第一線で活躍する医師や看護師、医療従事者などが講師として登場し、わかりやすく解説する「メディカのセミナー」。そのセミナーのプログラムのうちチャプターの1つをメディカLIBRARYだけで特別配信します。

※上部のサムネイルをクリックして視聴できます。
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講師
佐藤 弘樹(国立がん研究センター東病院薬剤部薬剤師)
渋谷 悠真(国立がん研究センター東病院薬剤部薬剤師)
菊池 早輝子(株式会社日立製作所日立総合病院/がん薬物療法看護特定認定看護師)
高梨 智恵(湘南鎌倉総合病院/がん化学療法看護認定看護師)
長谷川 紀代(横浜未来ヘルスケアシステム 戸塚共立第1病院/がん化学療法看護認定看護師)
大島 文乃(横浜未来ヘルスケアシステム 戸塚共立第1病院/がん化学療法看護認定看護師)
倉林 美和(独立行政法人労働者健康安全機構横浜労災病院 外来化学療法室/がん化学療法看護認定看護師)
藤本 沙耶香(徳島県立中央病院/がん化学療法看護認定看護師)
友野 亜妃子(がん化学療法看護認定看護師)

<どんなセミナー?>
外来や病棟で行うがん薬物療法看護の基本の「き」を学べて、自信をもって投薬ができて、「ココ!」というポイントを押さえた患者指導やケアを実践できるようになります!


配信|総説3:取り扱いに注意が必要なくすりについて


本コンテンツの収録内容は、まず取り扱いに注意が必要なくすりについて、

・Hazardous Drugsとは?
・健康面への影響
・取り扱い時に必要な個人防護具について
・排泄されている期間の日常生活の注意点について(排泄・洗濯)

というお話をして、続いて血管外漏出について、

・影響度分類とその薬剤
・血管外漏出を疑ったら?

ということでお話ししていきたいと思います。


がんのくすり01
※上記の動画ですべて視聴できます。



まず、取り扱いに注意が必要なくすりについてお話しをしていきます。

取り扱いに注意が必要な薬剤とは? というところでHazardous Drugs(ハザードドラッグ)というものがあります。これは、曝露によって健康へ有害な影響をもたらすか、またはそれらの影響が疑われる薬剤として定義されています。

どのようなくすりが該当するかと言いますと、下記のように定められています。

① 発がん性
② 催奇形性または発生毒性
③ 生殖毒性
④ 低用量での臓器毒性
⑤ 遺伝毒性
⑥ ①~⑤を有する既存の薬剤に類似した化学構造および毒性を示すもの

がんのくすり02


Hazardous Drugsに位置づけられる薬剤を見てみると、取り扱いに注意を要する抗がん薬として、殺細胞性抗がん薬、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬など、すべての抗がん薬がHazardous Drugsに含まれています

がんのくすり03


これらの薬剤の曝露の経路としては、汚染食品や粘膜吸収、吸入、経口摂取、皮膚吸収または皮膚接触、針刺しによる注入などがあり、また、びん針も曝露経路の対象となっています。

がんのくすり04


さらに、Hazardous Drugsの曝露による健康への影響としましては、医療従事者の抗がん薬曝露に影響を与える要因として、

・薬剤の取り扱い状況(調製、運搬、投与、廃棄または処理)
・調製された薬品の量
・薬剤取り扱いの頻度と継続時間
・患者液体への接触(排泄物、リネン)
・生物学的安全キャビネットの使用
・個人防護具(PPE)の使用
・作業訓練の有無

などが挙げられています。

がんのくすり05


これらHazardous Drugsの取り扱い作業に必要な個人防護具としましては、注射剤、経口剤それぞれありまして、次のスライドの表の通りとなっています。

手袋は基本的に二重にして、ガウンも装着して、Hazardous Drugsを取り扱う必要があります。

運搬の場合は、手袋は一重でよく、ガウンや顔面防護具などの装着の必要はありません。

がんのくすり06


これらの薬剤が投与され、排泄されている期間の排泄方法としてましては、治療後最低48時間は尿器やおむつの使用はできるだけ避けてトイレで排泄するようにします。

ストーマのパウチは、可能であればHazardous Drugs投与後最低48時間以内は袋に排泄物がたまったら袋ごと捨てるようにすることが望ましいといわれています。

