外国人患者さんには通じない医療用語|アッペ|#031|佐藤まりこ

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医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。


本日のカタカナ英語:エデマ

「アッペの緊急入ります」
看護師さんなら「アッペ=虫垂炎」という意味で使ったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。虫垂炎は、10~20歳代に好発し10人に1人は発症すると言われる原因不明の病気です。
「アッペ」はカタカナだし、英語由来でそのままでも通じるのではと、みなさんは思っていませんか?

「アッペ」は「虫垂炎」を意味する英語の「Appendix(アペンディックス)」の頭文字をとった日本人だけに通じる略語です。
海外でも略語はよく使われています。
虫垂炎や虫垂炎の手術は、「Appy(アピー)」です。
「虫垂炎」は英語で「Appendicitis」です。「アペンディサイティス(əpèndəsáitis)」が英語に近い発音です。
虫垂炎の手術は「Appendectomy」です。「アペンデクトミー(æ̀pəndéktəmi)」が英語に近い発音です。

日本語で言葉の最後に「炎」がつくと「炎症」、「術」がつくと「手術」を連想するように、英語にも似た接尾語があります。
「Appendicitis」のように最後に「-itis」がつくと「炎症」、「Appendectomy」のように最後に「-ectomy」がつくと「手術」を意味します。
医療英語は、大半がギリシャ語を起源とするためアメリカ人でも覚えるのが大変です。アメリカの医療英語講座をのぞいてみると、まずはこうした医療英語でよく使われる接頭語や接尾語から勉強しています。
さて、日本では「盲腸を薬で散らす」という言葉があるように、手術を避け抗菌薬で治療するケースは珍しいことではありません。しかし、アメリカでは「虫垂炎」=「すぐ切る」という暗黙のルールが定着しており、虫垂炎が疑われた場合は、すぐに病院に送られ即手術の1泊入院です。
手術自体はたった30分程度なのですが、その医療費たるや想像を絶する金額です。
保険がない場合は、1泊入院で平均500~600万円といわれています。それでも医療費削減のために手術が選ばれているのです。
「医療費500万円が医療削減?」と思いますよね。
じつは、虫垂炎の抗菌薬治療は、手術よりも入院期間が長くなり医療費が跳ね上がるケースが報告されています。さらに、4人に1人の割合で再発するため、もし再発が起これば、莫大な手術代が加算されます。こうした理由からアメリカでは、必ずしも“抗菌薬が手術よりも割安”というわけではないのです。

• Appendicitis is usually treated with surgery.

(虫垂炎は通常手術による治療を行います)




30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。


前回紹介したインド独立の父と称されるマハトラ・ガンジーの幸福に関する名言です。
日本では、「より多くの財産や広い家・土地などを持っていると幸せである」と感じる人が60%を超えるというデータがあります。たしかに、持っていないよりも幸せに感じますよね。
一方、アメリカでは、そうした考え方に否定的な人が約60%だといいます。家族や友人との時間を大切にする国民性が影響しているとの解釈もあるようですが、実際に移住した経験から言わせていただくと、「日本で言うところのワイドショー番組の影響がかなり大きいのでは?」と自分は感じています。
アメリカでは、パパラッチが一攫千金を狙ってセレブの私生活に四六時中張り付いています。連日、セレブのアルコールや薬物、離婚や訴訟などのトラブルがトップニュースで放送されています。そんなのばかり観させられると嫌でも“お金があっても幸せじゃないんだ“という考えが身に付きはしないでしょうか?
さて、今日の言葉は自分の幸せを考えるうえで「心の羅針盤」の1つとして活用しています。
例えば、家族との時間をもっと大切にしたいと考えているのに、仕事や家事に追われてイライラし、子どもが駄々をこねるときつく当たってしまう。自分の考えに反して、やることなすことがバラバラの状態は、子どもも自分もつらくなってしまう。だから、短い時間でもエプロンを外し、すべての音を消して、ぎゅっと抱きしめて子どもだけを見つめる時間をつくっています。
長く続く幸せなんてそうそうありませんからね、たった一瞬の幸せを毎日積み重ねようと続けています。
「what you think」「what you say」「what you do」、たった一瞬でも調和が取れるように行動すると、幸せって意外と身近に存在するんだと気づくきっかけになるかもしれません。
失ってはじめて幸せに気づく方もいらっしゃいますが、それではいつまでたっても幸せにはなれませんよ。

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佐藤まりこ 

生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。