100文字以内で作られた問題文を読めば、答えになっている医療用語がサクッと覚えられる、学べる「クイズ100文字」。今回の問題文は……

Quiz 030

PCIのときガイディングカテーテルを使って病変分に風船などのデバイスを挿入していきます。ガイディングカテの入口の弁として使用されるのがYコネクターで、押したり回したりすると弁が開きデバイスを出し入れすることができます。では、デバイス挿入のためにYコネクターを開放したとき現れるバイタルサインの変化は何でしょう?




Answer 030










観血血圧が消える

心カテ中、常に表示されている観血血圧は、カテーテルとトランスデューサが繋がっている耐圧チューブがカテ先の血圧を伝えます。カテーテルと耐圧チューブ内が密閉空間であることから血圧がトランスデューサに伝えられますが、どこかが開放状態になると、その部分から圧が逃げてトランスデューサに圧を伝えられなくなってしまいます。

一方、Yコネクターはカテーテルを蓋をするために使われますが、この蓋を開けることもできます。蓋を開けると治療で使うための道具をカテーテルに出し入れすることができます。しかし、この蓋を開けることにより、血液が漏れ出て、圧も逃げてしまいます。そのため、常に表示されている血圧はほぼ0(ゼロ)になってしまいます。モニタリングしているときも術野の動きや使っている道具がわかっていないと、突然血圧が下がって焦ってしまいますね。

ちなみに、カテーテル内に複数のデバイスが入っていたり、造影剤が入っていたりすると圧波形は鈍ってしまいます。これで焦る必要はありませんが、次のシチュエーションは気づくべきシチュエーションです。

Yコネクターは開いていない、デバイスは入っていない、でも……圧が鈍っている。そんなときは「圧が鈍っています!」って施行医に伝えましょう。なぜなら、カテーテル内にAirが入っている可能性があるからです。この状態で造影剤を冠動脈に注入しようとすると、冠動脈にAirを注入してしまうことになります。こんな気づきから合併症が防げるんですよね。



図:『心カテのはなしをしましょうか』P90より





野崎暢仁

新生会総合病院 高の原中央病院
西日本コメディカルカテーテルミーティング(WCCM)副代表世話人

メディカセミナー『グッと身近になる「心カテ看護」~カテ出しからカテ中の介助、そして病棟帰室後まで~』など多数の講演や、専門誌『HEART NURSING』、書籍『WCCMのコメディカルによるコメディカルのための「PCIを知る。」セミナー: つねに満員・キャンセル待ちの大人気セミナーが目の前で始まる! 』など執筆も多数。

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