
第一線で活躍する医師や看護師、医療従事者などが講師として登場し、わかりやすく解説する「メディカのセミナー」。そのセミナーのプログラムのうちチャプターの1つをメディカLIBRARYだけで特別配信します。
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講師
西川貴史
神戸市立医療センター中央市民病院 麻酔科 集中治療フェロー
山本 亮
神戸市立医療センター中央市民病院 麻酔科 集中治療フェロー
桂 欣宏
神戸市立医療センター中央市民病院 麻酔科 集中治療フェロー
<どんなセミナー?>
・現場で人工呼吸管理に携わっている方が対象です
・グラフィックの読みかた、非同調への対応、アラーム・トラブル対応を解説!
・人工呼吸器はPuritan Bennett 980を使って解説します
配信|CHAPTER3.人工呼吸器のグラフィック
人工呼吸器のグラフィックについて始めていきたいと思います。神戸市立医療センター中央市民病院麻酔科・集中治療部の桂 欣宏と申します。よろしくお願いします。
それでは、正常なグラフィック波形について勉強を行っていきましょう。まず、圧-時間曲線の基本波形です。これを分解すると水色と黄土色の部分に分けることができ、それぞれが気道を通る圧と肺胞を膨らませる圧と言い換えることができます。
これから説明していきますので、ゆっくり理解していきましょう。右の絵は水色の部分が気道、黄土色の部分が肺胞と思っていてください。
吸気が始まり、肺胞が膨らんでいきます。ここが、気道にかかる最大の圧、ピーク圧です。そしてここがプラトー圧です。プラトー圧は吸気が終わるときに肺胞にかかっている圧のことです。
このように一時的に空気の通り道に蓋をすることによって、空気の流れがゼロになるため、測定されている気道の圧が肺胞にかかっている圧と同じになり、肺胞にかかっている圧を測定できます。先ほどから登場している吸気と呼気のあいだにあるスペースは吸気ポーズでした。
実際のディスプレイで見てみると、呼吸器には吸気ポーズボタンはここにあります。押すと次の呼吸の吸気が終わるタイミングで吸気が止まり、フローがゼロになり、プラトー圧が測定できます。
では何のために測定するのでしょうか? 解説を行っていきます。分かりやすくこの部分だけ持ってきました。
それぞれを分解し、水色の部分は空気が気道を通るための圧であり、オームの法則からレジスタンスと流量の積と同じになります。そして、これらは実測値から求めることができ、ピーク圧-プラトー圧になります。そして黄土色の部分は肺を膨らませるための圧で、換気量÷コンプライアンスで求めることができ、この圧はプラトー圧-PEEPとなります。
これらを移行してレジスタンスとコンプライアンスイコールとすると、このような関係になります。レジスタンスはピーク圧-プラトー圧÷流量。コンプライアンスは換気量÷プラトー圧-PEEP。これらからレジスタンスとコンプライアンスの測定に関して以下のことが言えます。レジスタンスはVCVの矩形波のみで測定可能ということです。
では、そもそも矩形波とは何でしょう? 実は今まで見てきたVCVのグラフィック波形は全て矩形波の波形でした。矩形波は設定した一定の流量の吸気の間維持します。ここでは55mL/minの流量を維持しています。これが矩形波です。
そしてこちらが漸減波です。吸気流量の最大流量を設定して、あとはそこから流量が漸減していく設定です。漸減波の方がより生理的呼吸に近い吸気流量と言われています。
先ほどのスライドに戻って、流量が一定でないとレジスタンスの測定ができないので、レジスタンスは矩形波のみで測定可能というのはそういうことです。コンプライアンスはVCV、PCVどちらも測定可能です。いずれも自発呼吸下では正確な値の測定が難しいです。
以上が正常な圧波形からそれぞれの成り立ちに注目してレジスタンスとコンプライアンスの構成要素を確認しました。そしてどのような状況やモードでそれらは測定可能なのかを確認しました。今は正常の波形に関して確認しましたが、次は病態別のグラフィックを確認し理解を深めていきましょう。
ログインすると動画でも解説が聴けてより理解が深まります。また、ご購入いただくとすべてのプログラムがご覧いただけますのでぜひご検討ください。

プログラム
1 (自発)呼吸の基本
イントロダクション
呼吸のメカニズム
呼吸のプロセス
呼吸の評価
呼吸の異常
人工呼吸器の目的と注意点
2 人工呼吸器の基本
人工呼吸器の構成
3つの基本グラフィック
基本的な換気モード
何を設定するか、しないか
トリガー(いつ吸うか)
サイクル(いつ終わるか)
ターゲット(吸気の間どのような動きをするか)
SIMV
実際の波形を見てみよう
3 人工呼吸器のグラフィック
気道を通る圧と肺胞を膨らませる圧
吸気ポーズとは?
何のためにプラトー圧を測定するのか?
レジスタンスとコンプライアンス
矩形波とは?
漸減波とは?
病態別グラフィック-拘束性換気障害
病態別グラフィック-閉塞性換気障害
病態別グラフィック-呼気に注目してみる
4 人工呼吸器の非同調とその対応
非同調とは
ミストリガー
ダブルトリガー
リバーストリガー
オートトリガー
早期終了
終了遅延
サギング
Auto PEEP
5 人工呼吸器のアラームとその対応
アラームとは
A/C PCV で注意が必要なアラーム
A/C VCV で注意が必要なアラーム
VCV でも換気量が得られないことがある
PSV で注意が必要なアラーム
SpO2低下アラーム
DOPEアプローチ
6 症例で学ぶグラフィックとアラーム対応①
グラフィック画面のおさらい
3日前からの呼吸困難を主訴に救急搬送された55歳男性
何が起こっているのでしょうか?
治療プランはどうする?
グラフィックを見てみよう~設定を確認する~
突然のSpO2低下にどう対応する?
緩徐なSpO2低下にどう対応する?
グラフィックを見てみよう~非同調の発生~
気道内圧の上昇にどう対応する?
一回換気量の低下にどう対応する?
7 症例で学ぶグラフィックとアラーム対応②
2週間前に上気道炎を発症し、1週間前からの体動困難~48歳男性
何が起こっているのでしょうか?
治療プランはどうする?
グラフィックを見てみよう~設定を確認する~
グラフィックを見てみよう~治療開始1週間~
グラフィックを見てみよう~A/C PCに変更~
人工呼吸器離脱のプロセス
グラフィックを見てみよう~同じPCVでも~
その後の経過と症例のまとめ
最後のメッセージ
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