自分の基盤にどうのせるかで学びを考える|学びカンタービレ|#001|吉岡純希さんと白石弓夏さん(前編)

はじめまして!看護師兼ライターの白石弓夏です。この度、学び方の連載をスタートしました!

看護師として現場で働いていると、“継続的に学びが必要である”と痛感することがあります。大人になってからの『学び』は、自分のなかに落とし込み、現場で活用できるか、応用できるかが重要になってくると思います。みなさんは実際にどのように『学び』を深めているでしょうか。

今回の連載では、さまざまな場所で活躍されている看護師にインタビューを行い、自身の『学び方』について、一緒に考えてみようと思います!

初回はテック系看護師として働く、吉岡純希さん(@Junky_Inc)です。


プロフィール:株式会社NODE MEDICAL CEO/看護師/Medical Design Engineer
1989年札幌生まれ。北海道大学医学部保健学科看護学専攻卒業。看護師の臨床経験をもとにテクノロジーの医療現場への応用に取り組む。病院でのデジタルアート「Digital Hospital Art」の実施。慶應義塾大学にて看護と3Dプリンタに関する研究「FabNurseプロジェクト」へ参画。現在、株式会社NODE MEDICALを設立し、アート、デザイン、エンジニアリングと領域を越境し、医療の現場でのコラボレーションの社会実装を目指している。
https://nodemedical.co.jp/

白石>吉岡さんは、看護師以外にもプログラミングを独学で勉強し、大学院にも通っていたそうですが、どのような学び方を意識していますか?

吉岡>僕は2018年まで大学院の修士課程でデザインを勉強していました。そのときにいろいろと気づいたことがあります。例えば病院の案内図って、フロアや診療科で分かれていたりするじゃないですか。『デザイン』とひとくくりに言いますが、医療と同じように専門領域にわかれているんですよ。もうめちゃくちゃいっぱいある。最初は、そういうことをまったく知らなかったりすると思うんです。

白石>そうなんですか、ぜんぜん知らなかったです…!

吉岡>いろんなとらえ方がありますが、デザインも階層的になっているんですよね。デザインに関して僕が習ったものでいえば、1に『シンボル』、2に『プロダクト』、3に『インタラクション』、4に『システム』っていわれているものがあります(武山政直.“拡がるデザインの領域”.サービスデザインの教科書.東京,NTT出版,2017)。これってなにかというと、『シンボル』は2次元のデザインを指します。イラストやロゴ、雑誌のデザインなどですね。『プロダクト』は3次元で触れるようになるもののデザインを指します。『インタラクション』はそれにプラス短い時間軸を含んだ設計が追加されます。これは自動ドアに近づいたら扉が開く、スマホを触ったときに画面が横に動くなどです。『システム』はもっと長い時間軸を含んだもの。ビジネスの領域や病院の待ち時間問題にどう対応するかなど、そういう枠組みについてのデザインがあります。こうしたデザインを勉強していくときに、大学のカリキュラムでは1から学んでいきます。具体的に言うと、デザイナーはスケッチから学ぶことが多いんですよね。だけど、じつは看護師って、4のシステムに関してはもうできていると思うんです。

聞きなれない用語がポンポン出てきて「?」になっていたところ、わかりやすく図で説明してくれました。


白石>え、そうなんですか。

吉岡>ケアをするときに数週間後の患者さんを予測して介入するなど、長いスパンでかかわりますよね。それって、『システム』で考えることと似ているんですよ。だから、僕としては看護のベースラインにどうデザインを乗せるのかという視点で学ぼうと考えています。このように、看護で勉強してきたことが生かされることって、けっこうあります。看護をデザインの視点で考える場合、1からデザインを学ぶんじゃなくて、いかに自分の知識基盤にのせるかを考えたほうが効率もいいし、重要だと考えています。

デザインの階層




看護のベースラインにデザインをのせる



白石>なるほど。看護で学んだ知識基盤が生きることもあるということですね。

吉岡>しかも、看護もデザインもそうですが、自分がすべてできる必要もないと思っていて、別の領域をつなげる人材になるのでもいいと思うんです。僕のようにつなぐ人になりたい人もいれば、すべて1人でやりたい人もいるだろうし……。

白石>そもそも、自分の知識基盤自体がよくわからないっていう人もいると思うんですけど、その場合はどうですか?

吉岡>自分の知識基盤か……。僕の場合は、解決したい課題が看護やケアの現場での取り組みが多かったので、引き出しの1つとしてプログラミングを覚えていったんです。なので、自然と看護の知識基盤の上に考えていた感覚ですね。まったく違うキャリアをあらたに積みたい人は、1からやるべきだと思うんですけど……。医療の現場で医療以外の専門性を応用したい人に関しては、自分が現場で抱えている課題を解決しようとすれば、少なからず自分の知識基盤にのるのではないかなと。

実際の課題に対する取り組みを交えて説明してくれました。


白石>課題が明確であったほうが……自分の知識基盤とつながりやすいということでしょうか。

吉岡>必ずしも課題ではないかもしれないですけどね。例えば、看護師として英会話を学びたいときって、海外の患者さんを受け持ったことがあるとか、きっかけがあるのかなと思います。だとすると、もう知識基盤にのっているのではないでしょうか。あと、よく考えるのは実装するまでの最短ルートを探しますね。1からやらないで、手の届くところからやっていったほうがモチベーションも保てると思います。

白石>学び方がスマートな人って、手の届くところからやってみて、後から肉付けするみたいなイメージはあるかもしれないですね。なんとなく私なんかは形から入るというか、1から学ぶもの……という頭がありました。しかし、自分の興味・関心、知識や経験がある共通した部分から学ぶ方法もありですね!ありがとうございました。

後編では、吉岡さんが実際に学ぶためにどのように行動したのかについて聞いていきたいと思います。

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白石弓夏
看護師兼ライター。整形外科病棟とクリニック、施設で働きながらライターとして活動中。ポジティブ思考、フットワークの軽さが強み。ライターとして情報収集、発信向けにTwitterをはじめたが、いつのまにか飯テロ垢と化したので、軌道修正中。
Twitter→https://twitter.com/yumika_shi