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医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。

本日のカタカナ英語:アンギオ

「15時から緊急でアンギオ入ります」
看護師さんなら「アンギオ=血管造影検査」という意味で使ったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。血管造影とは、手や足の動脈からカテーテルを挿入し造影剤を注入して血管を撮影する検査です。
「アンギオ」はカタカナだし、そのままでも通じる英語なのでは、とみなさんは思っていませんか?

「アンギオ」は、英語の「Angiography」の略語です。
最初の発音は「アンギ」ではなく「アンジ」と発音して、次の「オ」にアクセントを置き、「アンジオグラフィー(æ̀ndʒiɑ́grəfi)」が英語に近い発音です。

「アンギオ」は、患者さんを血管造影室に搬送して行います。血管造影室は、病院によって「アンギオ室」「カテ室」などと呼ばれていますが、英語圏の病院では以前「カテーテル」の回で紹介した「catheter」の略語「cath」を使って「cath lab」などと呼ばれます。

みなさんは、最先端高度医療の分野で注目されている「ハイブリッド手術室」をご存じですか?
「ハイブリッド」とは、「異なった要素を混ぜ合わせたもの」という意味です。
すっかり定着した「ハイブリッド車」は、ガソリンと電気を使って走る車ですよね。
「ハイブリッド手術室」とは、従来の手術室に血管造影室の装置を組み合わせたことで、カテーテルを用いた血管内治療と外科治療を同時に行える手術室のことです。例えば、脳血管の分野では、脳動脈瘤コイル塞栓術・バルーン血管拡張術・ステント留置術・血栓回収療法などの血管内治療に加えて、カテーテルのみでは治療困難な病変も開頭手術を組み合わせて安全に治療を行うことが可能となります。

低侵襲治療の代名詞ともいえるカテーテル治療の分野は、ハイブリッド手術室などの導入により今後も進化しつづけ、最先端医療に興味のある看護師さんには大変魅力的な職場となることでしょう。専門性やキャリアアップを目指すなら学会認定看護師「インターベンションエキスパートナース」の制度も2013年から開始されています。ご興味のある方は、ぜひチェックしてみてくださいね。

•Your doctor is recommending an angiography to find out what's causing the problem.

(どうして問題が起こっているのか見つけるために先生は血管造影の検査をすすめています)





30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。


19世紀のユーモア作家・講師であるジョシュ・ビリングスの言葉です。
トランプをしていて手持ちのカードがよくても勝つとは限らない。どれだけ持っているカードを使いこなせるかで勝敗が決まる。人生も同様に、どれだけ自分が恵まれていているかではなく、どれだけ与えられたものをうまく使いこなせるかが鍵となる、という意味です。
他人の才能や置かれている環境に嫉妬をしたり、うらやましい気持ちからないものねだりをした経験はありませんか?
自分の学生時代や20代の社会人生活を振り返ると、ないものねだりの傾向が強かったなぁと思い返します。30歳を過ぎて海外を行き来するようになり、自分の手持ちカードがすこしずつ見えてきたように思います。そして、自分がうらやましく思っていた有名人などが事件を起こすたびに「もったいないけど、そんなもんかなぁ」と感じていました。
世の中は不公平で理不尽ですから、手持ちのカードで勝敗が決まってしまうことは少なからずあります。でも、いいカード=いい人生の方程式は必ずしも成立しません。
いいカードを生かすも殺すも自分次第です。

美人でも性格が悪ければブスのままです。
ダイエットをしてほっそりしても食生活が悪ければ不健康なままです。
お金があっても管理ができなければ浪費するだけです。
家族がいても大切にしなければ孤独なままです。
自分の手持ちカードを見てみましょう。他人と比べて足りないものにフォーカスを当てるのではなく、手持ちのカードをうまく使いこなすことにフォーカスを当てましょう。
少なくとも、不平不満を口にする数は減らせるはずです。そして、案外いいカードを持っていると気付けたら、今日という日が素敵な1日になることでしょう。

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佐藤まりこ
生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。