外国人患者さんには通じない医療用語|マンマ|#032|佐藤まりこ

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医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。


本日のカタカナ英語:マンマ

「今日の入院はマンマのオペ患です」「既往に右のマンマがあります」
看護師さんなら「マンマ=乳がん」という意味で使ったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。
「マンマ」はカタカナだし、そのままでも通じる英語なのでは、とみなさんは思っていませんか?

「マンマ」は、ドイツ語で「乳房」を意味する「Mammary」が由来です。
英語で「乳がん」は「breast cancer」です。
最後の「t」は果物の種を飛ばすように「ットゥ」を意識して「ブレストゥ(brést)」、「キャ」にアクセントを置いて「キャンサー(kˈænsɚ)」が英語に近い発音です。

マンマの由来である「mammary」は英語で「乳腺」という意味があります。
「Mammary cancer」「Mammary tumor」は「乳腺腫瘍」を意味します。
ちなみに、「乳腺外来」は「Breast Care」などと呼ばれています。「mammary」は難しい医療用語なので一般向けに使われることはあまりありません。

さて、医療従事者以外が「マンマ」と聞いて連想するものはなんでしょうか?
「マンマだよ」「マンマ食べる?」といった赤ちゃんに使う「食事」という意味ですよね。
実は、世界中の赤ちゃんが最初に発する意味のある言葉は「マンマ」だといわれています。
「マンマ」は世界中の赤ちゃんの共通語なんですね。

そして、「マンマ」は「ごはん」であり、「ママ」であり、「おっぱい」でもあります。
世界中の赤ちゃんが、最初の栄養源となる母乳を「マンマ」と発したことが「mammary」の起源なのかもしれませんね。
それにしても、医療用語のなかでも優しい響きを持つ「マンマ」と赤ちゃん言葉の「マンマ」には切っても切れない関係があるなんて興味深いですよね。

•Does anyone in your family have a history of breast cancer ?

(ご家族に乳がんの既往のある方はいらっしゃいますか?)

※家族歴を尋ねるときは「does anyone in your family have a history of~?」のフレーズが使えます。




30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。


「ハクナマタタ」という言葉を聞いたことがありますか?
映画やミュージカル「ライオンキング」で用いられたフレーズで「心配ないさ」と翻訳されています。
「ハクナマタタ」は、ケニアやタンザニアなどアフリカ大陸東岸部の公用語であるスワヒリ語で「心配ないさ」「どうにかなるさ」「気にするな」という意味があるそうです。
英語では「ハクナマタタ」ではなく、「ハクナマタダ」と発音され、「no worries」と訳されています。
さて、ライオンキングのなかでミーアキャットのティモンとイボイノシシのプンバァが「Hakuna Matata」という歌を歌います。その歌詞で印象に残っているのが「it’s our problem-free philosophy」という一節です。「ハクナマタタは困ったことをなくす哲学なんだ」といっているのですが、たしかに「心配ない、どうにかなるさ」は、毎回とはいきませんが、考えてもどうにもならない状況で必要なときってありますよね。
私は、八方塞がりの状況で気持ちが沈んでしまったら、Youtubeで「Hakuna Matata/The Lion King」の動画をよく観て気分転換をしていました。一緒になって「Hakuna Matata」を口ずさむとなんとなく気持ちがすっきりして、「どうにでもなってしまえ」という投げやりの気分から「どうにかなるさ」という前向きな気分に変わっていきます。

もし、いまどうにもならないことで悩んでいる方がいたら、騙されたと思って動画をチェックしてみてください。きっと、懐かしさとともにすこし緊張がほぐれて「どうにかなるかな……」と思えるかもしれません。

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佐藤まりこ 

生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。