河添有希
理学療法士
 


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多くの人が「勉強せねば…」という思いを持ちながら講習会の受講申請を春におこないます。そして、講習会までの間に基礎を勉強しようと計画を立てるのですが、気付けば勉強せずに晩夏の講習会を迎えます。そんなもんです。私もそうでした。

しかし、試験まで時間もあり講習会すら終えていない時期から勉強をはじめようって方……。ほんとに素晴らしいです。申請から講習会受講少し前の時期はまだ講習会テキストも届いていませんが、職場に受験経験者がいる方は講習会テキストを借りられますし、そうでない方も『100日ドリル』をはじめ様々な問題集があるのでそれで勉強が開始できます。この時期だからこそゆとりをもって、臨床と比較しながら勉強を進めることが可能です。なんせ、ギリギリだと過去問をひたすら解くだけの作業・暗記になりがちですので……。

どうあがいても暗記せねばならぬところがある

講習会テキストの序盤に呼吸の歴史・関連法規・感染症分類・解剖・生理が並んでいます。これは間違いなく毎年出題されていますし、基礎の基礎ですから理解もなにもそれ自体覚えなければ話になりません。試験直前に勉強を始めると、この基礎の基礎がないため解説難民になることもしばしば……。せっかく早い時期に取りかかれたのであれば、ここを固めていきましょう。理解が必要なところに時間をかけることができるようになるために、この時期に暗記項目はある程度抑えておくと、直前の学習がすらすらいきやすいです。
ただ、おもしろくないんですよね、この領域。おもしろくない領域って極端に忘れやすい性質があります。さらに人間1回見た程度ではすぐ忘れてしまいます。かの有名なエビングハウスの忘却曲線ってやつです。だから効率よくいきましょう。ポイントはこちらです。

必殺!かえるの歌戦法!

か~え~る~のう~た~が~って合唱あるじゃないですか。あれって短い一節をずらしながら歌いますよね。あの要領でちょっとした範囲を、ちょっとずつ覚えていくんです。

①一度に沢山ではなく小さな区切りから

ではいまから例を挙げてみましょう。
例えば、下の3つの表(『100日ドリル』P17の表①と②、P18の表③)の呼吸療法の歴史と呼吸療法に関する法律・感染症分類の表から間違いなく毎年出題されます。同じ章に含まれることが多いため割と一気に覚えようとしがちですが、これを1つずつに分けて勉強していきます。

②時間をかけて、何度かにわけて

今日の勉強はこの呼吸の歴史の1つの表だけでいいんです。普通の試験勉強よりだいぶ楽でしょ?これの関わる過去問に目を通して、その後表を眺めます。ただ眺めてその後過去問を解きます。

③どんだけ間違えてもOK!その間違いは記録しておく

そして解いた過去問の間違えたところを記録しておきます。どれだけ間違えてもいいです。最初なんてほとんどわからないです。でも、それを素直に記録しておけば徐々に正答率が上がっていく様子が見えてモチベーション維持になりますよ。

④ずらしながら

さて、この呼吸療法の歴史をしっかり勉強した翌日は、呼吸療法に関する法律の表を覚えていきます。ただ、準備運動に前日の呼吸療法の歴史の過去問を解きます。そして間違いを記録し、再度表を眺めます。その後、呼吸療法に関する法律の勉強を①~③の手順で行っていきます。その翌日は呼吸療法の歴史と呼吸療法に関する法律を準備運動とします。こんなふうに繰り返し問題や解説などに触れる事で記憶の定着を目指します。

暗記も大事だけど臨床からの疑問がもっと大事!

暗記の勉強方法の一つを紹介しました。基礎の基礎は覚えるしかないのでやるしかないです。ただ、もっと大事な勉強は臨床の疑問を解決していくことです。臨床の疑問はそのとき湧いてきたとしても、今後毎日のように同じ疑問が湧くとは限りません。呼吸に関する疑問を抱いたらすぐに講習会テキストや問題集の解説などで検索してみてください。そしてその前後を読み、解説を読み、問題を解いてみてください。確実にレベルアップできます。その点、索引機能の充実している『100日ドリル』は超優秀です。臨床と認定試験の勉強がつながれば記憶の定着は圧倒的ですし、それこそ勉強の意義があるってもんです。

