▼バックナンバーを読む

医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。

本日のカタカナ英語:ラパコレ

「ラパコレ目的の入院」「ラパコレのオペ後です」
看護師さんなら「ラパコレ=腹腔鏡下胆嚢摘出術」という意味で使ったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。
「ラパコレ」はカタカナだし、そのままでも通じる英語なのでは、とみなさんは思っていませんか?

「ラパ」は、前回紹介した「腹腔鏡」を意味する「laparoscopy」の形容詞「laparoscopic」の略語です。「ラパロスコピィック」が英語に近い発音です。
「コレ」は、英語で「胆嚢摘出術」を意味する「cholecystectomy」の略語です。「コレスィステクトミィー」が英語に近い発音です。

「cholecyst-」は「胆嚢」、「-ectomy」は「切除術」や「摘出術」という意味をもつ接頭語です。
「cholecystectomy」は難しい医療英語なので患者さんに使われることはあまりありません。
患者さんに「胆嚢摘出術」を説明するときは、「gallbladder removal surgery」を使います。
「gallbladder」は「胆嚢」という意味です。
ちなみに、日本の医療現場では「ラパコレ」を、英語と日本語の合成語「ラパタン(ラパ胆)」と呼ぶところも多いです。

さて、「ラパコレ」といれば、おもに胆石による急性胆嚢炎などに適応される手術です。
摘出される胆石は、主成分によって色も形も数もバラバラです。胆石が100以上あったなんて話も珍しいことではありません。
では、世界でもっとも多く摘出された胆石の数はどれくらいだと思いますか?
私の知る限りですが、2015年に報告されニュースにもなったインド人女性の11,950個です。
それまでは、ロンドンで報告されたドイツ人女性の3,110個が胆石の最高記録だったので、桁外れの数に担当した医師も驚愕した、とニュースは伝えています。
なんとこの手術も「ラパコレ」で行われ、胆嚢を取り出すまでに50分、胆石を数えるのに4時間を費やしたそうです。
今もそのニュースは、実際に取り出された胆石の写真付きで見ることができます。さらに興味深いのは、うつろな目をしたインド人女性患者とばっちりカメラ目線の担当医の顔写真も掲載されているのです。患者さんの名前や年齢なども公開されており、本人の承諾を得ているのでしょうが、ちょっと日本ではあり得ないような個人情報の暴露に、お国柄の違いを感じるニュースです。ご興味のある方は「Woman suffering stomach ache and heartburn is stunned after doctors find 12,000 GALLSTONES inside her」 で探してみてください。

•Laparoscopic cholecystectomy is a surgical procedure to remove the gallbladder.

(腹腔鏡下胆嚢摘出術は胆嚢を取り出す手術です)





30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。


シボレー社のディーラーとして1日平均6台の車を販売し「営業の神様」「世界ナンバーワンのセールスマン」としてギネスブックにも載ったトップセールスマン:ジョー・ジラード(Joe Girard)の言葉です。
成功への道について最短や最速などの言葉が好まれるなか、彼の言葉はエレベーターと階段を使ってわかりやすく労を惜しむことなく着実に歩むことを説いています。私の好きな言葉「one step at time」も入っているので、大好きな名言の1つです。

そして、彼の人生を知ると、この言葉はさらに重みを持つことでしょう。
ジョー・ジラードはデトロイトの貧しいイタリア移民の家庭に生まれました。父親の虐待にあい、「お前はダメなやつだ」と言われ続けたそうです。彼の半生は荒れに荒れ、高校中退や留置所も経験しています。40もの職を転々としたのち、彼に転機が訪れたのは、子どもの食費を稼ぐために自動車のセールスの道を志した35歳のときでした。そのわずか3年後に営業成績全米トップとなる彼の営業に関するノウハウは、書籍にもなっています。

成功に限らず、健康への道・幸せになるための道も、一段一段地に足をつけて登る階段なのかもしれません。便利が加速する世の中だからこそ、周りに影響されず時間をかけて1つ1つ着実に進むこと、それを肝に銘じて行動する大切さを、今日の言葉は教えてくれます。

------------------------------------------
佐藤まりこ
生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。