外国人患者さんには通じない医療用語|NPO|#021|佐藤まりこ

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医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。


本日のカタカナ英語:NPO

「103号室の患者さん、朝6時からNPOです」
看護師さんなら「NPO=禁飲食」という意味で使ったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。
「NPO」はアルファベットだし、英語由来でそのままでも通じるのではと、みなさんは思っていませんか?

「NPO」は、「口から何も入れない」という意味のラテン語「nil per os」の頭文字をとった略語です。
アメリカの医療現場でもこの略語は使われていますが、患者さんには通じません。

「NPO」を英語で説明する時には「nothing by mouth」が相当します。
ただし、「禁飲食」の伝え方は「no food or drink」「stop eating or drinking」「nothing to eat or drink」「nothing through the mouth」などさまざまです。

10年前の医療現場と比べて大きく変わった指示の1つに術前のNPO指示があります。
以前は手術開始時間にかかわらず、「手術前日の夕食後から禁食・手術当日0時を過ぎたら禁飲食」という指示を多く見かけました。
最近は、21時以降禁食や手術の2~4時間前まで水分摂取可能などの指示が多くなり、以前よりもだいぶNPO時間が短くなっています。
これは、「ERAS」という考え方の普及と国際基準となるガイドラインが公表されたからです。
「ERAS」とは「Enhanced Recovery After Surgery 」の頭文字をとった略語で、「イーラス」と呼びます。
日本語では「術後回復力強化プログラム」や「術後早期回復プログラム」などと訳されます。
「ERAS」は簡単に言うと、術後早く治って早く退院するための取り組みです。
以前は、術前の禁飲食は術中の誤嚥防止目的と考えていましたが、現在は「ERSA」の観点から指示が出されているので、NPO時間が短縮化されつつあります。
どの分野も例外なく「昔の常識が今の非常識」になりつつありますよね。
とくに医療は、日進月歩でめざましい発展を続け、ガイドラインはどんどん改訂されています。看護師として医療現場に立つということは、生涯学習は必至であると身を持って痛感する今日このごろです。

You have nothing by mouth after 6 a.m.

(6時以降禁飲食です)

You have nothing to eat or drink for 3 hours after the procedure.
治療が終わったあと3時間は食べたり飲んだりできません




30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。


母の日(Mother's day)にコメントを求められたオバマ元大統領が、ミシェル・オバマに向けて送った言葉が今日の言葉です。
この言葉は、決まり文句のように使われているのですが、母の日にサラリと使う彼のセンスの良さが印象的でした。
実際、自分が母となった今、この言葉の本質が前よりもすこしわかった気がします。
私が笑っていると、子どもも夫も笑っています。
わたしが何かに悩んでいたりイライラしていると、子どもと夫は申し訳なさそうに遊んでいます。
自分が家族に対してどれほどの影響力を持っているのか、改めて考えるきっかけとなった言葉です。
そして、子どもの幸せを願うあまり無理をしてしまうお母さんたちに伝えたいのです。
家族はだれよりもお母さんである“あなた”の幸せを願っていると。

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佐藤まりこ 

生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。