手順としては、トイレを使用した場合、その清掃をし、手指消毒を徹底する必要があります。

がんのくすり07


また、Hazardous Drugsが排泄されている期間の洗濯方法としましては、汚染がなければ通常の方法で他のものと一緒に洗濯してもよいですが、汚染があった場合には、他の洗濯物とは別に予洗いをした後にもう一度洗濯する必要があります。

がんのくすり08


次に血管外漏出について解説をします。

がんのくすり09



ログインすると動画で「血管外漏出」の解説まで聴けます。また、ご購入いただくとすべてのプログラムがご覧いただけますのでぜひご検討ください。







「がんのくすり」シリーズについて

同シリーズには全薬剤おまとめ編のほか、9つの部位編とおまとめ編などのセット販売もございます。

▼セット受講(9,600円)
『頭頸部・食道編 + 肺編』
『胃編+小腸・大腸編』
『腎臓・泌尿器編+卵巣・子宮編』

▼部位別(6,000円)
『頭頸部・食道編』
『肺編』
『乳房編』
『胃編』
『肝胆膵編』
『小腸・大腸編編』
『腎臓・泌尿器編』
『卵巣・子宮編』
『血液編』




プログラム

【本セミナーのつくり】
まず押さえておくべきがん薬物療法にまつわる総説講義動画5本のほか、薬剤ごとに「薬剤師の解説」と「看護師の解説」がセットになっています。

総説1 がん薬物療法についての総説
がん細胞とは/がん薬物療法(がん化学療法)とは/細胞障害性抗がん薬/ホルモン薬(内分泌療法薬)/分子標的薬/免疫チェックポイント阻害薬

総説2 がん看護の道具 ~CVポート編~
がん薬物療法に用いられる主な器材/押さえておきたい皮下埋め込み型中心静脈アクセスポート(CVポート)/CVポートの代表的な造設場所 ほか

総説2-2 がん看護の道具 ~そのほか編~
がん薬物療法で用いられる主な器材:フィルター付き輸液セット/「フィルター付き輸液ルートを使用する」とは/がん薬物療法で用いられる主な器材:閉鎖式の抗がん薬輸液セット(CSTD) ほか

総説3 取り扱いに注意が必要なくすりについて
取り扱いに注意が必要な薬剤とは?/Hazardous Drugsに位置づけられる薬物/曝露の経路/曝露による健康への影響/取り扱い作業に必要な個人防護具 ほか

総説4 血管外漏出の予防と対策
はじめに/血管外漏出(EV)とは・血管外漏出のリスク/患者側の因子・医療側の因子/治療開始前における血管外漏出予防策/治療中の血管外漏出予防策 :①穿刺部位選択 ②治療中の患者指導 ③輸液ポンプ? 自然滴下? ほか

〇フルオロウラシル
〇シスプラチン
〇オキサリプラチン
〇テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム
〇カペシタビン
〇セツキシマブ
〇パニツムマブ
〇イリノテカン/イリノテカンリポソーム製剤
〇エトポシド
〇ブレオマイシン
〇ビンクリスチン
〇ダカルバジン
〇パクリタキセル
〇アルブミン懸濁型パクリタキセル
〇カルボプラチン
〇シクロホスファミド
〇ドキソルビシン
〇リポソーム化ドキソルビシン
〇エピルビシン
〇ドセタキセル
〇トラスツズマブ
〇ゲムシタビン
〇リツキシマブ
〇ベバシズマブ
〇ラムシルマブ
〇ペメトレキセド
〇ニボルマブ
〇ペムブロリズマブ
〇ペルツズマブ
▼詳しくはこちらから