Ⅱ・Ⅲ・aVF誘導でSTが上昇、胸痛の患者さん、詰まっている冠動脈はどれ？｜医療用語がサクッとわかる：クイズ100文字｜Q.015｜野崎暢仁

2024/07/06

100文字以内で作られた問題文を読めば、答えになっている医療用語がサクッと覚えられる、学べる「クイズ100文字」。今回の問題文は……

Quiz 015

12誘導心電図のうち4つの電極は両手両足に貼り、この4点で心臓の右上・左上・足など心臓の周りをグルっと監視することになります。では、Ⅱ・Ⅲ・aVF誘導でSTが上昇している胸痛で運ばれてきた患者さんは、どの冠動脈が詰まっていることが予測されるでしょうか？

Answer 015

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右冠動脈

12誘導心電図のうちⅠ誘導・Ⅱ誘導・Ⅲ誘導は、左手から右手の間（Ⅰ誘導）、足から右手の間（Ⅱ誘導）、足から左手の間（Ⅲ誘導）の心臓を監視しています。

また、aVRは右上から心臓の全体を、aVLは心臓の左側面、aVFは心臓を下から監視していることになります。

右冠動脈は、多くの場合は心臓の下側（下壁）を栄養していることから、右冠動脈が詰まれば、足から心臓を見ている誘導であるⅡ誘導・Ⅲ誘導・aVF誘導で虚血の変化であるST変化が現れるということになります。

あわせて、右冠動脈は刺激伝導系を主に栄養しているので、刺激伝導系に血液が供給されにくくなり、心臓に電気が流れにくくなるため、徐脈になってしまうことが多いということになります。

Ⅱ・Ⅲ・aVF誘導でSTが上昇している、および徐脈の胸痛患者さんは右冠動脈が詰まっていることが予測されるということになります。

図：『心カテのはなしをしましょうか』P54より

野崎暢仁

新生会総合病院高の原中央病院
西日本コメディカルカテーテルミーティング（WCCM）副代表世話人
メディカセミナー『グッと身近になる「心カテ看護」～カテ出しからカテ中の介助、そして病棟帰室後まで～』など多数の講演や、専門誌『HEART NURSING』、書籍『WCCMのコメディカルによるコメディカルのための「PCIを知る。」セミナー: つねに満員・キャンセル待ちの大人気セミナーが目の前で始まる! 』など執筆も多数。