胸痛、aVR誘導でSTが上昇、冠動脈はどこが閉塞している？｜医療用語がサクッとわかる：クイズ100文字｜Q.017｜野崎暢仁

100文字以内で作られた問題文を読めば、答えになっている医療用語がサクッと覚えられる、学べる「クイズ100文字」。今回の問題文は……

Quiz 017

胸痛で救急搬送された患者さんの12誘導心電図をとると、aVR誘導でSTが上昇していたため急性心筋梗塞が疑われました。では、冠動脈はどこが閉塞しているでしょうか？

Answer 017

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左冠動脈主幹部（LMT）

12誘導心電図のaVR誘導は、心臓の全体を監視している誘導です。この誘導でSTが上昇しているということは、心臓全体（大きい範囲）がダメージを受けているサインです。

冠動脈のなかでいちばん大きな範囲を司っている部分が左冠動脈主幹部（LMT）です。LMTが詰まってしまうと左冠動脈の前下行枝と回旋枝が一気に詰まってしまうことになります。この状態だといつ心臓が止まってもおかしくありません。つまり、いつ心室細動になってもおかしくない状況です。

心電図は心室期外収縮（PVC）の頻度に注目し、数が増えたり、連続したりしたら要注意です。そして、患者の側から除細動器を離さないようにしましょう。

また、血圧の管理も大切です。血圧が下がり出したら一気に血行動態破綻へと繋がります。カテコラミン等の薬剤も準備しておきましょう。何よりも、一刻も早い血行再建を急ぐべきであり、救急とカテ室の連携はとてもたいせつなシチュエーションになります。

図：『心カテのはなしをしましょうか』P57より

飛び交うワード

えるえむ

和・表記：左冠動脈主幹部
英・表記：left main trunk
読み：レフトメイントランク

ぴーぶいしー・ぶい

和・表記：心室期外収縮
英・表記：premature ventricular contraction
読み：ペムチャーベントリキュラーコントラクション

ぶいえふ

和・表記：心室細動
英・表記：ventricular fibrillation
読み：ベントリキュラーフィブリレーション

野崎暢仁

新生会総合病院高の原中央病院
西日本コメディカルカテーテルミーティング（WCCM）副代表世話人
メディカセミナー『グッと身近になる「心カテ看護」～カテ出しからカテ中の介助、そして病棟帰室後まで～』など多数の講演や、専門誌『HEART NURSING』、書籍『WCCMのコメディカルによるコメディカルのための「PCIを知る。」セミナー: つねに満員・キャンセル待ちの大人気セミナーが目の前で始まる! 』など執筆も多数。