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医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。

本日のカタカナ英語:デルマ

「105号室の患者さんデルマの診察あるので外来におろしてください」
看護師さんなら「デルマ=皮膚科」という意味で使ったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。
「デルマ」はカタカナだし、英語由来でそのままでも通じるのではと、みなさんは思っていませんか?

「デルマ」という読み方は、英語ではなくドイツ語由来です。
「デルマ」は、英語で「Dermatology」です。
英語の発音は、最初が「デ」ではなく「ダ」と発音して、「ダーマトロジィー(də̀rmətɑ́lədʒi)」が英語に近い発音です。
「derma-」は「皮膚の」という意味を持つ接頭語です。
「dermatology」は「皮膚科」、「dermatologist」は「皮膚科医」、「dermatitis」は「皮膚炎」など「derma-」がつくと「皮膚」に関連した用語になります。
ドラッグストアなどに行っても「derma-」のついたボディクリームなどが売られています。

最近は皮膚科でヒアルロン酸治療やボトックス®注射など美容関連の施術が受けられるところが多くなりましたよね。アルバイトで皮膚科・美容皮膚科を訪れた際、その需要の多さに驚いた経験があります。高濃度ビタミンC点滴を売りにするクリニックだったのですが、がん治療からアンチエイジングまでさまざまな目的で利用する患者さんが途切れることなく訪れていました。

美容大国アメリカでも皮膚科でメスを使わない、いわゆる「プチ整形」がいたるところで受けられます。そのうち、ボトックス®は圧倒的な人気を誇っています。ただし、アメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)が認めているボトックス®の使用条件は「18~65歳までの成人における眉間と目尻のシワ」のみです。FDAが承認している薬剤であっても、おでこ・ほうれい線・首のシワ、さらに小顔目的のエラ部分や痩身目的のふくらはぎなどへの使用は、認めていないことをご存じでしょうか。
また、FDA承認のボトックス®製剤の相場は、$250~350(約3~4万円)です。
例えば、「美容モニター募集で50%OFF」などアメリカの相場よりも安価な設定のものは、FDA公認の薬剤であっても期限が切れていたり、在庫処分対象のものと考えるとビジネスとして成立します。
美容医療の世界は、「安い」=「お得」ではなく、「安い物にはワケがある」と考えたほうがよさそうですね。

We recommend you seeing a dermatologist.

(皮膚科の先生に診てもらってください)

「dermatologist」は「皮膚科医」です。





30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。


ハーバードMBAコースの社会心理学者エイミー・カディ(Amy Cuddy)の言葉です。
2012年、「Your body language may shape who you are(ボディーランゲージが人をつくる)」という彼女のTED talkでのプレゼンで使われたのが「今日の言葉」です。
自信がないときでも、2分間両手を広げて自信あふれるパワーポーズをとることでホルモンバランスが変化し大きな効果が得られる、と語っています。
たしかに、人は自信がないとその心理状態が自然と姿勢や態度に表れますよね。心が体(ボディーランゲージ)に影響を及ぼすと言えるでしょう。エイミーはその反対も然りと説いています。自信がなくても成功している人のまねをしたり、できているかのように振る舞うと、本当にできるようになるといいます。
ちなみに、「fake」には「だます」という意味がありますが、ここでは「~のふりをする」「~のまねをする」といった意味で使います。「make it」は「うまくできるようになる」「実現する」という意味です。
この言葉に出会ったときは、“そんなはったりをかまして後でバレたら大変なのでは?”と思いましたが、思い返せば「○○のつもり」で行動し現実になった経験が少なからずありました。例えば、高校生のころは志望の大学に合格したつもりでそこの学食を食べて、学生生活のイメージをどんどん作っていました。偏差値が明らかに足りなかったのですが、不思議と合格する自信がついたのをいまだに覚えています。
中国の兵法書「孫子」にも、はったり効果は立派な戦法として書かれているそうです。
「自信がないからできない」「やったことがないから怖い」と思うことは多々ありますよね。
そんなときは、ぜひはったり効果を信じて「Fake it, till you make it」を実践してみませんか?

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佐藤まりこ
生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。