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？？？「T波の中に隠れたP波を探すのじゃ… 」

え？何か聞こえました？
聞こえたあなた、神懸っていますねえ。

が、しかし、言っている意味がわかりません。
なのでどういうことか尋ねてみましょう。

あなた「誰？あんた何言ってんすか？」

？？？「なんという口の聞き方…まあよかろう。そなたに教えても差し支えないであろう。徐脈を見たときにT波を見るのじゃ。T波に隠れたP波があるかもしれん。P波がある位置によって、波形の名前が違うのじゃ。T波に隠れたP波を探すんじゃ。１２誘導心電図をとることを忘れるでないぞ…」

ということらしいです。

ならば、隠れたP波を見てみましょうか。(どんな入り方やねん)
まずは波形を見てみましょう。

はいこれ。ドンっ！



ちなみにすこし前回の記事 のおさらいです。上図の５拍目の波形はなんですか？ 前回の記事見た？ そしたらわかるでしょ。

ねえ、なんでしょうこれは。待てない不整脈。出たがりの不整脈。
………そうっ！！期外収縮です！素晴らしい！！心室性？心房性？
……………そうっ！！心房性です！！素晴らしい！！

心房性の場合はQRS波の形が通常のQRS波と比べても変わらないのが特徴です。
でもみてください。５拍目から６拍目に少し間がありますね。だからこの5拍目は心房性期外収縮ということになります。

さて、前回のおさらいはここまでにして、
「T波の中に隠れたP波」はじつは臨床ではよくある波形なんですけど、なんだと思いますか？

二回に分けて「T波の中に隠れたP波」を解明していきます。

冒頭の三文芝居で？？？さんが言っていた言葉を思い出してみましょう。

「 T波の中に隠れたP波を探すのじゃ… 」

「T波に隠れたP波」と簡単にいうけど慣れてないと見つけるの大変なんです。だからと言って諦めません。

T波に隠れたP波を探してみましょうよ。ね。

今日は隠れたP波を見つけてもらいます。

T波に隠れたP波を探せ：難易度1

上図の隠れたP波はわかりますか？

３拍目のT波のお尻をみてください。ほら見えたでしょ。

お尻にP波があるの見えました（下図の赤矢印部分）？簡単だったかしら？



ちなみにこの波形はⅡ度房室ブロック、ウェンケバッハ型です。

よく見るとP波とQRS波がだんだん離れていき、QRS波が欠落しています。
またヨリを戻していますが、まただんだん離れていき、Q R Sが欠落しての繰り返しです。

まあそんなことより、今回のテーマで大事なのはとにかくT波に隠れたP波を探すことです。
どんどんT波に隠れたP波を探して目を慣らしていきましょう。

T波に隠れたP波を探せ：難易度2

上図はどうですか。隠れたP波が見つかりますか？ちょっと難しくなった。

３拍目のT波をみてみましょう。T波のお尻をまじまじとみてください。そう、お尻です。

ほら、ちょこんと出っ張ってるのあるでしょ。これこれ。これが隠れたP波です。



見えました？ ちなみにこのP波は前回やった心房性期外収縮です。

T波に隠れたP波を探せ：難易度3

上図はどうですか？ これはぶっちゃけ難しすぎです。わかるかしら？

T波が出始めたところにちょこんとあるのわかります？

３拍全部にちょこんとP波出てますよね。見えました？



上図の矢印部分です。よく見ると小さい山が見えてきませんか？

心清らかに見つめてください。これが隠れたP波です。

この波形も心房性期外収縮です。だってP波が一定のリズムでなくて、１拍置きに早いタイミングでP波が出ちゃってるでしょ。

普通ならP波からP波、そして次のP波とか、PP間隔は、等間隔で出るもんです。
でも１拍ごとに出たがりP波が顔を出している。これは１拍おきに心房性期外収縮が起きているという波形です。

P波があってもQRSが続かない不整脈の一つに、房室ブロックがありますが、今回は同じくP波の後にQRSが続かない上室性期外収縮についてお話いたしました。

とりあえず、T波に隠れたP波は見つけられたでしょうか？ 今回はP波を見つけることだけを意識してもらいました。
次回、T波にP波が隠れている意味について、掘り下げていきます。

今日はここまで。