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医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。

本日のカタカナ英語:スピッツ

「血算と生化のスピッツとってください」
看護師さんなら「スピッツ=真空採血管」という意味で使ったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。
「生化のスピッツとって」は「生化の採血とって」という意味でも使われたりします。
医療現場でよく耳にする「スピッツ」、まさか日本でしか通じない言葉だとは思いませんよね。
「スピッツ」はカタカナだし、英語由来でそのままでも通じるのではと、みなさんは思っていませんか?

「スピッツ」は、「尖っている」という意味のドイツ語です。
もともとは、遠心分離器を使った実験や臨床検査のときに使う底のとがった管を「スピッツ管」と呼んでいたそうですが、医療現場では真空採血管を「スピッツ」と呼ぶようになりました。

英語で「スピッツ」に相当するのは「(blood) tube」です。
教科書などに「真空採血管」は「vacutainer blood collection tube」と載っているかもしれません。
間違いではありませんが、臨床で私たちが「真空採血管」という言葉を滅多に使わないように、アメリカの医療現場でもこうした正式名称が日常使われることはほとんどありません。
日本の医療現場で使われている「blood tube」は、世界ではじめての真空採血管を開発し世界各国で事業を展開するアメリカの会社BD(ベクトン・ディッキンソン アンド カンパニー)が圧倒的なシェアを誇っています。
みなさんは、採血管や血培ボトルに「BD」と記載されているのを見たことはありませんか?
「BD」の真空採血管はISOが推奨するカラーコードによって色分けされているので、血算(CBC)はラベンダー、血糖(Blood Sugar)はグレー、凝固(Coagulation)は水色の色分けは、だいたい世界共通と考えていいでしょう。

さて、アメリカの医療体制で驚いたことの1つに採血があります。
外来・入院患者にかかわらず、基本的に採血を担当するのは看護師ではありません(ERを除く)。
採血の専門職種:Phlebotomistが、患者さんのベッドサイドまで行き採血をしてくれます。
外来の患者さんには、採血伝票を渡して家の近くのLab(Laboratoryの略で臨床検査を担当する場所)に行っていただきます。
アメリカには、夜勤看護師が早朝に時間に追われながら採血する光景は存在しません。
役割分担の徹底したアメリカの医療を知ると日本の「なんでもかんでも看護師のお仕事体制」がよーく見えてきますよ。





30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。


第2次世界大戦時にイギリスの首相を務め、ヒトラーに屈することなくイギリスを守り抜いたウィストン・チャーチルの言葉です。
今でこそ彼は偉大なイギリス人の1人ですが、その生涯はさまざまな苦難や挫折を繰り返した遅咲きの成功者と言われています。
さて、「成功者」と聞いてあなたはどんな人を連想しますか?
ビジネスなどに成功し巨万の富や名声を手に入れた人でしょうか?
ウィストン・チャーチルは“何を得たか”ではなく“どう生きたか”が成功の証であると説き、今日の言葉を残しています。
私がこの言葉に出会ったのは、アメリカで就活をしていたときでした。
半年以上、日本のハローワークに相当する就職支援施設に通いましたが、何通履歴書を送っても返事のこない状況が続きました。
収入はゼロですから経済的にも厳しく貧しい生活を強いられ、志半ばでの帰国を何度も考えました。
その度に、今日の言葉を繰り返しノートに書き、“何度失敗しても情熱だけは絶やしてはいけない”と心を奮い立たせ、あきらめませんでした。
人間ですから、何度も失敗すれば落ち込みます。
これ以上傷つきたくないと動けなくなることも夢をあきらめようとすることもあります。
でも、情熱さえ失わなければすこし時間がかかっても、また前に動き出すことができるのです。
そして、チャーチルはそれができる者こそ「成功者」だといっています。
成功する生き方を選びたいあなたへ
「Success is the ability to go from failure to failure without losing your enthusiasm」

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佐藤まりこ
生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。