心臓の内側が虚血になると心電図波形のST部分はどうなる？｜医療用語がサクッとわかる：クイズ100文字｜Q.013｜野崎暢仁

2024/06/22

100文字以内で作られた問題文を読めば、答えになっている医療用語がサクッと覚えられる、学べる「クイズ100文字」。今回の問題文は……

Quiz 013

心筋の内側から始まる心筋虚血により心筋壊死が進みます。この様子を心電図は波形の異常として表現します。その代表はST変化で、心電図波形のST部分が低下したり上昇したりします。では、心臓の内側（心内膜側）が虚血になるとSTはどうなるでしょうか？

Answer 013

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ST低下

心筋虚血が進んでいくなか、それに合わせて心電図も変化していきます。

心筋の内側から壊死が進んでいった場合、虚血が起こっている部分から起こっていない部分に向かって傷害電流が流れます。心臓の内側から外側に向かって電流が流れるのです。心電図は心臓の外側から心臓の中を流れる電流を見ているので、心電図にとって傷害電流は向かってくる電気になり、心電図波形は上に持ち上げられることになります。

ただし、この傷害電流は心臓の拡張期のときは発生しないという性質があるので、心臓拡張期部分の心電図波形ST部分は持ち上げられずにそのまま残り、できあがった波形はST低下を示すということになります。

図：『心カテのはなしをしましょうか』P50より

野崎暢仁

新生会総合病院高の原中央病院
西日本コメディカルカテーテルミーティング（WCCM）副代表世話人
メディカセミナー『グッと身近になる「心カテ看護」～カテ出しからカテ中の介助、そして病棟帰室後まで～』など多数の講演や、専門誌『HEART NURSING』、書籍『WCCMのコメディカルによるコメディカルのための「PCIを知る。」セミナー: つねに満員・キャンセル待ちの大人気セミナーが目の前で始まる! 』など執筆も多数。