第一線で活躍する医師や看護師、医療従事者などが講師として登場し、わかりやすく解説する「メディカのセミナー」。そのセミナーのプログラムのうちチャプターの1つをメディカLIBRARYだけで特別配信します。

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講師
坂本 壮
総合病院国保旭中央病院救急救命科医長/臨床研修副センター長

<おすすめポイント>
・重症度・緊急度を見極める!
・バイタルサイン、病歴聴取、身体診察をキャラクターの会話で楽しくマスター。
・患者さんをみるときに“自信をもって、根拠をもって”対応できる!


配信|CHAPTER 4 身体診察編


ここからは身体診察編です。

救急外来のトリアージで身体診察まで行うかというと難しいかもしれませんが、院内の急変などではあると思いますし、最低限ここだけは知っておけばということをお伝えしたいと思います。

ではさっそく状況設定の動画を観ましょう。


ナース:先生、意識障害患者さんの診察をお願いします。

ドクター:麻痺ある?

ナース:なさそうです。

ドクター:なら頭っぽくはないね。脳梗塞や脳出血で意識障害があるなら麻痺あるはずだからね。眠剤とか薬の影響じゃないかなあ。

ナース:高齢者を診たら、薬の影響を考えることは大切ですもんね。さすがです!

坂本先生:さすがじゃない!鑑別必須な大切な疾患を忘れているぞ!


ねころんで読める救急患者のみかた01


意識障害の患者さん、左右差に注目!ですね。

トリアージの段階で何が重要かですが、みなさん、意識障害といったときにJapan Coma Scaleとか、Glasgow Coma Scaleといったものがあると思いますが、このあたりはきちんと理解しておく必要があります

なぜかと言うと、当然、客観性をもって評価をして、きちんと相手に伝わる言葉で伝えないといけないからです。「なんだか先生おかしいんです」と言われてもどの程度おかしいのかわかりません。

ですので、Japan Coma Scale、Glasgow Coma Scaleを覚えていただきたいのですが、もしも覚えづらかったらはじめのうちは表を写メしてもいいし、ポケットに入れておいてもいいし、常に見ながら評価をする癖づけをしておくと、意識障害の患者さんはたくさんいますのでそのうち覚えます。

このJapan Coma Scaleですが、「Japan」と入っていますから日本でしか使われていません。ただ日本で使われているだけといっても看護師さんや救急隊の方もよく使って評価をしてくれますので、まずはJapan Coma Scaleから覚えてください。

ねころんで読める救急患者のみかた02


そして、集中治療室とか重症な患者さんを扱う場合には、次のスライドのGCS(Glasgow Coma Scale)を覚えるという流れがいいかなと思います。

このGlasgow Coma Scaleは判断を間違えがちなところがあるので、2点ほどお話しします。

まず「A:開眼」のところですが、自発的に開眼しているとE4、言葉によって開眼するとE3とありますが、例えば寝ている患者さんがいたときに、声をかけて起こすと言葉によって開眼したからE3と判断するのはどうかというと、これは違いますよね?

言葉によって開眼するというのは、言葉によらないときにはふぅっと寝てしまう、といったような状態がE3です。つまり、目を閉じているだけ、寝ているだけの患者さんを意識障害と捉えることはありませんので、言葉によって開眼したその後が問題で、普通に私たちと会話ができて、例えば15秒とか20秒くらいきちんと目が開いている状態であればE4と評価してください。

そしてもう一つ。「C:運動による最良の応答」のM5、M6ですが、このときに命令に従うか否かというのも重要で、例えば患者さんに対して「手を握ってください」と声をかけて、患者さんが握ったとします。次に「離してください」と声をかけたら離す。これができればまったく問題ないですよね?

しかし、「手を握ってください」と声をかけて、患者さんがなんとなく手を握る、「目を開けてください」と言ったら目を開ける、これだけの評価だと、これには患者さんが本当にオーダーに応えているかどうかわからないです。

小さな子どもで考えるとわかりやすいのですが、子どもの手のところに自分の手をなんとなく持っていくと握りますよね。これはただの反射ですよね。

ですので、患者さんにオーダーが入っているのかどうか、握手であれば握って離す、目であれば開閉眼、開けて閉じる、そのどちらもきちんとできないと、オーダーが入っていると捉えられません。

ですので、握ったけど離さないというのは患者さんがわかってないということですので、そういった場合には意識がちょっと怪しいなと思ったほうがいいかもしれません。

ねころんで読める救急患者のみかた03


意識障害の鑑別疾患は、次のスライドにも示しましたがとにかくたくさんあります。そして、意識障害というとなんとなく頭が原因だと思いたくなりますよね。脳梗塞とか脳出血によって意識が悪くなったんじゃないかなあと。

当然その頻度は、特に高齢者では高いのですが、高齢者で意識障害のいちばん多い原因は何かというと脳卒中と並んで感染症が多いんですよね。肺炎とか尿路感染症とか、そういったものが原因で意識が悪くなることもあります。また髄膜炎のような中枢神経系の感染症も起こりますが、頻度が高いのはやはり肺炎や尿路感染症で、熱も出て意識が朦朧としているという状態が非常に多いです。

それ以外にも、低酸素や低血糖、外傷による変化といったことも多いので、とにかく意識障害の原因は頭だけじゃなくたくさんあるぞと。

覚え方としては頭文字からアイウエオチップス(AIUEOTIPS)なんてものもありますが、まずはこれだけあるんだということを理解しておきましょう。

ねころんで読める救急患者のみかた04


続いてはトリアージの段階で麻痺がある患者さんで左右差がない意識障害だった際に気を付けほしいことについての解説です。ぜひログインして動画で視聴ください。また購入するとすべての項目が視聴できますのでぜひご検討ください。

ねころんで読める救急患者のみかた05







プログラム

#01 バイタルサイン編 Pt.1
・ショックは血圧で判断するな!
・熱がないから感染症は否定的?!

#02 バイタルサイン編 Pt.2
・血圧が低いのに、脈まで遅い?!
・バイタルサインは普段のADLで確認!
・血圧は脈圧にも注目を!

#03 病歴聴取編
・発症時間を突き止めよ!
・失神をあなどるなかれ!
・なぜ転倒したのか?原因を突き止めよ!
・内服薬は根こそぎ聴取!
・嗜好…“本人談”は本当か?
・家庭環境の確認を!

#04 身体診察編
・意識障害の患者さん、左右差に注目!
・けいれんの患者さん、目に注目!
・疼痛の患者さん、患部を直視せよ!
・腹痛の患者さん、軟らかくても安心するな!
・皮疹の患者さん、ABCDをチェック!

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