外国人患者さんには通じない医療用語|プンク|#043|佐藤まりこ

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医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。


本日のカタカナ英語:アンギオ

「胸水溜まっているから今日プンクするって」「プンクの準備して」
看護師さんなら「プンク=穿刺」という意味で使ったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。「穿刺」とは、体液を取り除くために針を刺すことで、検査や治療目的で行われます。
「プンク」はカタカナだし、そのままでも通じる英語なのでは、とみなさんは思っていませんか?

「プンク」は、ドイツ語の「穿刺」を意味する「punktion(プンクツィオーン)」が由来です。
「プンク」は、英語で「puncture」や穿刺を意味する接尾語「-centesis」を使います。

「puncture」は、最初の「パ」にアクセントを置いて「パンクチャァ(pʌ́ŋktʃər)」が英語に近い発音です。
「-centesis」は、「センティースィス(sentíːsis)」が英語に近い発音です。
例えば、胸腔穿刺は「thoracentesis(ソラセンティースィス)」、腹腔穿刺は「paracentesis(パラセンティースィス)」です。
ただし、この接尾語は難しい医療用語なので、患者に説明するときはもっと簡単な表現を使います。
例えば、「胸腔穿刺」は、「pleural tap」や「chest tap」を使います。
「pleural」は「胸水の」、「tap」は医療現場では「穿刺」という意味があります。
「腹腔穿刺」は「ascitic tap」や「abdominal tap」を使います。
「ascitic」は「腹水の」、「abdominal」は「お腹の」という意味です。
「tap」は、「コツコツと音を出す」やタップダンスの「タップ」などに使われる単語なのですが、医療現場では「穿刺」という意味になるなんて不思議ですよね。
「tap」と似たような意味で使われている単語に「aspiration(アスピレイション)」があります。
「aspiration」は、穿刺をしてシリンジなどで体液を吸引して抜くときに使われる単語で、例えば「膝関節の関節穿刺」は、「knee aspiration」といいます。
「aspiration」は、「強い願望」や「あこがれ」という意味で使われる単語なのですが、医療現場では「吸引」や「誤嚥」という意味で使われます。
願望と吸引、ましてや誤嚥なんてまったく結びつかないですよね。
医療現場で特別な意味として使われる身近な英単語は、じつは少なくありません。すこしずつ皆さんに紹介していきますね。

•The goal of a pleural tap (paracentesis) is to drain the fluid and make it easier for you to breathe again.

(胸水穿刺の目的は余分な水分を抜いて呼吸をしやすくすることです)




30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。


今日の言葉は、座右の銘でも人気のある四文字熟語の「初志貫徹」に相当します。
「初志貫徹」は、はじめに心に決めた志を最後まで貫き通す、という意味です。
みなさんが看護の道を志すと決めて学校に入り、無事国試を合格して現役の看護師として働いているのなら「初志貫徹」を実行していると言えるでしょう。
しかし、ただ働いているだけでは「初志貫徹」に含まれる遠く、高く、深いその道の探求は難しいかもしれません。
看護師として働き続けたいのなら、専門性の追求はこの先不可欠となるでしょう。
どの分野に興味があり、どの分野の専門性を深く探求していきたいのかを見つけましょう。
個人的には、早く見つけてどんどん足を踏み入れて視野を広げ、世界を広げていくに越したことはないと思います。

これは私が想像する未来予想図なのですが、そう遠くないうちに看護師の雇用人数はかなり削減されていくと思います。現場で働いていると、「これ看護師の仕事じゃないよね?」という労働が余りにも多いと感じませんか?
昔の上司は「患者さんにかかわる仕事はすべて看護師の仕事」と言っていましたが、違います。
専門職として看護の知識・技術を必要とする仕事が、看護師の仕事です。

現状、看護師じゃなくてもできる雑用が多すぎるから看護師がいくらいても足りなく感じるのですが、この雑用をすべてAIに委託し、患者さんをモニター上で一括管理できるシステムが導入されたらどうなるでしょうか? 今いる人数の外来や病棟看護師は必要でしょうか? 必要がなければ誰を切り、誰を残しますか?
私なら、同じ看護師でも自分の専門分野を持ち、その専門性に長けた若い看護師を残します。

AIの波は、当然ながら医療業界の雇用にも直撃することでしょう。看護師の仕事がすべてAIに取って代わることはないでしょうが、委託できる仕事は少なくないはずです。

「興味があるから専門性を追求する」に越したことはありませんが、自然発生的に興味が出るのを待っている時間の余裕はないかもしれません。
未来の雇用に影響すると考えて、みずからどんどん足を外に向けて探しにいったほうがいいでしょう。そして、見つかったら郵便切手のように貼り付いて、遠く、高く、深くその道を探求しスペシャリストとしての道を歩んでいくことを期待しています。

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佐藤まりこ 

生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。