第一線で活躍する医師や看護師、医療従事者などが講師として登場し、わかりやすく解説する「メディカのセミナー」。そのセミナーのプログラムのうちチャプターの1つをメディカLIBRARYだけで特別配信します。
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講師
小坂 晶巳
相澤病院 副院長・看護部長
<セミナーを受講するとこんなことが学べます>
看護補助者と協働するために、どのような組織を作ればいいのか、何をどのように分担すればいいのかと悩んでいる方は、本動画をご覧ください!
・看護補助者の採用と定着に成功している相澤病院の事例より、「組織作り、役割分担、働きやすい職場環境、看護補助者の定着推進」の4つに分けて解説しています。
・自施設で取り入れることができる取り組みのヒントが得られます。
・動画内の3つの「個人ワーク」で、考えを整理し、思考を発展させることができます。
配信|CHAPTER 2:「誰に・何を・どのように」分担するか?
みなさん、こんにちは。
この回では、看護補助業務について基本的な考えを知り、その上で看護補助者の業務を明確にし、評価を行うことができる職能要件書について説明をします。そして、看護補助者と看護師の協働について規定で明文化をしていく意図について説明をします。
では「看護補助業務の基本的な考え方」からお話ししていきます。
第1回目の講義でもお話ししましたが、看護師は自身の判断で療養上の世話を実施でき、療養生活支援の専門家とされています。
療養上の世話は、看護師の業務独占です。
一方で看護補助者は、療養生活上の世話をすることができます。
また、看護師には対象者に安全かつ効果的な看護を提供することに加え、看護補助者へ看護補助業務の指示を適切に行うことが求められています。
ここでの「適切に」とは、組織体制のあり方やコミュニケーションの取り方がポイントと第1回目の講義でも説明をしました。
看護師が看護補助者へ看護補助業務を適切に指示するために「誰は」「何ができるのか」を明確にして、看護補助者と看護師間で共通の認識にしておくことが大切です。
看護師は「療養上の世話」が実施でき、それは看護師の業務独占です。
一方で、「療養生活上の世話」は看護補助者が実施できます。
看護師が看護補助者へ依頼する業務が「療養生活上の世話」か「療養上の世話」か、判断する役割を担うのは看護師です。
その業務が「療養上の世話」であるかどうかは、業務の内容だけでなく、対象者の状態によって決まります。
例えば、体位変換によって容易に循環動態が変動するような患者の清拭は看護の専門的判断を要する業務であるため「療養上の世話」に該当します。
体位変換によって状態の変化がない患者の場合には「療養上の世話」に該当しないケースもあります。これを「療養生活上の世話」と考えます。
したがって、看護師は患者の状態をよく把握したうえで、「療養生活上の世話」か「療養上の世話」かを的確に判断する必要があります。
続いて「職能要件書の作成」です。
職能要件書とは、職務に必要な能力の内容やレベルをまとめた「職能資格要件書」のことです。これは資格や職種ごとに果たすべき職務、業務内容を書き出したもので、誰が見ても「この職種は、この職務と業務を行うのだ」と明確に理解できる文書です。
また、1つの業務に対して能力はどのレベルに到達しているのか評価することができます。その能力は、教育やトレーニングにより身につけることができ、レベルアップをすることができます。
当院は能力のレベルが人事制度の等級と紐づき、さらに給与とも紐づいています。
当院の職能要件書は、職種・資格ごとに、次のスライドに示す項目で明文化しています。
看護師の場合はどの部署でも行う共通の看護業務があり、それは「看護業務共通編」として1つの職能要件書を持っています。
さらに診療科によっては、その部署でのみ実施する看護業務もあるため部署ごとの職能要件書もあります。
また職員が職責をどのように達成しているか評価するうえで土台となるもので、評価項目は「先輩と実施できる」「独りで実施が可能」「指導ができる」レベルまで段階が分かれています。
評価は年に1回、自己評価と上司評価が行われ、一定の基準を満たすと等級が上がる仕組みを持っています。
次のスライドは、実際の介護課職員、介護福祉士の職能要件書の一部を示しています。大前提に患者の状態が落ち着いていて、療養生活上の世話だと看護師が判断した患者に対して提供される日常業務です。
介護課の日常業務には、整容の援助や清潔援助、食事介助、排泄援助などが挙げられていて、業務内容は患者に直接関わることができる業務であって、患者の状態を観察しながら援助をするものになっています。
これらの業務が「先輩と実施できる」レベルから「指導ができる」レベルまで評価をすることができ、項目ごとに等級の設定がされています。
続いて、次のスライドは介護課の専門業務です。レクリエーションの対応や退院支援などが挙げられています。
ここに挙げられている業務は、介護課の専門業務と位置付けられているため、介護課の職員として自立し、やりがいを持って実施している業務です。
次のスライドに示したのは病棟支援課の業務内容です。
こちらに所属している職員は、初任者研修修了者や無資格者です。業務内容は患者に関わる業務も一部ありますが、主には患者に関わらない業務となっています。
例えば、リネン庫の管理やベッドサイドの清掃、吸引びんの洗浄やポータブルトイレの洗浄・消毒などです。
このように当院では患者の体に関わる看護補助業務は介護課が担当し、患者の体に関わらない業務は病棟支援課が担当するように分けています。
職能要件書という形を取らなくても、業務をこのように明文化して示すことで、看護師は誰に何を依頼すればよいのかがはっきりしてきます。
それではここで個人ワークをしてみましょう。
あなたの組織で、看護補助者にタスク・シフトできると考えている課題はありますか? 誰に、何を、どのように担当してもらえるか、考えてみましょう。
ログインすると個人ワーク後の講師のコメントまで動画で視聴できます。また、ご購入いただくとすべてのプログラムがご覧いただけますのでぜひご検討ください。
プログラム
(1)看護補助者・他部門へのタスク・シフト/シェアを行う組織作り
1.看護補助者と看護師の協働について
2.協働を進めるための組織作り
3.協働をより良いものにするために
個人ワーク①:あなたの組織では、看護補助者との協働のために、どのような組織体制にするとよいでしょうか? 簡単でいいので、組織図を考えてみましょう。
(2)「誰に・何を・どのように」分担するか?
1.看護補助業務の基本的な考え方
2.職能要件書の作成
3.「規程」で明文化
個人ワーク②:あなたの組織で、看護補助者にタスク・シフトできると考えている課題はありますか? 誰に、何を、どのように担当してもらえるか、考えてみましょう。
(3)心理的安全性のある職場をどのように作るか?
1.心理的安全性はなぜ必要か?
2.心理的安全性が低いと起こる弊害
3.コミュニケーションの重要性
個人ワーク③:あなたの組織で心理的安全性がない(とても低い)と感じた経験はありますか? それはいつ、どのような状況だったのか、思い出してみましょう。
(4)看護補助者を定着させるための院内資格制度
1.看護補助者の人材不足
2.院内認定資格制度
3.まとめ