100文字以内で作られた問題文を読めば、答えになっている医療用語がサクッと覚えられる、学べる「クイズ100文字」。今回の問題文は……
Quiz 021
救急搬入された循環器疾患が疑われる患者さんに、起坐呼吸と頸静脈の怒張が認められました。さて、フォレスター分類では何群が疑われるでしょうか?
Answer 021
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フォレスター分類 Ⅳ(4)群
循環器疾患の重症度を分類するフォレスター分類は、Ⅰ(1)群は正常範囲内、Ⅱ(2)群はうっ血所見が認められる心不全、Ⅲ(3)群は低心拍出が認められる心不全、Ⅳ(4)群が、うっ血所見および低心拍出が認められる超重症心不全として分けられます。
このなかでも、起坐呼吸のような肺水腫が疑われる呼吸症状や循環不全・循環血液のうっ滞状態のときにみられる頸静脈怒張が認められたときにはうっ血性心不全が疑われ、起坐呼吸・頸静脈怒張などの症状を認めるような状況であれば重度の心不全であることが強く疑われるため、フォレスター分類ではⅣ群であることが強く疑われることになります。
この場合、患者さんの手足を触ると、しっとりと湿っており、冷たい状況であることが多く、その状況をWet-Cold(ウェット-コールド)と呼びます。
フォレスターの分類では、低心拍出の境界をCI(心係数)2.2、うっ血所見の境界を肺動脈喫入圧18mmHgとされています。そのためフォレスター分類をきっちり判断しようと思えばスワンガンツカテーテルが必要となりますが、ノーリアスティーブンソン分類では手足を触り、温かい・冷たい、乾燥・湿っているを判断することによってある程度の重症度を判断することができます。
図:『心カテのはなしをしましょうか』P65より
飛び交うワード
がんつ
和・表記:スワンガンツカテーテル
英・表記:Swan-Ganz catheter
読み:スワンガンツカテーテル
しーあい
和・表記:心係数 CI
英・表記:cardiac index
読み:カーディアックインデックス
うぇっじ
和・表記:肺動脈喫入圧 PCWP
英・表記:pulmonary artery wedge pressure
読み:プルモナリー アーテリー ウェッジ プレッシャー
おまけのハナシ:略語表示はPCWPでpulmonary capillary wedge pressure(肺毛細管喫入圧)の略です。本当はカテーテルを肺動脈の奥の奥の方の毛細管まで進めて圧を測るべきなのですが、スワンガンツカテーテルは毛細管までカテーテルを突っ込まず、肺動脈入って枝分かれしたくらいで、バルーンを広げて圧をはかるため、実際のところで英語表記するならばpulmonary artery wedge pressure(肺動脈喫入圧)となるのです。
野崎暢仁
新生会総合病院 高の原中央病院
西日本コメディカルカテーテルミーティング(WCCM)副代表世話人
メディカセミナー『グッと身近になる「心カテ看護」~カテ出しからカテ中の介助、そして病棟帰室後まで~』など多数の講演や、専門誌『HEART NURSING』、書籍『WCCMのコメディカルによるコメディカルのための「PCIを知る。」セミナー: つねに満員・キャンセル待ちの大人気セミナーが目の前で始まる! 』など執筆も多数。