コロナ禍により医療者にどんなことがおきているのか|コロナ禍における医療者のメンタルヘルス対策講座|上村恵一|#001

みなさんこんにちは。私は北海道にある斗南病院精神科で緩和ケアチームに所属している上村恵一です。今回は3回シリーズで「コロナ禍における医療者のメンタルヘルス対策講座」として、医療現場で奮闘されている医療者のみなさんの心の問題に少しでお役に立てればと思い、企画させていただきました。本シリーズでは、まずは医療者の心のなかにどのような問題が起きているのかということから、少しずつその対策に向けてお話を進めていきたいと思っています。では第1回は「コロナ禍により医療者にどんなことが起きているのか」についてお話していきます。(2020年8月21日撮影)

 

①医療現場のコロナ離職の実態
・医療現場では多くの医療者が仕事を失っている
・離職の理由は何らかの感染を危惧するもの、家庭環境の変化などさまざま
・患者さんが減り、職場環境が変わったことが離職理由のケースもある

②コロナ禍により変化する医療者の心理状態
・精神科医としてもっとも相談を受けるのは「気分の高まり」という症状
・気分の高まり=過活動、投げやり、イライラという症状が多く見られる
・行動の変化のなかには、集中力が下がったり、飲酒量が増えたり、作業効率が下がったりといった症状もある

③医療者の心理状態の背景
・大震災や台風などの大きな災害ストレスが起きた場合、医療者は二次性トラウマティクスを経験すると言われている
・二次性トラウマティック・ストレスの背景には、医療者の強い使命感がある
・すべての医療者は二次性トラウマティクス・ストレスを受ける危険性があって、それは大きな災害ではないときにも同様に起こる
・たとえば自分が担当する患者さんが苦しんだり、亡くなるところを目撃したときに、悲しんでいるスタッフや患者家族を見て自分が落ち込む
・未来が不確実で日々変化し、状況が悪化することがしばしばあるといったシチュエーションでも二次性トラウマティクスが発生する
・時間経過による心理状態の変化
・短期戦と思っていたことが長期戦になったときの絶望感から生まれる心理状態

④二次性トラウマティクス・ストレス
・他者が経験したトラウマに曝露されることで二次的に生じる反応
・人を援助する立場にあるわれわれ医療者特有のトラウマティクス・ストレスである
・自分のアイデンティティや世界観や、患者さんや同僚との人間関係、両方に影響を与えてくる現象である

⑤医療者へのサポート体制
・日本看護協会の相談窓口
・医療機関、医療者への応援のメッセージは大きな支えになる
・日本赤十字社によるサポートガイドの発行(内容は第2回以降で紹介)

⑥まとめ
・気分の高まりには要注意
・二次性トラウマティクス・ストレスを意識する
・サポートを求め、それを素直に受け入れる

第2回は2020年9月9日(水)に配信します。

上村恵一
国家公務員共済組合連合会 斗南病院
精神科・緩和ケアチーム・認知症ケアチーム・倫理サポートチーム