みなさんこんにちは。私は北海道にある斗南病院精神科で緩和ケアチームに所属している上村恵一です。今回は3回シリーズで「コロナ禍における医療者のメンタルヘルス対策講座」として、医療現場で奮闘されている医療者のみなさんの心の問題に少しでお役に立てればと思い、企画させていただきました。本シリーズでは、まずは医療者の心のなかにどのような問題が起きているのかということから、少しずつその対策に向けてお話を進めていきたいと思っています。では第2回は「第2、第3の感染症にどう対処したらいいのか」についてお話していきます。(2020年8月21日撮影)

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①ウイルスによってもらたらされる「3つの感染症」
・第1の感染症「生物学的感染症」、第2の感染症「心理的感染症」、第3の感染症「社会的感染症」
・心理的感染症は、不安や恐れというものが人から人にうつっていく
・社会的感染症は、嫌悪・差別・偏見を通じて人から人にうつっていく

②第2の感染症「心理的感染症」とは
・COVID-19への不安は目に見えないウイルスであるということ
・新しい未知の病気など、人はわからないものに対して恐れる傾向にある
・医療者であっても、頭ではわかっていても不安は増強される

③第3の感染症「社会的感染症」とは
・医療者において偏見や差別を受けた事例が多くみられる
・社会全体で取り組まなければならない

④差別や偏見が生じる理由とは
・人の行動により自分や家族が感染したくないという心理から起こる
・感染症流行時に特有なストレス反応
・他責的、排他的、原因の追及

⑤まとめ
・第2の感染症は不安や恐怖のことであり人から人に伝播することを理解する
・得体のしれないものへ人が恐怖を感じるのは当たり前のものとして理解する
・そうした恐怖から自警団思考に陥る脳の誤作動について理解する
・こうした不安について理解し、医療者は冷静に判断しなければならない

第3回は2020年9月10日(木)に配信します。

上村恵一
国家公務員共済組合連合会 斗南病院
精神科・緩和ケアチーム・認知症ケアチーム・倫理サポートチーム