外国人患者さんには通じない医療用語|プルス|#008|佐藤まりこ

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医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。


本日のカタカナ英語:プルス

「プルス65です」「プルスがタキってます」
看護師さんなら「プルス=脈拍」という意味で使ったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。
ちなみに「タキる」とは、頻脈を意味する「tachycardia(タキカルディア)」から作った造語です。
「プルス」は、そのままでも通じる英語なのでは、とみなさんは思っていませんか?

「プルス」は、ドイツ語の「puls(プルス)」が由来です。
英語で「脈拍」は「pulse」です。かなり似ていますが、発音が違います。
最初は「プ」ではなく「パァ」もしくは「ポ」に近い発音で「パァルス」もしくは「ポルス(pˈʌls)」が英語に近い発音です。
この違いは、イギリス英語かアメリカ英語にあります。
アメリカ英語の「pulse」は「ポルス」に近いです。だから「パルスオキシメーター」も「ポルスオキシメーター」に聞こえます。

ただし、「パ」でも「ポ」でも英語で発音するときは、日本語にはない「破裂音」が必要です。
果物の種を吐きだすように口の中の息を一気に出して「ッパ」「ッポ」を意識して発音しないとなかなか通じませんよ。
私事ですが、通じないカタカナ英語だと知りながら、申し送りの際はいつも「プルス」を使ってしまいます。
だったら「脈」と言えばいいのに……なんて思うのですが、身に付いた習慣はなかなか直せないものですよね。
外国人患者さんに説明するときは、ぜひ破裂音を意識しながら発音してくださいね。

Let me take your pulse. Your pulse is 72.

(脈を測りますね。脈は72回です)

※バイタルサインを測るときに使えるフレーズが「let me take your~」です




30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。


アパルトヘイト撤廃に尽力した功績からノーベル平和賞を受賞した元南アフリカ大統領ネルソン・マンデラの言葉です。
前回紹介した「Failure is not the opposite of success, it's part of success」と似ていますが、こちらのほうがよりシンプルです。「勝つか負けるか」ではなく「勝つか学ぶか」であり、負けなど存在しないというのです。
この格言が若いうちから身についていたら、私の人生はどんなに生きやすかっただろうと思うのです。
大学受験で友人をライバル視することも、留学先でテストの点数を競うことも、ひどい点数を取って落胆することもなかったかもしれません。
“負けたくない”という気持ちがやる気の原動力になることはたしかにあります。
でも、もしそれで負けてしまったら残るものは何でしょうか?
けっして、達成感や充実感ではないはずです。
失敗や負けることに臆病で一歩がなかなか踏み出せないと悩んでいるあなたへ
「I never lose. I either win or learn」

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佐藤まりこ 

生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。