外国人患者さんには通じない医療用語|コッヘル|#037|佐藤まりこ

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医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。


本日のカタカナ英語:コッヘル

「コッヘル持ってきて」
外科病棟やOPE室の看護師さんなら「コッヘル=止血鉗子」という意味で使ったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。
「コッヘル」とは、切開創からの出血を止めるために使うOPE室では非常にポピュラーな鉗子で、先端に鉤がついています。
「コッヘル」はカタカナだし、そのままでも通じる英語なのでは、とみなさんは思っていませんか?

「コッヘル」とは、この止血鉗子を開発した甲状腺外科のパイオニアであるスイスの医師エミール・テオドール・コッヘル(Emil Theodor Kocher)の名前が由来です。
もう1つ医療現場でポピュラーな鉗子といえば「ペアン」ですよね。ペアンの先端には鉤がないので、止血以外に胸腔ドレーンなどのチューブをクランプするときに使います。
ちなみに、私はペアンではなくコッヘルで胸腔ドレーンをクランプし穴をあける……というほろ苦い経験があります。みなさんは、間違えないように注意してくださいね。
「コッヘル」に相当する英語は、「locking hemostatic forceps」です。
「locking」はコッヘルについている鉤をさしています。
「hemostatic forceps」は「止血鉗子」という意味ですが、医療現場で止血目的に使う鉗子は、総称して「hemostats」と呼ばれています。「ヒーモスタッツ」が英語に近い発音です。また、クランプする医療器具なのでシンプルに「clamps((クランプス)」とも呼ばれています。

さて、「Kocher(コッヘル)」を英語読みすると「コッカ-」、「Pean(ペアン)」を英語読みすると「ピーアン」と聞こえます。
どちらも止血目的で使う場合には「Kocher hemostats(コッカ-・ヒーモスタッツ)」や「Pean hemostats(ピーアン・ヒーモスタッツ)」で通じる英語になりますよ。




30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。


NFL史上最高のコーチの1人として称えられるフットボールコーチ「ドン・シュラ」の言葉です。
「多くの人は物事をなかなか始めようとしない」「思っていても行動できない」というニュアンスの言葉です。シンプルな英語で表現されているのでわかりやすいですよね。
やろうと思いながら、なかなか手がつけられないことって日常茶飯事ではないでしょうか。
「たぶんやる」「あとでやる」「時間ができたらやる」「もうすこしお金が貯まったらやる」
やらない理由、できない理由は泉のようにわいてくるのに、そのわりには、スマホやテレビをダラダラ見て、あっという間に寝る時間……なんてことはありませんか?
やりたいことが現在の生活環境をガラリと変えてしまう場合、9割の人が行動しないというデータもあるそうです。

やりたいことを始めるって想像以上に難しいですよね。
私自身、「もっと早く始めておけばよかった……」なんて後悔したことは数えきれません。そんな後悔と反省の連続から学んだのが「ザイガニック効果」です。
ザイガニック効果とは、脳内に入ってきた情報に空白部分があると気持ち悪さを感じて、その足りない情報が知りたくてたまらなくなるという脳の性質です。
例えば、「クイズの答えはCMの後で!」「この後さらに衝撃の映像が!」などの演出、ドラマの「えっ? どうなっちゃうの?」というような気になる終わり方は、ザイガニック効果を誘導するメディアの手法といえます。

このザイガニック効果は、自分のやりたいことにも応用できます。
まず、「できないかも」ではなく、「できるかも」と言ってみましょう。脳はできる理由を探しはじめてその根拠となる情報がどんどん集まってきます。
そして、5分でもいいのでとにかくやりたいことに手を付けて途中で止めてしまうことです。
この中途半端な状況が脳内で強く印象に残り、気になって仕方がなくなります。

やりたいことが手につかないと悩んでいる方は、だまされたと思って、“give it a shot(ちょっと試してみる)”してみてはいかがでしょうか?
みなさんのはじめの一歩につながったらうれしいです。

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佐藤まりこ 

生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。