第一線で活躍する医師や看護師、医療従事者などが講師として登場し、わかりやすく解説する「メディカのセミナー」。そのセミナーのプログラムの一部をメディカLIBRARYだけで特別配信します。

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講師・プランナー
三木 義仁
多根総合病院 神経・脳卒中センター 脳神経外科 統括部長

<セミナーを受講するとこんなことが学べます>
・脳卒中概論
・脳卒中 症状のスコア方法は?
・脳梗塞・TIA 病態生理/症状/治療/手術
・脳出血 病態生理/症状/治療/手術
・くも膜下出血 病態生理/症状/治療/手術
・頚動脈狭窄症 病態生理/症状/治療/手術
・特殊な脳卒中
・脳卒中看護のポイント


配信|CHAPTER 1:脳卒中ってなあに?


みなさん、こんにちは。脳外科の三木といいます。よろしくお願いします。

今回は非常に幅の広い「脳卒中」というテーマに関して、20本のシリーズに分けて、皆さんにご紹介したいと思います。

ぎゅぎゅっと濃縮 脳卒中の病態・症状・治療とケア01

まずは「脳卒中ってなあに?」ということなんですけれども、脳卒中とは、脳が卒然(突然)中る(あたる)と、その頭文字をとって脳卒中と表現します。

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卒然とは突然の昔の言い方で、紀元1世紀頃の『黄帝内経』に記されている「邪風に中れば(あたれば)撃仆(げきふ=打ちのめされ)、偏枯(へんこ=半身不随)となる」から取られているということです。

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そもそも脳卒中というのは、脳血管の病気で、血管が詰まる脳梗塞、血管が破れる脳出血、くも膜下出血、いずれも“突然”発症するのがその特徴となっております。

おもには生活習慣病、高血圧、糖尿病、脂質異常症など、それから喫煙、多量飲酒、不整脈、おもには心房細動を放置すると脳卒中を発症しやすくなるとされております。

令和2年になりますけど、死因の第4位、さらには寝たきり・要介護に関しては第1位ということになっていますので、発症するよりもむしろ、それを未然に防ぐというのがわれわれの使命かなというふうに考えております。

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「どんな種類があるの?」ということですけれども、さまざまな脳卒中分類がありますけれども、われわれはおもにはNINDS分類、国際分類を用いております。

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その中でも、局所神経症候を呈するもの、TIA、Stroke、脳卒中の病型としては、脳出血、くも膜下出血、脳梗塞を今回ご紹介します。

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脳卒中は大きく分けると、虚血性脳卒中、出血性脳卒中がだいたい3対1の割合になっています。おのおの後ほど詳しくご紹介しますけれども、大きくとらえておきたいのは、3対1ということで、詰まりのほうが多いということになっております。

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とにかく大切なことは予防。危険因子の管理ということですけれども、このへんはですね、脳卒中協会などが推奨されている危険因子の管理の項目になります。①高血圧、②糖尿病、③脂質異常症、④喫煙、⑤大量飲酒、⑥心房細動を中心とした心疾患、⑦肥満・メタボリックシンドローム、⑧睡眠時無呼吸症候群、⑨抹消動脈疾患、⑩慢性腎臓病、これらの危険因子を適切に管理する、リスクコントロールというものを、かかりつけ医、専門医を見つけて、きちんとやっていくことが大事ということになります。

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さらには、ACT FAST(アクトファスト)という表現なんですけれど、「脳卒中かもしれない!」という独特のサインがあって、まずは突然の、顔のゆがみ(Face)、手の力が入らない(Arm)、言葉がおかしい(Speech)、いつから?(Time)、そのようなサインを見つけたときには、迷わずにすぐに救急車を呼びましょう! これをACT FASTと言って、脳卒中にできるだけ早く気づくための標語になっております。

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それらに気づかれた場合、世の中には脳卒中センターというものがあって、一番トップに包括的脳卒中センターという最も充実した脳卒中センターがあるわけですけれでも、いわゆる市中病院で、とにかく「脳卒中かもしれない」と気付けることがとても大事で、そのすそ野を広げるべく、われわれも努力しているわけです。

まずは、脳卒中かもしれない患者さんを受け入れる施設、それを専門施設にきちんと伝達することができる施設、さらには、今は急性期脳卒中治療に関してはrt-PA静注療法、血栓溶解療法、さらには血管内手術としての血栓回収療法ということで、できるだけ速やかに脳血管閉塞状態を解除するという努力がされています。そういう施設にできるだけ早く輸送することが脳卒中の世界の使命というふうになっております。

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今回のまとめですけれども、脳卒中は突然起こる脳血管の病気であるということ。それから虚血性と出血性は3対1で虚血性が多いということ。死因の第4位、寝たきり・要介護に関しては第1位。リスクコントロールをして発症予防が大事ということ。発症したかもしれないとなったらACT FAST。

では、また次回よろしくお願いします。



ご購入いただくとすべてのプログラムがご覧いただけますのでぜひご検討ください。







プログラム


1 脳卒中 概論
脳卒中ってなあに?/どんな種類があるの?/ACT FAST

2 脳卒中 症状のスコア方法は?
症状のスコア方法は?/代表的な評価方法

3 脳梗塞・TIA 病態生理
 脳梗塞とは?/TIAとは/脳梗塞の種類は?

4 脳梗塞・TIA 症状
 脳梗塞の症状って?/TIAの症状

5 脳梗塞・TIA 治療
 抗血栓療法剤/血栓溶解療法/血栓回収療法

6 脳梗塞・TIA 手術
 【手術動画】機械的血栓回収療法

7 脳出血 病態生理
 脳出血ってなんなの?/高血圧性脳出血/非高血圧性脳出血

8 脳出血 症状
 頭蓋内圧亢進症状/神経脱落症状/髄膜刺激症状

9 脳出血 治療
 脳出血治療の目的/非手術的治療/手術療法

10 脳出血 手術
 【手術動画】神経内視鏡的血腫除去術

11 くも膜下出血 病態生理
 くも膜下出血ってなあに?/予後と悪化因子/くも膜下出血の診断

12 くも膜下出血 症状
 身体所見と神経学的所見/内科的合併症/治療法選択の考え方

13 くも膜下出血 治療
 初期治療・術前管理/再出血予防処置/遅発性脳血管攣縮/続発性水頭症

14 くも膜下出血 手術
 【手術動画】脳動脈瘤頚部クリッピング術/コイル塞栓術

15 頚動脈狭窄症 病態生理
 頚動脈狭窄症ってなあに?/頚動脈が狭窄して起こること

16 頚動脈狭窄症 症状
 頚動脈狭窄症の症状は?/特徴的な理学所見/無症候性頚動脈病変

17 頚動脈狭窄症 治療
 頚動脈エコー/治療法選択の考え方/術後観察ケアのポイント

18 頚動脈狭窄症 手術
 【手術動画】内頚動脈内膜剥離術(CEA)/頚動脈ステント留置術(CAS)

19 特殊な脳卒中
 脳動静脈奇形/硬膜動静脈瘻/海綿状血管腫/静脈性血管腫/動脈解離/もやもや病/脳静脈/静脈洞血栓症

20 脳卒中看護のポイント
 緊急入院時、急変時の観察と処置/意識障害の評価と経時的観察/神経症状の評価と経時的観察/バイタルサインの評価



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