看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」のみなさんが、毎回テーマに沿ってそれぞれの看護の足跡を残していく本企画。
「学びかたを学ぶことで看護師として生きる選択肢をふやしていく」ことをコンセプトに立ち上げたメディア「メディカLIBRARY」のスタッフが、毎回、フラクタルのみなさんにテーマを伝えています。
第1回のテーマは「尿道カテーテル」です。
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超急性期の外科、時々、終末期の病棟勤務だったわたしはBT挿入の機会はとても少なかった。なぜなら、手術の患者さんは術中に挿入するし、終末期の患者さんは外来で挿入してから上がってくるか、パッドで対応していたからだ。
そんなわたしにも、ついにやってきた女性のBT留置。教科書での事前準備は万端!
操作前の先輩と手順の確認。
「なに使う?」
「ば、バルーンカテーテル……」
「だから、何!!」
この日、はじめてバルーンカテーテルに名前があることを知った。怒られながらも手技確認は終了。
次のステージへ!いざ挿入!!
陰部洗浄も終わり、消毒ーっと。
ん?
……尿道口さーん、出ておいでー。
かくれんぼしてるのかな? その方は、結構ふくよかだったので、会陰部を全力で広げている左手、ぷるぷるしてつりそう。ライト付け忘れたから暗いし、脚ももう少し開いてもらっていれば良かった。視界が悪すぎる。
滅菌操作であり、滅菌手袋をしてしまってる以上、他のところは触れられないし、もはや身動きがとれない。
動揺するわたしを
「どこが清潔?どこが不潔?」
「何センチ入れるの?」
と容赦なく攻め続ける先輩。
わたしが思考停止したのを感じ取り、先輩からのサポートがようやく入る。
鑷子を片手にカテーテルを持つ。(当時は鑷子使用で習いました)
が、しかしここでも失敗するわたし。
カテーテルの端っこを掴みすぎて、カテーテル先端がふらふらと躍り狂うため、狙いは定まらない。力も入らないから、圧力に押し出されてぜんっぜん入っていかない。半泣きのわたしに、先輩もあきらめて手を出す始末。
半サポートにてようやくわたしの初バルーン留置は終了。
もちろん、振り返りでがっつりと指導を受けました。
練習用の模型だとものっすごくわかりやすい穴が2つある。陰毛もなければ、会陰部のみの模型だから脚がない。そりゃ、視界もいいはずだ。抵抗もないし、するするとカテーテルも入る。
でも、実際は脚があるし、作業スペースも暗く、狭い。患者さんは、力むし抵抗がある。もちろん、練習のようにすんなりとはいかない。
教科書などの知識を付けておくことはもちろん最低限必要だけど、それだけで実際にできるかといったらそうではない。現場の状況、自分の手先の器用さ、自分のやりやすい作業スペースの確保や物品の位置、先輩に見られている極度の緊張状態、タイムプレッシャー、患者さんの羞恥心、などなど、いろんな要素が絡み合ってくる。
こればっかりは経験積んで、自分のやりやすいやり方を見つけていくしかないな、と、そんなことを肌で感じた、ある日の1シーンでした。
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fractale~satomi~
twitter:自由人ナースさとみ(@minisatominy)
三度の飯よりお酒が大好きな飲兵衛看護師。仕事終わった瞬間からが本番だと思っている。仕事は真面目な自信あり。大学病院消化器外科3年、民間病院ICU2年、公立病院脳外科夜勤専従、訪問入浴、デイ、老健など1年の派遣生活を経て、メルボルンへ10ヶ月の看護留学。帰国後から訪問看護師として働き3年目。座右の銘は「笑う門には福来たる」。根からの明るい性格を最大限に利用し、日々楽しく訪問中。マルチポテンシャライトだから特技っていう特技はないけど、強いて言えばラポール形成が無駄に得意。今までクレームや担当変更がないのが密かな自慢。ちゃっかり保健師免許所有。
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