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目次


・本書の特長と使い方

【プロローグ 呼吸療法認定士合格のヒケツ】

【1章 呼吸療法総論】
■問題編 Q1-10
■解説編
1 呼吸療法の歴史/2 公衆衛生/3 生命倫理/4 関連法規と保険診療

【2章 呼吸不全の病態・解剖生理】
■問題編 Q11-55
■解説編
1 胸郭と胸腔の解剖/2 気管・気管支の解剖/3 呼吸に関するリンパ系/4 呼吸に関する神経系/5 呼吸筋の解剖/6 呼吸とコンプライアンス/7 呼吸とガス交換の解剖生理/8 呼吸と換気血流比/9 動脈血酸素含量/10 呼吸中枢と調節の解剖/11 肺循環/12 換気のメカニクス/13 気道の生理学/14 気管・気管支の解剖/15 肺胞に関する解剖 COLUMN/16 呼吸不全の病態と治療/17 COPD/18 気管支喘息/19 肺炎/20 肺結核/21 びまん性肺疾患/22 ARDS COLUMN/23 肺がん/24 気胸/25 肺血栓塞栓症/26 急性心不全/27 睡眠時無呼吸症候群/28 胸部外傷 COLUMN

【3章 血液ガス・肺機能検査】
■問題編 Q56-86
■解説編
1 肺の解剖生理/2 低酸素血症の原因/3 A-aDO2と肺胞低換気/4 低酸素血症と臨床/5 低酸素血症と酸素解離曲線/6 酸素(エネルギー)の需要と供給/7 血液ガスの正常値/8 酸素解離曲線の理解/9 ヘモグロビン緩衝系/10 酸塩基平衡/11 アニオンギャップ/12 酸塩基平衡と代償反応/13 血液ガスの臨床 COLUMN/14 肺機能検査の基礎知識/15 肺機能検査の測定結果/16 機能的残気量(FRC)検査/17 気管支喘息の検査/18 N2単一呼出曲線/19 拡散能検査/20 各種検査と得られる情報/21 コンプライアンス検査/22 COPDの病態と検査/23 肺機能検査の臨床 COLUMN

【4章 人工呼吸】
■問題編 Q87-146
■解説編
1 人工呼吸器の基本構造/2 アラーム・安全管理/3 医療ガス・ボンベ/4 気道確保、気管挿管、気管切開/5 気管チューブ・気管切開チューブ、カフ圧/6 用手換気装置/7 加温加湿 COLUMN/8 人工呼吸の適応と特徴/9 換気様式とモード・設定/10 グラフィックモニター/11 症例から考える COLUMN/12 パルスオキシメトリー・カプノメトリー・経皮ガスモニター COLUMN/13 循環動態のモニタリング:動脈圧/14 循環動態のモニタリング:肺動脈カテーテル/15 循環動態のモニタリング:心電図 COLUMN/16 人工呼吸合併症/17 術後合併症/18 水分・栄養管理/19 ウィーニング/20 全身管理 COLUMN

【5章 酸素療法・NPPV】
■問題編 Q147-186
■解説編
1 酸素投与の方法・器具・モニター/2 高気圧酸素療法/3 ハイフローセラピー(ネーザルハイフロー)/4 在宅酸素療法(HOT)/5 在宅人工呼吸(在宅NPPV、在宅TPPV)/6 酸素療法に関わる保険適用 COLUMN/7 NPPVの適応/8 NPPVの効果/9 NPPVの設定方法、しくみ/10 NPPVの管理 COLUMN

【6章 薬物療法】
■問題編 Q187-220
■解説編
1 エアロゾル粒子/2 吸入薬剤の分布/3 ネブライザーの種類と特徴/4 スペーサーの使用/5 pMDI/6 DPI/7 SMI/8 吸入薬の種類/9 LAMA/10 LABA/11 ICS(吸入ステロイド薬)治療/12 喘息治療ステップ/13 安定期COPD の治療/14 ステロイド薬の副作用/15 pMDIの利点 COLUMN/16 気管支拡張薬/17 鎮咳薬/18 去痰薬/19 副腎皮質ステロイド薬/20 抗アレルギー薬/21 生物学的製剤/22 抗微生物薬/23 抗菌薬/24 肺疾患の薬物療法 COLUMN

【7章 呼吸リハビリテーション】
■問題編 Q221-240
■解説編
1 呼吸リハビリテーションの目的/2 呼吸リハビリテーションの実施体制/3 患者選択/4 呼吸リハビリテーションを実施する目安/5 呼吸リハビリテーションの評価/6 呼吸リハビリテーションのエビデンス/7 呼吸困難の評価/8 コンディショニング/9 口すぼめ呼吸/10 6分間歩行試験とシャトルウォーキングテスト/11 運動処方/12 パニックコントロール/13 身体障害者手帳/14 集中治療における早期リハビリテーション/15 ABCDEバンドル COLUMN

【8章 新生児・小児の呼吸管理】
■問題編 Q241-255
■解説編
1 胎児期・出生時の循環と呼吸/2 肺サーファクタント/3 新生児の呼吸と管理/4 新生児の出生時対応/5 乳児の呼吸の特徴/6 小児の呼吸の特徴と管理 COLUMN

・苦手問題をキーワードから検索できる逆引きINDEX
・早調べ略語集
・資料ダウンロード方法

発行:2024年6月
サイズ:B5判 240頁
価格:4,180円(税込)
ISBN:978-4-8404-8491-6

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