても、ここで手術とかをしながら地域包括ケア病棟でみていくということもできるのではないかなと思って見ています。

2024年診療報酬・介護報酬改定のポイント04


なので、次のスライドのように「特定の機能を有する病棟における病床機能報告の取扱い」というものが厚生労働省から出ていますが、ここで「地域包括ケア病棟入院料」に関しては急性期と回復期と慢性期の機能がもともとあるよね、ということがいわれていたので実は地域包括ケア病棟の急性期寄りで加算を取って配置を増やしていた病院・病棟はもしかしたら地域包括医療病棟のほうが適しているのかもしれないなと見ています。

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そんなこともあって、今回、厚生労働省も次のスライドに示したような「想定される地域包括医療病棟への移行イメージ」という丁寧なイラストを出してくれています。

実は診療報酬改定には付帯意見という、次の改定までにこういうところを継続的にモニタリングしていきましょうねというものがあるのですが、そのなかに新設された地域包括医療病棟への転換は10対1の病院は考えていってもいいんじゃないですかといった言葉が入っていて、そこも厚生労働省は狙っていたのかというのが見えてきました。

2024年診療報酬・介護報酬改定のポイント06


これで見ると、例えば急性期入院基本料1を算定している病院が一部の算定を残しつつ、一部を地域包括医療病棟に分けるということがありますよね。要するに患者さんを寄せるというようなイメージだと思います。

後でお話しする重症度医療看護必要度の維持のためにはこういう方法もあるのかもしれません。

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そしてもう一つは、もともと10対1の急性期入院基本料2-6を取っているところであれば、丸ごとすべて地域包括医療病棟にするというのもアリだよね、とか、急性期の一部を残して半分くらい地域包括医療にするのもアリだよねという2パターンができますよねという移行イメージです。

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あとは地域包括ケア病棟から看護配置は10対1に上げて、機能的に地域包括医療のほうに上げてしまって救急車をもっとバンバン取れるような病棟にしていきましょう、ということも考えられますよね、みたいなことが示されているので、それぞれの病院の患者さんの層に合わせて病床の組み換えをしていっていただけるといいと思います。

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次は急性期のところに着目してお話ししたいと思います。

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ログインすると動画でも解説が聴けてより理解が深まります。また、ご購入いただくとすべてのプログラムがご覧いただけますのでぜひご検討ください。







プログラム

1、2024年度診療報酬改定のポイント
・診療報酬改定の背景
・第8次医療計画
・2024年度改定のトピックス

2、看護管理者が知っておきたい2024年度診療報酬改定のポイント
・救急医療体制、地域包括医療病棟
・急性期一般入院基本料
・外来腫瘍化学療法診療料、意思決定支援

3、2024年度介護報酬改定のポイント
・2024年度介護報酬改定の概要
・リハビリテーション・栄養
・介護サービスにおける効率化・理学療法士等による訪問
・訪問看護師の活動
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