孤独にDance in バベル|大事なことはぜんぶ臨床で学んだんだ|nozomi|#001

看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」のみなさんが、毎回テーマに沿ってそれぞれの看護の足跡を残していく本企画。

「学びかたを学ぶことで看護師として生きる選択肢をふやしていく」ことをコンセプトに立ち上げたメディア「メディカLIBRARY」のスタッフが、毎回、フラクタルのみなさんにテーマを伝えています。

第1回のテーマは「尿道カテーテル」です。


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『このフォーリー、ネラトンだよね? 病棟にチーマンってあったっけ? 救外ならあるかな。あ、ダメならウロ呼ぶからオンコールのドクター確認しておいて』

丑三つ時に自分の頭上を通りすぎて話される、デュエリスト(決闘者)のような会話に思わず固まってしまった。 僕のターン! そんなものはなかった! すぐにターンエンド!

はじめての尿道カテーテルは、今思い返してみても恐らく失敗とも成功とも言えない。まさかこんなに事が大きくなるとは思わなかったのだ。

すでに男性の尿道カテーテル挿入の事前学習は進めており、もし機会があったら実施をしたい旨を伝えていた。陰茎の角度、90°。尿道口はわかるから、挿入の長さはまず15cm。角度を60°にしてもう2~3cm。イメトレは万全。

そして幸いすぐにその機会は訪れたものの、途中でカテーテルが入っていかなくなってしまい、先輩を呼びに行くことになる。

(なお、このときオムツを開いたまま、しかも滅菌手袋をしたままで病室を出たためしこたま怒られることになる)

(パニックを起こすと視野は狭くなるのだ)

このとき指導についていてくれた先輩は、たしか8年目とか、9年目とかの、ぺーぺーの1年目看護師からしたら、雲の上の存在である。

そんな先輩の手技を横で見せてもらったけれど、 陰茎の角度を変えて何度か実施するものの入らなかったらしい。何本かカテーテルをダメにして、そのあと当直の医師にコールをすることになった。

そしてなんと、当直のドクターもカテーテル挿入することができず、一番上の発言に至る。

いや、なに言ってるか全然わからない。

しかもこんな、先輩にヘルプを求めて、ドクターコールまでして、緊張に緊張を重ねていた自分から出たのは『え……?』の一言だった。

すかさず先輩が『のぞみさん、救急外来に尿カテの種類はなにが置いてあるか確認してきて。電話番号表に今月の泌尿器科のオンコール表があるから、それも見てきて!』と、フォローをしてくれた。
なるほど、チーマンは尿道カテーテルの種類か。そういえばカテーテルの種類って、教科書にも書いてあった気がする。ウロは泌尿器科のことなのか。自分のなかのモヤモヤをすぐにスッキリ解決できると、うれしい。

この先輩みたいに、医師の発言でわからない単語を通訳するのも看護師の仕事だ。よもや新人看護師に発揮するとは、先輩も思ってなかっただろうけど。

救急外来にチーマンカテーテルがあるとのことで取りに行き、無事に尿道カテーテルが挿入された

ドクターが挿入しながら、チーマンカテーテルは普段病棟で使っているネラトンカテーテルよりも固く、角度が男性の尿道と同じ角度をしているため挿入しやすいと教えてくれた。

『まぁ、経験だよね。大事なのは』

そう言いながら外科のドクターは笑っていたけど、正しく知識を持って経験を積むことが必要だと思った、まだ初夏の夜勤。

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fractale~nozomi~
twitter:のぞみ(@sratsylenol

看護師クリエイティブプロジェクトFractaleのエモ担当。なぜか気が付いたら在宅沼に片足突っ込んでいた7年目看護師。外科・脳外科病棟→救命救急センター→集中治療室→2020年2月から在宅。新米訪問看護師。輸液ポンプ、シリンジポンプのコード整理の特技が活かせなくなってしまった。元葬儀屋、病院栄養科勤務経験のある社会人から看護師パターンのやつ。ケアの原点を在宅に感じて、改めて生と死を見つめ直そうとしている。趣味は筋トレと読書とロードバイクと音楽鑑賞。B'zに対する並々ならぬ執着心がチャームポイント。 好きなトレーニングはレッグエクステンション。


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