外国人患者さんには通じない医療用語|カイザー|#026|佐藤まりこ

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医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。


本日のカタカナ英語:カイザー

「302号室はカイザー予定です」「今日はカイザー2件あります」
看護師さんなら「カイザー=帝王切開」という意味で使ったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。
「カイザー」はカタカナだし、英語由来でそのままでも通じるのではと、みなさんは思っていませんか?

英語で「帝王切開」は「Caesarean section」ですが、医療現場では「C-section」と呼ばれています。
「スィーセクション」が英語に近い発音です。
「カイザー」は、ドイツ語の「帝王切開」を意味する「Kaiserschnitt(カイゼルシュニット)」が由来と言われています。「Kaiser」は「分離する」、「schnitt」は「切開する」という意味なので、「母子分離切開術」あたりの日本語訳が妥当なのですが、「帝王切開」となった背景には諸説あるようです。

例えば、「Kaiser」が「帝王」や「皇帝」という別の意味もあることから、日本人が間違えて「帝王切開」と誤訳してしまったという説。
また、語源となるラテン語の「sectio caesarea」をドイツ語に翻訳するとき、ラテン語で「皇帝」を意味する「Caesar」と誤訳し、その誤訳がそのまま世界に広がり定着したとする説。
古代ローマの英雄ユリウス・カエサルが切開によって誕生したという逸話から「帝王」は「カエサル」に由来するという説などがあります。

現在は、古代ローマ時代に存在した法律「Lex Caesarean」が、英語の「Caesarean」やドイツ語の「Kaiserschnitt」の語源となったとする説が通説となっているようです。この法律は、妊婦が亡くなったとき、おなかを切って胎児を取り出してから埋葬するというもので、このような風習は世界各地に存在したと言われています。
「帝王切開」の由来を紐解くと、古代ローマの法律や風習に突き当たるとは、なかなか奥深く歴史ロマンを感じますね。

If your baby is in the breech position, it may be safer to have a planned C-section.

(赤ちゃんが逆子なら帝王切開のほうが安全でしょう)

「breech position」は「逆子」という意味です。




30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。


力強いメッセージ性のある言葉ですよね。
作者不明(unknown)のこの名言は、今でもTシャツなどのプリントに使われています。

私がこの言葉に出会ったのは、1800年代のアメリカ奴隷制度に関する歴史を学んだときでした。フレデリック・ダグラス(Frederick Douglass)というアフリカ系アメリカ人の生涯がこの一文で表現されていました。彼は奴隷として生を受けながらも、教養を身につけて奴隷制度廃止運動の講演・執筆・政治家として活躍した人物です。幼いときに両親を亡くし18年間も奴隷として各地を転々としたあと、機会を見つけて脱出を図ります。その後、黒人の「教養がない」という概念を払拭するかのように、新聞の発行や本の出版などを通して皮膚の色を問わない平等の権利を求めて活動を続けました。

1860年のアメリカの奴隷人口は400万人に達していたといいます。なぜ同じような境遇のなか、彼だけが世界的に大きな功績を残せたのでしょうか?
そのヒントが「今日の言葉」にあります。

チャンスの種はだれにでも平等に与えられているのかもしれません。でも、種のほうから自分に寄ってくることはありません。自分で種を見つけて、大切に育てた人だけがチャンスの実を収穫できるのだと思います。

「機会がない」「チャンスがない」と悩むことがあったら、ぜひ「Don't wait for opportunity. Create it」を思い出してください。小さな勇気をもって手に入れた種からは、きっと思いがけないチャンスの実が実ることでしょう。

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佐藤まりこ 

生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。