第一線で活躍する医師や看護師、医療従事者などが講師として登場し、わかりやすく解説する「メディカのセミナー」。そのセミナーのプログラムの一部をメディカLIBRARYだけで特別配信します。
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講師
上田 剛士
洛和会丸太町病院 救急・総合診療科 部長
<セミナーを受講するとこんなことが学べます>
・症例から学ぶ バイタルサインの重要性
・肺の診察
・心臓の診察
・お腹の診察
・その他の診察
配信|CHAPTER 1:症例から学ぶ バイタルサイン の重要性
バイタルサインっていろんなことが分かります。みなさん知ってるとは思うのですが、答えられるかどうかを確認してみようと思います。
まず、古典的なバイタルサイン4つが何か言えるかですね。そして「ショック指数」を知っているかどうか、「qSOFA」を知っているかどうか、最後に「Eary Warning Score」っていうのを知ってるどうか?
全部知っているという方は、今日の話はもう分かっていることがほとんどになってしまいますが、知らないものがもしあれば、ぜひ持ち帰っていただきたいですね。
「バイタル(Vital)」ってそもそも何なのっていうことなんですけど、Vitalとは、「生命」とか、「命に係わる大事な」なんていう意味合いを持っている言葉なんですね。「とっても大事」ということなんですけど、ふだん日常会話で使わないですよね。恋人に向かって「あなたは私のバイタルだ」なんて言っている人見たことないですよね。
普段は使わないんですけど、同じ語源の言葉で、みなさんがよく使っている言葉があります。それが「ビタミン」です。「バイタルアミン(Vital+Amine)」を縮めて「ビタミン(Vitamine)」になったと言われていますが、三大栄養素とミネラル以外で生きていくために必要な栄養素のことをビタミンと呼びます。もともとそれはアミン化合物のことが多かったので、Vital+Amineと呼ばれることになったという契機があります。
余談が続きますけど、漫画『ONE PIECE』では、すごいいいことをよく言っていますよね。人生の教科書です。「ビタミンがないと人は生きていけない」ということですが、これが「壊血病」です。手遅れでなければすぐに治るけど、放っておいたら死んでしまう、船乗りがビタミンCが足りないと死んでしまう怖い病気ですね。
では、医学に話を戻しまして、古典的なバイタルサインって何なのかという話をまずしていこうと思います。古典的なバイタルサインは「血圧」「脈拍数」「呼吸数」「体温」この4つですね。正常範囲はみなさん見ていただければ、そうだなと思っていただけるかと思いますが、ここにサチュレーションが入っていないんだなということを確認しておいてくださいね。
さきほど、古典的なバイタルサインと言われたとき、サチュレーションが浮かんできた人は、現代的と言えば現代的なんですけど、もしかしたらちょっとピットフォールに陥る可能性があります。そこ、注意しましょう。後で実際の症例を出していきますね。
そして、その他のバイタルサイン、5つ目のバイタルサインに最も早く名乗りを上げたのは、「意識」なんですね。救急外来などで意識の悪い人はトリアージですぐに診なきゃいけないというように、意識ってとっても大事ですね。他は「痛み」なんてのも、救急外来や胆がん患者さんでは、バイタルサイン並みの重要度があるということで、これも第5のバイタルサインとして扱うことがありますね。最後に「尿量」ですけども、集中治療の領域では必ず記載を残しますよね。バイタルサインと同じような扱いをしています。ほんとにほかにもいろいろあって、「体重」をバイタルサインに入れようなんて意見があったりしますけど、意識とサチュレーションがとくに重要ですかね。
バイタルサインの異常ということで、まず知っていただきたいのが「ショック」ですね。じゃあ、ショックって何なのということなんですが、日本救急医学会のHPを見ると、意外と小難しい言葉で定義されています。
・急激な全身的な組織血液灌流低下により、細胞障害を来すことを示す。
意味がわからないですね。分かりやすく普段使う定義としては、だいたい血圧が低いものを、おそらくショックとしてみなさん使っているんだと思うんですね。ですので、まずは血圧が低いことをショックと思っていただいても間違いではないんですけど、本当の定義は血圧が低いことによって臓器障害が出るということ。ただ血圧が低い人のことをショックとは言いません。臓器障害があることが大事です。これも後々、症例を見ていただけると分かると思います。
プログラム
1・2 症例から学ぶ バイタルサインの重要性
・血圧が下がる前にショックに気づくには
・ショック患者でバイタルサインより大事な身体所見とは?
・【質問】バイタルサインの測定の順序について
・患者に触れずに肺炎を見抜くには?
・呼吸数が重要なのは、なぜ?
・夜中でもドクターコールすべき発熱とは?
・ナショナルアーリーワーニングスコア(NEWS)で急変を察知する
3・4 肺の診察
・【質問】チェーンストークス呼吸とSAS(睡眠時無呼吸症候群)の区別の方法
・【質問】NEWSの「意識」の項目で普段から傾眠の場合はどう評価する?
・【質問】脈圧、拡張期血圧とはどういうものか? …ほか
・上気道閉塞を見抜け!
・呼吸音の低下があれば…
・crackles はタイミングで分けよう
・どこで・どんな音がするのか。聴診・打診でこんなにわかる!
5・6 心臓の診察
・エキスパート・ナースなら聞き分けたい3つの心雑音のちがい
・慣れればカンタン! 頚静脈圧を見られるようになろう
・頚静脈怒張! どんな疾患を考える?
・【実習デモ】頚静脈の観察
・【質問】どの程度のレベルのCOPDから気管短縮が認められる?
・【質問】右肺が気胸で、左肺が肺炎の患者さん、呼吸音の聴取である程度診断できるか?
・【質問】心雑音を聞いた方がよいときは? どういうときに聴診して報告して欲しいか? …ほか
7・8 お腹の診察
・怖い病気は車に乗ればわかる?!
・波のない痛みで、冷や汗は緊急疾患
・肝硬変を一目で見抜くワザ
・聴性打診で導尿すべきかわかる
・【質問】頚静脈の怒張をみる際、CVC挿入されている場合はどうする?
・【質問】聴性打診のときの打診は片手でよいのか? …ほか
9・10 その他の診察
・誰でもできる麻痺の簡単なみかた
・“単なるせん妄”と“ヤバいせん妄”
・発熱患者をどのようにみるか
・転倒患者でみるべきポイント
・【質問】敗血症ではない患者で、モットリングが出たときはどうする?
・【質問】下肢挙上はどの程度の角度まで上げたらよいか? 時間の目安は?
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